テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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彼岸湊の事件簿

第7話 - 絶海の孤島篇2

2020年10月10日

#ミステリー

#探偵

#高校生

日向

午前10:32 2階客室

悠

さて、何処から話そうか…。

アリス

湊さんは、八重垣家の方達とは血が繋がってないのですよね？

アリス

だったら湊さんの本当の両親について話してくれませんか？

悠

そうだな、そこから話すのが良いか。

そう言うと、悠は彼岸湊の過去話を話し始めた。

悠

まずは湊の両親の名前を教えておこう。

悠

父親の名前は、十文字彰。

悠

母親の名前は、十文字飛鳥。

アリス

あれ、なんで湊さんの苗字と違うのですか？

悠

アリス…

アリス

はい？

悠

お前意外に鋭いな。

アリス

ふぇ？あ、ありがとうございます！！

アリスは馬鹿にされていることを気付いていなかった。

アリス

それで何で違うのです？

アリス

それに彼岸って苗字は何処から出てきたのですか？

悠

彼岸は、十文字飛鳥の旧姓だ。

アリス

あ、なるほど…

アリス

でもそれだったら何で今の八重垣って苗字や、十文字って名乗らないのですか？

悠

さっき湊達の会話を聞いていただろう？

アリス

あ…

アリス

湊さんの本当の母が、和真さん達に酷いことをしたって…

悠

ああ、だから湊はそれを負い目に思って、八重垣家の性を名乗らないようにしているんだ

アリス

そ、その酷いことって言うのは…？

悠

そこは後で話す。

悠

何で十文字と言う性を名乗らないって言うのも後で話す。

悠

まずは十文字家についてだ。

悠

アリス、十文字と言う名前に聞き覚えはないか？

アリス

十文字…

アリス

もしかして…

悠

ほう、知っているのか？

アリス

はい、断片的ですけど…私がまだ日本に住んでいた時に、何処かで聞いた事があるのです。

アリス

確か…何かのテレビ番組だったような…

悠

ああ、当時はよくニュースで取り上げらていたからな。

アリス

ニュース…あ！

アリス

十文字組ですか！？

悠

そうだ。

アリス

確か…悪い人達…でしたっけ？

悠

…正確には反社会的勢力だな。

アリス

それです！

アリス

…え、じゃあ…湊さんの父親って……

悠

ああ、東日本で裏社会をまとめ上げていた反社会的勢力、日東会会長…

悠

もとい、十文字組組長、十文字彰だ。

アリス

…それが理由で十文字を名乗りたくなかったのですね…

悠

それもあるが…

アリス

？

悠

これから話す事の方が理由としては大きいな

アリス

…他に理由が…？

悠

…さっき十文字組がニュースでよく取り上げらていたって話覚えてるか？

アリス

はい。

悠

その内容の殆どが反社会的勢力の取り締まりについてだったんだ。

アリス

…あ、確かその頃って、取り締まる法が強くなったのでしたっけ？

悠

よく知っているな。子供の頃は反社会的勢力を目指していたのか？

アリス

い、いえ！違うのです！

アリス

アメリカに引越してからはよく、日本の事を調べていたので…

悠

はは、なるほどな。

悠

…それでその法律…正確には、『暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律』の取り締まりが強くなったから、次々に組が消滅していったんだ。

