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ー10分前ー
若井は玄関で靴を履いていた 自分の頭を冷やそうと 少し散歩に出ようと思ったのだ
家の外に出て 玄関の扉を閉めると 罪悪感が心から湧いて出る
若井
大森がオレンジジュースを 差し出して来た時の顔が 頭から離れない
若井
相手に怒られないために 笑顔を貼り付けて しかし、身体は恐怖で震えていた
それに「いらない」と 言い放った時の自分は どんな顔をしていたのだろうか
鬼のような形相を していたかもしれない 大森の顔も見ずに 立ち去ってしまった
若井
大森が変わってしまって 寂しいのも 若井より藤澤と一緒に いたがるのも
大森がわざとやってる事じゃない 幼児退行ゆえの変化だ
若井
若井は大森の名前を呟く 小石を落としたように 頭の中で 大森の記憶が浮かぶ
大森はどんな事があっても 上を見上げ続けた 若井や藤澤が巨大な壁に 潰されて、地面に伏せても
立ち上がろう、大丈夫と 手をとって その壁を壊してくれた
すでにあの頃が懐かしく感じる だが、今は若井が 大森を引っ張ればいい 恩を返す時だ、そう思っているのに
若井
若井
若井は歩きながら 少し泣いた
若井は10分ほど散歩をして 自宅に戻る
若井
さっき自販機で買った お詫びのコーラーを右手に持って 玄関で靴を脱ぐ
若井
若井が靴を脱いで 家に上がると 微かに大森の声がした
若井
若井
若井
若井は心を固める 声の聞こえる方に向かう
大森
若井は反射的に足を止める 今の声が喘ぎ声のような 独特な物に聞こえたからだ
若井
若井はその場で耳をすませる
藤澤
藤澤
藤澤
大森
若井は気がついたら 走り出していた 勢い良く脱衣所の扉を開ける
まず若井の目に 飛び込んで来たのは 地面に押し倒されている大森の姿だ
着ているパーカーは めくれ上がっていて 胸元まで露出している
大森は頬も瞳も赤くして ぶるぶると泣きながら震えている
若井はそんな大森を 見ながら呟いた
若井
思ったよりドスの効いた声が出る それでやっと 自分は怒ってるのだと理解した
目線を藤澤に向けると 藤澤は特に気にしてない様子で 指で唇を拭う ふっーと息を吐いて、言い放つ
藤澤
若井
若井は藤澤に掴みかかると 壁に身体を叩きつける
藤澤
若井
藤澤
藤澤
壁に抑え付けられた藤澤は 若井の顔に触ると 目の中に親指を入れた
若井
若井は突然の痛みに 顔を背けると 瞳を押さえたまま 声も出せずにうずくまった
藤澤
藤澤
若井
若井は瞳から生理的な涙を 零しながら藤澤を見上げる
藤澤
若井
若井は勢いよく立ち上がると もう一度、藤澤の胸ぐらを掴む
それに対して 藤澤は腰を低く落とすと 柔道の投げ技のように 若井を地面にぶん投げた
若井
若井が地面に叩きつけられる さほど、広さもないので 足が棚にぶつかって 大きな音を立てる
大森
大森は耳を塞いで 部屋の隅に逃げる
若井
畳でもない床に 投げ技をされた若井は 身体中の痛みと衝撃で 肺の空気が一気に抜けて咳き込む
藤澤
藤澤
若井
若井
若井は地面に伏せながらも 藤澤を睨む
藤澤
藤澤
藤澤
大森
大森はこくこくと頷く
大森
大森
若井
若井が立ち上がろうと 地面に腕を着くが 藤澤はその腕を蹴りあげた
若井
若井が地面に顎を強打する
藤澤
藤澤
藤澤は面倒くさそうな声で言うと 若井の頭をぐっと踏みつける
