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第1話 - あ

2023年04月07日

#スカッと

田中俊樹

ユイ

お久～、元気？

ミユ

え？ユイ？！なんで？どうしたの？大学卒業以来？だよね…？

ユイ

あのねぇ！ミユに、言いたいことあって！

ミユ

え？何…？どうしたの？ユイの話って何か嫌な予感しかないけど

ユイ

えー、そんな事ないよ？結構ね、ビッグニュースかも！

ミユ

え、なんだろ？…結婚する、とか？

ユイ

おお！なるほど！ま、いずれそういう事になるかもしれないけど

ユイ

これから、そういう話もできたならいいな、なんて

ミユ

へぇ、おめでと…でも、全然仲良くない私にワザワザ？なんで？

ユイ

仲良くないって、ひどーい！ミユに大いに関係する事だから…

ユイ

それはね、ジャーン！新しい彼氏の名前は、コウ君です！

ミユ

え！コウ君？私の彼氏の名前も…

ユイ

だって…そのコウ君だもん！

ミユ

え？どういうこと？そのコウ君って？

ユイ

あのね、ミユのコウ君って、インストラクターしてたりする？

ミユ

あ、うんしてる

ユイ

そのジムは、駅前のゴールドマッスルだったりする？

ミユ

え？また？まさか…そういうこと？

ミユ

また、人の彼氏取ったの？

ユイ

あ、わかっちゃったぁ？正解です！

ユイ

またまた、ユイの彼氏ととそういう事になってしまいました！

ミユ

え！なんで？なんで、私の彼氏ばかり狙うの？

ユイ

それがさ偶然なんだって！私もゴールドマッスルに通ってるの

ミユ

へぇ、それで？

ユイ

最初はインストラクターとそのジム会員の付き合いだけだよ

ユイ

他人の目もあるしね

ミユ

…いつからなの？そういう風になったの

ユイ

えっとー、そんな風になったのは最近だよ、この前の大会かな？

ユイ

私、先週のフィジークの大会に出たんだよね

ユイ

その日まで、コウ君が専属トレーナーとして帯同してくれてたの

ユイ

やっと終わって抱き合ったら、そういう関係になったって事かな

ミユ

へぇ、…ああ、大会で忙しいって言ってたかも

ユイ

あのね、その日まで彼女がいるって全然知らなかったんだよ

ユイ

写真みせてもらって衝撃だった！え？ミユ？って

ユイ

でも、コウ君、あんたのこと、最近は饅頭にしか見えなくて

ユイ

二重顎もひどくって見てられないって言ってたよ～

ミユ

えっ？

ユイ

お腹もブヨってきたらしいじゃん！写真の頃と全然違うって

ユイ

あんなに鍛えて頑張ってたのに、最近は全然なんでしょ？

ミユ

…え？あ、うん…、ちょっと体調崩してて

ユイ

年齢とともに、消費量が変わるし、体質も変わるよ？

ユイ

せっかく彼氏がインストラクターだったのに、残念だよね

ミユ

付き合ったばかりの頃は、私もユイみたいに鍛えてたよ

ミユ

私も大会目指してたし…、丸１年間、ずっと言われた通りにしてて

ユイ

今では、全然なんでしょ？家でも、ダラダラしてるらしいじゃん！

ユイ

そういうの、大会前だとモチベーションが下がるって言ってたよ

ミユ

え、そうなんだ …そんな風に思ってたんだ…

ユイ

そんなこんなで、ここ1週間ほどだけど、コウ君と毎日一緒にいて

ユイ

お互いにたっくさん話したし、ずっと愛し合ってたの

ユイ

私も人並みにね、好きな人はいたよ

ユイ

でも、愛するってこういう事なんだって、わかったって言うか

ミユ

とりえあえず、コウ君とちゃんと話しあってもいいかな？

ミユ

今、一気に言われてもちょっと頭の中、整理できないし

ミユ

コウ君に、今夜話したいって伝えてくれるかな？

ユイ

オッケ、言っておくね、ちゃんと聞いてみて！

～数日後～

ユイ

やっほ、ミユ

ユイ

あの日、コウ君と話したんでしょ？

ユイ

ちゃんと連絡してよね！待ってたのにさ

ミユ

あーうん、連絡しなくてもいいかなってコウ君に聞くだろうし

ミユ

私からあなたに言う事は、特に無いかなって…

ユイ