悠

理由は様々だか、所謂、シノギってのがやりにくくなったって理由が大きいな。

悠

最初は、三次団体なんかの小さな組ばかりが消滅していたが、小さくても組は組だ。

悠

その小さな組等のみかじめで日東会なんかの大きな組織は成り立っていた。

悠

それに、消滅していくのは、当然三次団体の組だけじゃなかった。

悠

二次団体や、一次団体の組も次々に消滅していった。

悠

そして遂に…日東会は消滅した。

アリス

…思い出しました…

アリス

私が、1歳頃…つまり16年前の頃に日本の大きな組が潰れたって、何処かのサイトで見た事があります。

悠

それが日東会だ。

アリス

…

悠

…そうなると十文字彰は収入を得る術が無くなる。

悠

その時には既に、湊の母親、飛鳥とは籍を入れていて、妊娠もしていた。

悠

そこで産まれたのが、湊だ。

アリス

…あ……

アリス

…あ、あの私なんて言ったらいいか…

悠

…言っておくが、これはまだ序の口だ。

アリス

…はい。分かっているのです。

悠

…

悠

…続けるぞ。

悠

母親の飛鳥は、当時働いていなかった。

悠

だから、十文字家には収入がない状態が続いた。

悠

しかし、大きな組の会長だけあって、貯金はあった。

悠

しかし、その貯金も決して多くはなく、一生遊んで暮らすには程遠い。

悠

それに湊が産まれ、益々金がいる。

悠

その状態にも関わらず、十文字彰は働きもせずに、酒に溺れていた。

悠

母親の方も、働く気を一切見せず、ギャンブルにハマっていた。

悠

そんな状態が続いたら、当然貯金が尽きる。

悠

そうなった時十文字夫妻は、住んでいた家を売り払い、街の一角にあるしがないアパートへと引っ越した。

悠

引っ越してからも2人は働かず、家を売り払った金で、だらだらと遊んで暮らしていた。

悠

その頃、湊は保育園へと通い出し…いや無理矢理に通わされた。

アリス

…え？

悠

母親が湊の育児を面倒くさがり、保育園へと通わせたんだ。

アリス

あ…

悠

…その保育園で俺は湊と出会い、仲良くなった。

悠

当時の湊は、感情を顔に出さず、泣きも笑いもしなかった。

悠

口も一切開かなかったなぁ。

アリス

…それを聞いたら、今の湊さん、凄い明るいのですね…

悠

…そうだな。

アリス

…じゃあ何でおふたりは、仲良くなったのですか？

悠

確かきっかけは…湊が花壇の花を見ていた時だったか。

悠

いつも湊は1人でいた。

悠

その時に声を掛けたんだ。

悠

『花が好きなんだね』って。

悠

声を掛けたのは本当に気まぐれだ。

アリス

子供の頃の悠さんってどんなだったのですか？

悠

え？俺のことか？

アリス

はい！

悠

…そんなに知りたいか？

アリス

はい！

悠

…俺はいつも本を読んでいたな。

悠

他の皆は外に出て、サッカーやドッジボールをしていたが、俺はいつも断っていた。

悠

別に、他の皆を嫌っていたりしていた訳じゃない。話をしたりもしていた。

悠

俺は昔喘息を患っていたんだ。

アリス

え！？じ、じゃあ今も…ですか？

悠

いや、今はちゃんと治療を受けて、完治している。

アリス

(ほっ…)良かったのです！

アリス

じゃあ、悠さんは他の皆さんと遊びたくはなかったのですか？

悠

当然、遊びたかったさ。

悠

でも、無理をして、両親や保育園の先生達を心配させたくなかったからな。

アリス

ほわぁ…、悠さん偉いです！！

アリス

私だったら絶対、遊んでしまいます！

悠

はは、確かにアリスだったら、容易に想像が出来るな。

悠

…それで話を戻すが…何処まで話したんだったか…

アリス

悠さんが湊さんに声を掛けた所までです！

悠

ふむ、そうだったな。

悠

それで俺が声を掛けたら、花壇に植えてあるアイリスの花を差し出してきたんだ。

悠

俺が『くれるの？』って聞いたら、湊は無言で頷た。

悠

俺は礼を言い、その花を受け取った。

悠

そしたら湊は、無言で頷き返し、また花を見ていた。

悠

俺は湊の顔を見たら、無表情だったが少し嬉しそうに見えた。

悠

そんな湊を見て、俺は『一緒に絵本読まない？』って言ったんだ。

悠

何故かは分からない。

悠

ただ、この子の事をもっと知りたいって思った。

悠

だから、そう言ったんだと思う。

悠

そして、湊は頷いた。

悠

それからは保育園に居る昼間の間は、いつも2人で一緒にいた。

悠

湊は相変わらず無表情で無口だったが、色々なことをして遊んだ。

悠

って言っても運動以外だけどな。

悠

そして夏になって、プールに入る事になった。

悠

他の皆は泳いだりしていた。

悠

俺はそれを羨ましそうに見ていた。

アリス

羨ましそうな悠さん…

アリス

何だか可愛いです！

悠

…

悠

その時の湊が、数人に一緒に泳ごうと誘われたんだ。

アリス

(あう…スルーされました…)

