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僕がサボるのはいつものことだけど、 なんで優秀なA組のナムジュンが 平日の朝からここに居るのか。
ホソク
ナム
ナムジュンはジョングギのベッド…の脇にいる僕に近づくと 制服のネクタイを緩めながら言った。
しゃがんでいる僕を また、その何を考えているのか分からない 冷たい目で見下ろしている。
ホソク
ナム
ホソク
また…僕の事を からかっているのか、こいつは。 しかも、こんな所で。 何が面白いのだろうか。
いつものように、 険悪な雰囲気が漂い始める。
ホソク
でも、僕の手をぎゅっと握られる感覚がして 言葉が止まる。
ハッとして 視線をナムジュンからジョングギに移す。 ジョングギは母親によく似た目で 僕の事を心配そうに見ていた。
そうだった。 今は、ジョングギの前。
ナムジュンの事なんか大嫌いだけど 今さっき、この子に言われた。 コイツと仲良くしてって…。
グク
そう。 いつもそうだ。 僕は 自分の本当の心を殺さなきゃ いけないんだ。
ナムジュンはジョングギに何を吹き込んだんだ。
なんでジョングギまで そんな…僕が全部悪いみたいな 非難するような目で、 見てくるんだよ…。
手が、震える。 頭が、クルクル回るような気がしてくる。
あぁ、もう、まただ…。
ホソク
僕は立ち上がってナムジュンの隣に立つと その右腕に両手を絡める。 そして、顔を彼の体にすり寄せた。
こんな事、したくない。 近づきたくない。 触りたくない。
ホソク
ジョングギに仲の良さを見せつけるように わざとらしく、ベタベタとナムジュンにくっつく。
もう、ヤケクソだった。
ナムジュンの体温が伝わるほど 僕達は近い距離にいる。
知らない間にコイツはこんなに身長が高くなってて 体もがっしりしてて しっかり大人になってて。
それがさらに、 コイツと…あの女に対する嫌悪感を倍増させる。
ナム
ナムジュンが僕の腰に手を回して 耳の近くで言った。
総毛立つのを我慢して、 僕は答える。
ホソク
もう、死んでしまいたい。
ホソク
口から出るものは 少ない胃液だけ。
目から流れているのは たくさんの涙。
さっき病室で 僕とナムジュンの様子を見たジョングギが、 小さく笑いながら言った言葉が 頭から離れない。
『ホソギヒョン…オンマみたいだね』
あの子はなんの悪意もなく、 ただ純粋にそう思ったから 言った言葉なんだろう。
だからこそ、余計に その一言は、 僕の心をグサリと突き刺した。
あの女と僕が似てると言われたのも あの女がナムジュンに いまだに…さっきの僕みたいな態度をとっているのも それを許容しているナムジュンにも 腹が立つ…。
ナムジュンはきっと さっきみたいに、 自分の腕に絡みつくあの女の腰に手を当てたり 顔を近づけて耳元で囁いたり
…あの日みたいに
『…かわいい、私のナムジュン…、 ホソクより、ずっと…。』
僕に覆い被さってくるスンヒョンのように、 あの女とキスをして きっと、それ以上の事もしまくっているんだ。
ホソク
ガンッ、と 白い便座に自分の拳を打ちつけた。
クソ、クソ、クソ…ッ
僕の義父も 僕の母親も
キム・ナムジュンも…っ
ホソク
なんで、なんで…。
僕は、 こんなに、涙が出るの…。
涙が出て、惨めな気分になって ショックで、悲しくて
…まるであの女に 負けた、みたいな… 気分にならなきゃ、いけないわけ…っ。
ホソク
とうとう僕は 完全に頭がイカれてしまったみたいだ。
今の僕の思考を邪魔する この邪魔な感情の存在は、なんなんだ。
裏切られたとか 憎いとか 嘘つきとか 嫌だとか なんで、とか
こんな事を思ってしまうのなんて まるで…。
ホソク
そんな訳ない。 絶対にない。 そんな考えが浮かんでくることこそ 自分の頭がおかしくなったに違いない。
僕が好きなのは 僕が愛してるのは 死んだアッパと、ジョングギと ジンヒョンだけだから。
でも、 僕の体が求めてるのは もう…あの優しく僕を包み込んでくれる ジンヒョンの温もりじゃなくて
ホソク
このイカれた頭を 何も考えられなくなるぐらいの幸せで満たしてくれる 大麻だから。
一時的なものだけど その幸せを得るためだったら、 僕はジミンとも…。
ホソク
ごめん。 僕、もう 色々と ダメかもしれない。
僕の心が求めているものは きっと、ジンヒョンなのに。
あいつの顔が チラつく。
すぐに戻るからね、なんて言ったけど トイレから出た僕の足は ジョングギの病室じゃなくて 足早に、あの人の所へ向かっていた。
あのままナムジュンとジョングギと一緒にいたら、 僕はジョングギまでもを 拒絶してしまいそうな気がして
残された時間は少ないと分かっていながら ジョングギと一緒にいてあげることじゃなくて 大麻で自分を癒すことを優先した。
バカだ、僕は…。
高層マンションの最上階。 ジミンは自分の家の他に このフロアを借りて、 大麻を栽培し、乾燥から加工までを行っているのだと 教えてくれた。 すごく、儲かるらしい。
ジミン
棚にずらりと並んでいる、 乾燥大麻の塊が入ったガラス瓶の中身を確認しながら ジミンは言った。
ホソク
ジミン
僕をチラリと見たあと おどけたように言って話を逸らそうとしたジミンに 若干の苛つきが募る。
ホソク
ジミン
そのうちエクスタシーとかにも手出しそう、 とか意味わかんない事を言って さっき見ていた物とは別のガラス瓶の蓋を開けながら ジミンは笑った。
なんでくれないの…。
なんで笑ってんの…。
イライラする…。
ホソク
このイライラを逃すように 太ももの位置にあるスマホを持つ指を トントンと動かしながら言うと ジミナはやっとこっちに顔を向ける。
ジミン
ホソク
ジミン
ホソク
ジミンが ガラス瓶を持って僕に近づいてくる。
満足できたら? セックスのこと、だろうか。
ホソク
ジミン
ジミンの顔が近づいてきたと思ったら 手のひらほどの大きさの瓶に たくさん詰まっている大麻を、 僕の目の前に掲げられる。
ジミン
まるで、目の前に待ち望んでいた御馳走があるのに… お預けを食らった犬になったような そんな気分だ。