冷たくない？あ、やっぱり、コウ君、私たちの事認めたでしょ？

ユイ

私、今めっちゃ体、鍛えててさ、人生でカコイチ可愛くてさ

ユイ

本当にごめん、嫌でも、私、目立っちゃうんだよね

ミユ

へぇ、相変わらずなんだね、そのどこから来るのかわかんない自信

ユイ

コウ君とも毎日イチャイチャしながらトレーニングしてて

ユイ

なんだかさ、こういうのなかったから、毎日リア充でね

ミユ

それなんだけど、最初だけだと思うけど… 私も同じだったから！

ミユ

そのうち、一緒にいるのがしんどくなってくると思うよ！

ユイ

は？！ブヨブヨのあんたと一緒にしないで！

ユイ

私は、半年後の大会にも一緒に出ることになったから

ユイ

これから食事も徹底的に気を付けようねって言われててね

ユイ

だから私、こっそりと食生活アドバイザーの資格取るんだ！

ミユ

だから… そういうの最初に断っておいた方がいいと思うけど…

ユイ

向上心高め女子？あんたはあれでしょ？落ちぶれ女子！

ユイ

あんたとは一緒に大会は目指せねぇって言ってたよ

ミユ

うん、知ってる、もう私には無理だから…

ミユ

色々話合ったから、もしユイがうまくやれるなら、

ミユ

コウ君と頑張って欲しいと心から思ってるよ

ユイ

うん、コウ君もあの腹デブ女とは別れたって言ってたし

ユイ

なんかさ、私の引き締まった体から離れられないって言われてて

ユイ

あれから、ほとんど毎日、そういう事があるってすごくない？

ミユ

ごめん、私も付き合った最初はそうだったから…

ユイ

バイバイしてもすぐに会いたくなって、

ユイ

コウ君の腹筋もバッキバッキだから、つい触りたくなるし

ユイ

何より、二人で筋肉愛を語りあうと、時間があっという間で！

ユイ

コウ君が好きな私の筋肉は腹筋なんだって！

ミユ

へ、ぇ… そこは私と違うかも彼とうまくやれそうで良かった

ユイ

ミユは、お腹がデブってるから、温泉行ったら恥ずかしいけど、

ユイ

ユイの腹筋は素晴らしいって褒めてくれるし！

ミユ

あの！だからさ、もう別れるから、お好きにどうぞ！

ユイ

じゃあ！遠慮なく！でもさ、色々と報告してもいいでしょ？

ユイ

コウ君の筋肉を、誰かと共有したいの！

ミユ

え？別れるって言ったよね？コウ君の事はもういいよ

ミユ

どっちかと言うと、もう聞きたくないし…

ユイ

あ、そうね、じゃぁ、これから、コウ君に会うんだけどさ

ユイ

最後に何か伝えておくことありますかぁ？

ミユ

ありません！

～数週間後～

ユイ

ただいまぁ！早速温泉行ってきたよぉ！

ユイ

ミユにお土産、買ってきたよぉ

ミユ

え？なんで？全然いらないし

ユイ

だって、一応、略奪愛しちゃったわけだし、罪悪感っていうの？

ユイ

私、イイ女だからさ、こういう義理みたいなのは大事にしてて

ミユ

は？全然、そういうのいらないです

ユイ

えー、なんで、ミユとは友だち続けたいなって思ってるよ

ユイ

大学のゼミまで同じだったんだし、

ユイ

絶対に同窓会とかあるわけじゃん？

ユイ

気まずいまま？会いたくないからさ

ミユ

うん、それは、そうだね、じゃあ、はい、もう怒ってません

ミユ

彼は、あなたに差し上げますので！

ミユ

これで満足でしょうか？

ユイ

えー、なんか冷たいね、あ、やっぱりムカつくよね？

ユイ

今カノが元カノよりもイイ女だたらさ、

ミユ

え、いや全然、ムカつかないよ、

ユイ

え？本当に？じゃあ、友達として聞いて！

ユイ

コウ君って本当に元気だよねっ

ユイ

温泉旅行の夕飯をね、鯛の御造りをわざわざつけて

ユイ

アップグレードしておいたの！

ユイ

なのに、全然手も付けずに、私の体ばっかり…。

ミユ

へぇ…

ユイ

あとね、こっそりとシャンパンも持参してたの

ユイ

二人で乾杯しようかと思って

ユイ

そしたら、そんなの要らないって、もう朝まで何回も…

ミユ

そりゃ、良かったね

ユイ

まだ、あるんだけど！

ユイ

いいテナントがあって買ったから共同経営者になろうって！

ユイ