若井
藤澤
藤澤
藤澤
藤澤
藤澤
藤澤が部屋の隅で 膝を抱えている大森を見る
大森
大森
大森が立ち上がって 藤澤の方にゆっくりと 歩いて寄ってくる
藤澤
藤澤は若井の頭から 足を退けると 手の平を差し出す
藤澤
藤澤
若井
若井は藤澤の手を取らずに 睨みつけた
藤澤
若井
若井
藤澤
若井
若井
若井
藤澤
若井
藤澤は少し戸惑ったような顔をする 若井から目線を外す
藤澤
藤澤
若井
若井
藤澤
藤澤
若井
若井はどうにか蓋をした怒りが 再び溢れる 口角が片方だけ上がる
若井
藤澤
若井は、すっと立ち上がると 藤澤と目線を合わせて 1歩、踏みよる 2人の顔の距離が近くなる
若井
藤澤
藤澤
2人の間にひんやりとした 緊張感が走る
若井
若井
若井
藤澤
藤澤が若井の瞳を 見据えたまま笑う
藤澤
若井
藤澤
藤澤
藤澤
若井
若井の心臓が加速する 頭がぐらりと揺れる
若井
藤澤
藤澤
藤澤
若井
若井はぐっと手を握ると 藤澤の顔を殴った
藤澤
藤澤が反動で横をむく 唇の端から血が滲む
藤澤
藤澤は若井に向き直ると 滲んだ血をペロッと舐める
藤澤
藤澤
若井
若井がさらに1歩踏みよって 藤澤に身体を押し付ける
そして言葉を続けようとすると 大森が手のひらで 若井の口を塞いだ
若井
大森
藤澤
若井
2人は大森を見たまま固まる この釘の刺し方は覚えがある ミセスとしての 大森元貴を彷彿とさせた
藤澤
若井は勢いよく、大森の肩を掴む
若井
大森
大森は若井をじっと眺めていたが 不意に自分の頬を撫でる
大森
若井
若井
大森
大森は頷くと若井を見る
大森
若井
若井
若井はつい大森の肩を強く揺らす
大森
若井
藤澤
藤澤
大森
大森
大森
大森
大森
大森が一気に捲し立てる 若井が嬉しそうに呟く
若井
藤澤
藤澤はまだ混乱している 文字どうり頭を抱えた
大森
大森が窓の外を見る もう夕日が差し込んでいる
大森
若井
若井がスマホを取り出して 時間を確認する
若井
大森
大森
藤澤
大森
大森
藤澤
藤澤は大森の腕を掴む
藤澤
大森
大森
藤澤
藤澤は頭をふる
藤澤
藤澤
大森
藤澤
大森
藤澤
藤澤は声を裏返しながも叫ぶ
藤澤
藤澤
大森
大森
藤澤
大森
大森
大森
大森は準備を進めるために 脱衣所を出る
藤澤
藤澤が後を追いかけてくる
大森は引き止める藤澤を無視して 自分の荷物を取りに向かう
藤澤
藤澤が大森の肩を掴む ぐいっと振り返らせると 大森の瞳を見つめる
藤澤
大森
藤澤
藤澤
大森
大森の目が泳ぐ 実は確証は無かったので 藤澤は鎌をかけたのだが 当たったようだ
藤澤
藤澤
藤澤
大森
大森が俯く
大森
そのまま黙り込んだと 思ったら突然、顔を上げる
大森
大森
大森
大森は藤澤に詰め寄る
大森
藤澤
藤澤
藤澤も負けじと踏みよる
藤澤
大森
大森が呆れたような声を出す
大森
藤澤
大森
大森が乾いた声で笑う
大森
大森
大森
藤澤
藤澤は何も言えなくなる
大森
大森
大森は吐き捨てると 自分の荷物を持って リビングから出ていってしまった
コメント
20件
いつも読ませてもらってます!ストーリーしっかりしててほんとに読んでて楽しいです!
胸熱展開きたー!!!大森さんの怒鳴ってるとこひさしぶりに見れてめちゃ嬉しい!やばいほど続きが楽しみ!
この展開好きすぎます!幼児退行が演技だったとか、胸熱すぎる⋯!