悠

でも湊は、首を横に振り、断ったんだ。

悠

それで、プールサイドで座っていた俺の横に座った。

悠

『泳がないの？』って聞くと、湊は頷き、ずっと俺の横に座って、皆の泳ぐ姿を見ていた

悠

その時俺は泳ぐのが嫌いなのかなって思っていた。

悠

そんなある日のことだった。

悠

いつも通りにプールの時間が来たんだが、湊がいつまで経っても来なかった。

悠

湊はいつも皆が着替え終わった後に、暫くしてから、プールに来ていた。

悠

先生達は、他の子に裸を見られるのが嫌なんだと思い、気には触れていなかった。

悠

だけど、その日はいつもよりも、来るのが遅かった。

悠

それを心配に思った先生が、様子を見てきてって俺に言ってきた。

悠

俺はそれに素直に頷き、様子を見に戻った。

悠

そしたら、水着に着替え終わっていた湊は顔を伏せて、床に座り込んでいた。

悠

俺はそれに驚いて、すぐ様駆け寄った。

悠

俺は『どうしたの？』と声を掛けようとしたが、湊の姿を明白に見た時にもっと驚いて、言葉が出なかった。

悠

湊の腕や脚には、青い痣が出来ていた。

アリス

え！？で、でも、そんな痣があったら、朝保育園に来た時に、先生達が気付くはずでは？

悠

痣の出来ていた場所は、服を来ていた時には隠れる場所だったんだ。

悠

俺は、どうしたの？と聞いた。

悠

そうしたら、突然湊が俺に抱き着いて来た。

悠

俺は湊の顔を見て驚いたよ。

悠

いつも感情を見せない湊が泣いていたんだ。

悠

そして、泣きながら湊は『たすけて』と1文字、1文字、途切れながら言ったんだ。

悠

そこで初めて、湊の声を聞いた。

悠

俺は唖然としていた。

悠

俺はすぐに先生の所へと連れて行こうとしたが、湊は行くのを拒んだ。

悠

仕方なく俺は、その場を去り、先生を呼びに行った。

悠

連れて来た先生は驚いて、すぐに園長先生の所へ行った。

悠

そこで判明したんだ。

悠

湊が父親から虐待を受けていた事を。

アリス

…あ……

悠

湊はその日だけ長袖、長ズボンだった。

悠

父親に痣を見せるなと言われ、その服装で保育園へ来たと父親の話から分かった。

アリス

だから、プールにも来なかったのですね…

悠

そうだ。父親に痣を見せたら殴ると脅されていたと湊は言っていた。

悠

それに、当時湊は言葉が喋れなかった。

アリス

え？

悠

どうやら精神的問題だったらしい。

悠

それに父親から、笑う事も泣く事も禁止されていた。

アリス

そ、そんな…酷いのです…。

アリス

当然、虐待していた父親は逮捕されたのですよね！？

悠

…

悠

湊の父親は、逮捕されなかった。

アリス

え！？ど、どうしてですか！？

悠

…虐待は発覚した日、当然父親の元に警察が来た。

悠

だが、その警察が所持している銃を奪って警察4人を射殺し、その銃で自分も自殺した。

アリス

そんな…そんなのって…

悠

当然ニュースでその事件は報道された。

悠

この事件のせいで、母親と湊は十文字を名乗れなくなり、姓を彼岸へと戻した。

アリス

…

悠

…湊はそれから1ヶ月保育園を休んだ。

悠

その頃は、湊は普通に喋るようになっていた

悠

久しぶりに保育園に来た時、真っ先に俺の所へとやってきた。

悠

そして、『勝手にいなくなってごめんね、また一緒に遊んでくれる？』って微笑みながら言ってきたんだ。

悠

俺はそれに対し、勿論『いいよ』と言った。

アリス

湊さん喋るようになって良かったのです…。

悠

ああ、湊が言葉を発した時は、自分のことのように俺は嬉しかった。

悠

…だが、一難去ってまた一難だ。

悠

保護者達が、湊には近寄るなと他の皆に注意した。

悠