これって結婚前提じゃない？

ミユ

え？買ったの？

ユイ

一緒にいよう！ってことはさ？

ユイ

やっぱり、これって、両親にも紹介した方がいいと思う？

ユイ

何かあって、問題とかになってからよりも

ユイ

ちゃんと、順番に進んだ方がいいかなと思ってて

ミユ

へぇ、うん、いいんじゃない？

ユイ

やっぱり？そうだよね！わぁ、私もいよいよ結婚かぁ

ユイ

私もね、ほら食生活アドバイザー勉強してるじゃん！？

ユイ

将来二人でさ、プライベートジムとか開いて、

ユイ

みたいな事、夢だったんだよねぇ

ミユ

食生活アドバイザー取っても、彼には意味ないと思うよ！

ユイ

そしたらさ、すでに筋トレマシン何台かあるらしいじゃん！

ユイ

それって、コウ君が使ってたんでしょ？

ミユ

え？あ、うん、あるよ

ミユ

置くところ限られるから、今は私の実家の車庫に置いてあるけど…

ミユ

結構大きいし、型がもう古いよ

ミユ

あと、送料もいくらかかるかわかんないよ

ユイ

いいのいいの！色々と軌道に乗るまでは、節約しなきゃだしね

ユイ

とりあえず、物件の住所送っておくから、すぐに送ってくれる？

ユイ

宜しくね！じゃね！

～数週間後～

ユイ

ね、ちょっと！どうしよう？

ユイ

こんな、巨大な旧型マシン

ユイ

このテナントではこの重さは重量オーバーだから、ダメだって

ミユ

え？テナントの管理会社にきちんと伝えてなかったの？

ユイ

私は、契約の時にいなかったから知らない！

ユイ

コウ君に連絡しても、ジムにするって言ってある！って言うし…

ユイ

なのに、なんで？どうしよう…

ミユ

それは、二人で決めてよ…

ユイ

とりあえず、置く場所、ミユの所へ戻してもいいかな？

ミユ

え！それは無理、ここの車庫、親が他の人に貸し出ししちゃったし

ユイ

へ？

ミユ

こっちは無理だよ！引っ越し業者に預かってもらえるんじゃない？

ユイ

え、そんなシステムあるの？

ミユ

とりあえず、聞いてみたら？

ユイ

うん、ちょっと待ってて

～数分後～

ユイ

預かってもらえるけど、今日の引っ越し代金がそもそも…

ユイ

重量が100キロ超えで５人必要だったから30万、

ユイ

プラス一時預かりは１日2万だって！

ミユ

えー、高っ！

ミユ

でも、とりあえず預かってもらえてよかったじゃん！

ユイ

へ？何、呑気な事言ってるの！

ミユ

なんで？とりあえず、置く場所を探すのが優先だよね？

ユイ

預り金が10日分必要だから、20万

ユイ

本日分の引っ越し代30万と預り金20万

ユイ

合わせて50万、現金で払えって言われて

ミユ

確かに、そういうの相場がよくわかんないけど…

ミユ

どうしようもないし、払うしかないんじゃないの？

ユイ

なんで！他人事なの！

ユイ

コウ君もココに来ないで他人事だし！

ユイ

大体！あんたが勝手に送ってきたのが悪いんでしょ！

ユイ

半分は責任取ってよね！

ユイ

重量の事とかも知ってて頼んだんでしょ！

ミユ

え？私はただ、送ってって言われたから送っただけだけど？

ミユ

重量制限の事だって私は聞いてないし、コウ君二人で決めてよ！

ユイ

コウ君も私も、テナント代に使ってしまって現金ないの！

ユイ

とりえあずお金、貸して欲しい！

ミユ

え、無理だよ！そんなお金無いよ

ミユ

私、仕事に戻るから、力になれない、ごめん、

ユイ

あ、ねぇ！どうしたらいいの？

ユイ

ねぇ、ちょっと！

ユイ

ねぇ、無視しないでよ！

～9日後～

ユイ

ミユ、助けて…

ユイ

私、死ぬかもしれない…

ミユ

え？どうしたの？

ユイ

あれから、コウ君と今後の事を話合う為に毎日会うんだけど、

ユイ

会ってる間は、ずっと筋トレかエッチばっかりなの

ミユ

あ、ね、それ言ったよ？最初に断らないと、大変な事になるよって

ユイ

へ？き、聞いてないよ

ユイ

全身、筋肉痛がヤバくて普通に生活もできないし

ユイ

カロリーに気をつけて、食事作っても全然食べてくれなくて、

ミユ