それから湊は、嫌がらせを頻繁に他の皆に受けた。

悠

そして一緒にいた俺も。

悠

その時に湊は『ごめんね、私のせいで。』と謝ってきた。

悠

俺はこの時思った。俺が湊を守ろうって。

アリス

悠さん…

悠

それからもいつも2人でいた。

悠

湊は喘息の俺をいつも気遣ってくれた。

悠

プールで泳がなかったのも、俺が1人で寂しそうに見えたかららしい。

アリス

…お優しいのですね、湊さん。

悠

ああ。

悠

それから時間が進み、俺達は小学校に入学した。

悠

その頃に湊の母親が再婚した。

アリス

あ！それって…！

悠

ああ、相手は楓さんと和真さんの父親…

悠

八重垣誠だ。

悠

蓮さんの妻、癌で亡くなっていた。

悠

それから3年後、再婚に踏み込んだらしい。

アリス

何で再婚しようと思ったのですか？

悠

湊の母親が自殺しようとしたんだ。

悠

その自殺を止めたのが、蓮さんだ。

アリス

自殺…

悠

ああ、湊の母親は、父親が死んだ半年後に、自殺しようとした。

悠

自殺しようとしたのは無理は無いだろうと思った。

悠

夫が死に、金もないからな。

悠

まぁ、同情はしないがな。

アリス

…はい、私も申し訳ないですけど、同情は出来ません…

悠

ああ。

アリス

その、八重垣の方のお父さんはどんな人なのですか？

悠

あの人は正義感強く、困ってる人を見過ごせない人だった。

悠

それと探偵だった。

アリス

探偵…

悠

ああ、湊はよく蓮さんの活躍話を俺に話していたよ。

悠

相当な名探偵だったらしい。

アリス

だから湊さんも名探偵みたいなんですね！！

悠

はは、確かにそれもあるかもな。

悠

湊はそれからよく笑うようになった。

悠

だけど幸せは長くは続かなかった。

アリス

あ…湊さんが言っていた…

悠

…ある事件が起こった。

悠

八重垣蓮殺人事件。

アリス

！？

悠

昼間、自宅のリビングで蓮さんが包丁で殺害されたんだ。

悠

その殺害現場に居合わせていた楓さんと和真さんも刺され、重症を負って病院に搬送された。

悠

幸い命は取り留めた。

悠

後遺症の心配もなかった。

アリス

…

悠

和真さん達は俺達より、4つ上で事件当時は小学5年生だった。

悠

不幸にもその時期インフルエンザが流行っていて、和真達の学年は学級閉鎖だったんだ。

アリス

そ、それで犯人は…

悠

…十文字飛鳥だ。

アリス

！や、やっぱり…

悠

そして…この事件を解いたのが、湊だ。

アリス

…え、湊さんが事件を？

悠

…その日俺は、湊に家に遊びに来ないかと誘われたんだ。

悠

そして湊の家に行ったら、警察が来ていたんだ。

悠

事件発生直後、湊の母親が警察に通報したんだ。

悠

家に帰ったら夫が殺害されていたって言ってな。

悠

でもその発言を聞いた湊が違和感を覚えた。

悠

姉さんも兄さんも病院に怪我しているのに、その発言はおかしいってな。

悠

湊の推理はこうだ。

悠

まず、リビングで蓮さんを殺した。

悠

その後、警察に電話した。

悠

しかし、電話した後、和真さん達が蓮さんの悲鳴を聞いて、2階から降りてきて、一部始終を見ていたことに気付き、殺そうとした。

悠

だから、あんな不自然な発言をしてしまった

悠

それに対しての母親の反論は、2人も怪我しているのに気付かなかった。

悠

だが、それはおかしい。

悠

和真さん達が倒れていた位置は、蓮さんのすぐ横だった。気付かない筈がない。

悠

仮に他の場所で倒れているのを、後から気付いたとしても、わざわざリビングに連れてくる必要は無い。

アリス

…それを湊さんが見抜いたのですか？

悠

ああ。それに動機までも見抜いた。