だから、それも言ったよ？温泉行っても食べなかったでしょ？

ミユ

食生活アドバイザー取っても、意味ないよって

ユイ

私にも、大会が終わるまではささ身とプロテインしか食べるなって

ユイ

かと言って体重が減ると、筋肉が足りないからって

ユイ

スクワットと腹筋と腕立て伏せを100回ｘ10セット

ミユ

あー、うん、私も大会前は40キロまで減って死にそうだったから

ミユ

それで、体調壊して生理も止まって寝込んだの

ユイ

へ？

ユイ

なんで、先に言ってくれなかったの？

ユイ

そんな大変だって知らなかったから！

ミユ

え？私言ったよ

ミユ

最初はいいけど、一緒にいるのがしんどくなるよって！

ユイ

た、たすけて欲しい…

ミユ

え、無理だよ！

ミユ

話合えば？ちゃんと話は聞いてくれるでしょ！？

ユイ

話合いにならないの！筋トレマシンの費用だって私のせいだって

ユイ

お前が勝手に送れとか言ったからだ！とか言われて

ユイ

結局、私の親に借りて、50万は払ったんだけど、明日で10日目

ユイ

置くところがないから、会社用のレンタルボックス借りたんだけど

ユイ

その移動費用に30万とレンタルボックスの初期費用で30万

ミユ

あぁ、なんだか計算できなくなってきた…

ミユ

誰が払うの？

ユイ

もう、知らないよ！

ユイ

こんなことなら、一緒にいなきゃよかった！

ユイ

なんで、私ばっかり！？

ユイ

聞いてない話ばっかり！

ミユ

えー、そうかなぁ？

ミユ

私、言ったけど？

ミユ

筋トレマシン、結構大きいし、古いよって

ミユ

数週間前にさかのぼってみてごらんよ！ライン残ってるよ

ユイ

そんな…

ユイ

ねぇ、本当に助けて欲しい

ユイ

まずは、彼から逃げるにはどうしたらいい？

ミユ

あー、どうかな

ミユ

私も、逃げようとしたけど、結局連れ戻されて

ミユ

筋トレやりすぎて、疲労骨折して初めて開放されたかな

ユイ

こ、骨折…。

ユイ

そんなの無理だよ

ミユ

とりあえず、テナントの共同経営者はどうなったの？

ユイ

サイン…した

ミユ

えー、じゃあそっちの方の支払いもあるんだね？！

ミユ

ま、せいぜい頑張って！

ユイ

へ？

ユイ

そんな、他人事みたいに言わないでよ

ユイ

そもそもはあんたの彼氏でしょ？

ミユ

私は、結婚してたわけではなかったけど、筋トレマシンもあったし

ミユ

今後、どうやって彼から逃げようか毎日悩んでたら、

ミユ

ユイが彼を上手に奪ってくれたから、良かった！って

ユイ

へ？

ユイ

別れたかった？彼と？

ミユ

うん、バキバキの束バッキーはいらないので！

ミユ

まさか…入籍はしてないよね？！

ユイ

え、入籍もしちゃった…

ミユ

うわー、、それは大変そうだね…

ミユ

頑張ってね、しか言えないけど！

ミユ

とりあえず、私はこれでもう関係なくなったので…

ミユ

では、元気でね

ユイ

え！ちょっと！待って！

ユイ

そんな、冷たい事言わないで！

ユイ

相談乗ってよ、友達でしょ！？

ユイ

ねぇ！ちょっと、無視しないで！

～後日談～

ミユ

そして、あれから半年経ち…

ミユ

ユイは結局、親に借金したレンタルボックス代と引っ越し費用と、

ミユ

あと、新しくレンタルした筋トレマシン用の部屋代で

ミユ

結果、半年たらずでどこかの金融で300万ほど借金したようです

ミユ

昼は筋トレし、夜は借金の為にバイトを始めたと言っていました

ミユ

そして元カレは、ユイとフィジークの大会にペア出場して入賞

ミユ

今度は優勝狙い、また半年後に出場すると張り切っているそうです

ミユ

私は、バキバキから解放され、毎日楽しくおいしい物を食べて

ミユ

体重も筋肉量も気にしない日々を満喫しています！

ユイ

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田中俊樹

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