アリス

…動機は何だったのですか？

悠

金目当てだよ。

悠

蓮さんを殺害し、遺産を手に入れるつもりだったんだ。

悠

あいつは湊にこう言った、あんたが居なければ良かったって。

アリス

ひ、酷いです…湊さんは何も悪くないのに…！

悠

…

アリス

それで、湊さんのお母さんは逮捕されたのですか？

悠

された。終身刑だよ。

アリス

終身刑…

悠

十文字飛鳥は詐欺をしていたんだ。

悠

それも数え切れないほどね。

悠

それが当時の逮捕で明るみになり、終身刑になった。

悠

それから湊は母方の祖母の家に預けられ、和真さん達は、この家に預けられた。

アリス

だから湊さんは負い目を感じて…

悠

ああ。

悠

それから湊の顔からは笑顔が減り、前よりも暗くなった。

悠

そんな時だった。

悠

俺達は結月に出会った。

アリス

結月さんっておふたりの親友の…？

悠

ああ、彼女はいじめらていた俺達を庇ってくれて、そこから仲良くなった。

悠

そして、湊は結月のお陰で今みたいに笑えるようになった。

悠

これが彼岸湊という、不幸な少女の過去だ

アリス

…わ、私…

アリス

私今まで、どれだけ幸せだったか、改めて実感出来ました。

アリス

湊さんはこんなにも辛い過去を…

アリス

…悠さんはその…湊さんの事をどう思っているのですか？

悠

どう思ってるか…

悠

…一言で言えばかけがえのない存在だな。

アリス

その…す、好きですか？

悠

勿論さ。

悠

あいつとはずっと一緒にいたいと思う。

アリス

ほわぁ…愛の告白です！

悠

はは、確かにそうだな。

そこで扉がノックされる。

午前10:56 2階廊下

湊が扉をノックする。

湊

悠、いる？

悠が客室の扉を開ける。

悠

ん？どうしたんだ？

アリス

み、湊さん！？どうしてここに！？

湊

あ、アリスも一緒だったんだ。

悠

何かあったのか？

湊

何も無い。

湊

でも談話室に集合する約束忘れてたでしょ。

悠

あ、そういやすっかり忘れてたな。

悠

な、アリス？

アリス

は、はい！

アリス

すっかり忘れてしまって、ごめんなさいです！

湊

もう、2人とも何やってたの？

悠

いやぁ、実はアリスがあっちもこっちもってはしゃいでしまってな…

悠

疲れたから、少し休憩していたんだ。

アリス

そ、そうです！

アリス

ここの御屋敷が素敵でつい…

湊

はぁ、アリスはまったく…あまり悠に迷惑かけないように。

アリス

ご、ごめんなさいです！

湊

…ふふ、じゃあ談話室に行こう、ね？

アリス

は、はい！

悠

よし、アリス。談話室まで競走だ。

悠は階段へと向かう。

アリス

あ、待ってくださいです！

アリスもその後を続く。

湊

…はぁ、あれで誤魔化してるつもりなのかな。

湊

それに勝手に人の過去を言いふらすのはどうかと思う…

湊

それに、あの時泣いたっていう話、凄い恥ずかしいのに…

あの時とは、悠に抱き着いた時の事だ。

湊

(でも、言うのもが私の事好きって言ってくれてたし、嬉しい…)

アリス

湊さーん！早く来てくださいです！

湊

…うん、今行く。

湊は階段へと歩いて行った。

湊

きゃっ！

湊が階段前で転びそうになるが階段で待っていた、悠が身体を支える。

悠

おっと、気を付けろよ。

湊

…あ、ありがとう…

悠が湊の右手を握る。

悠

ほら、行くぞ。

湊

…うん。

アリス

湊さん顔真っ赤です！

湊

…うるさい。

3人は、談話室へと向かった。

彼岸湊の事件簿

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