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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

カタリナ

あ…

カタリナ

うぅ……。

カタリナさんは日に日に 病に蝕まれ

そのうち食事すら ままならない状態になった。

医者から告げられたのは 治療法はなく、余命3ヶ月という 残酷な結果だけで

母さんとリアーナを除いて 誰もがその事態を嘆いた。

そして

美しく、それでいて勇ましい カタリナさんの衰退に

僕は重く苦しんでいた。

ある日、友人だったシゼのお兄様と 病床に訪れた時、

カタリナさんは僕に 詰まり詰まり懇願した。

カタリナ

……マーキス、

カタリナ

私の…子を、シゼを、

カタリナ

頼んだわ、よ……。

カタリナ

仲良く、する…のよ。

事態が分かっていない小さな娘を見て

彼女は僕にそう願いを託した。

カタリナさんの「頼む」には 色んな意味があるように感じられて

僕はそれを叶えてあげたいと 思った。

シゼ達を守り、 カタリナさんの意思を継ぐ

それが僕が決意した生き方だった。

マーキス

…けれど、

マーキス

カタリナさんが亡くなった後

マーキス

母さんは僕を跡取り候補にし

マーキス

寄宿学校に入らせ

マーキス

その間にシゼのお兄様を追い払い、

マーキス

僕の部屋に入ること禁止し、

マーキス

僕とシゼ達を会わせないようにした。

マーキス

…僕はそれに反抗することができなかった。

マーキス

今まで怖かった母さんが

マーキス

僕を跡取りにした途端、たくさん甘やかしてくれたんだ。

マーキス

だから、

マーキス

もし僕が反抗したら

マーキス

また怖くなってしまうんじゃないかって思ってしまって…。

マーキス

…僕は、

マーキス

弱い人間だ。

シゼ

お兄様…。

シゼ

(そういうことだったのか…。)

シゼ

(マーキスは、)

シゼ

(心の中ではずっと義母さんに反抗してて)

シゼ

(ずっと私達を守りたかったんだ…。)

マーキス

僕にできることは、

マーキス

今のシゼを少しでも自由にすることだと思う。

マーキス

マーキス

これを見てさらにそう思ったんだ。

パラッ

(マーキスが 数枚の紙をシゼに見せる)

シゼ

!?…

シゼ

えっ、ちょちょ…

シゼ

(え、なんで!?!?)

シゼ

(それ、私の小説の…

シゼ

(((((((1ヶ月前に作った短編集の原稿じゃん!!!)))))

シゼ

(無くしたって思ってたのに…なんで!?)

マーキス

驚いた顔をしてるね。

マーキス

リアーナが「つまらない物を見つけましたわ。」って言って見せてきたんだ。

シゼ

はぁもうあの人マジ最低…。

シゼ

(あ、思わず素が出ちゃった。)

マーキス

これ、シゼが書いたんでしょ?

マーキス

なかなか面白かったよ。

マーキス

雨を降らせてしまう女の子が冒険するなんてなかなか考え付かないし

マーキス

それにこの文章。

追手から逃げ切り 街を出た少女は

誰もいない夜の野原で 自分を照らす月をゆっくりと 見上げた。

冷たい空気が頬に入りつき 白い息が空に溶ける。

月の光はぼんやりと雲に透け、 黒い空にキラキラと光る 水晶のカケラを散りばめ

外に出て初めて見る 自然の美しさに 思わず彼女は涙した。

マーキス

ここの空の描写が特に好き。

シゼ

そっ

シゼ

そうでございますか…

シゼ

(いやぁああ恥ずかしいー!)

シゼ

(目の前で自分の兄弟に読まれるなんて、なんたる拷問…。)

シゼ

(前世でさえされたことなかったのに…。)

マーキス

読んだ時、小さい頃にカタリナさんと見た星空を思い出したよ。

マーキス

本当に…ギッセルと同じく泣いてしまうくらい綺麗だった。

マーキス

マーキス

シゼの文章は、

マーキス

他にはない特別なものを感じる。

マーキス

そして

マーキス

たくさんの人が

マーキス

その特別なものを求めているような気がするんだ。

シゼ

!…

シゼ

特別な…もの?

マーキス

うん。

マーキス

要するにシゼの才能は、もっと知れ渡るべきだってこと。

シゼ

…。

シゼ

(ちょっと嬉しいかも。)

シゼ

(そんなこと、前世でも言われたことがなかったから…。)

マーキス

だからシゼ、

マーキス

君はここで生きるだけじゃもったいない。

マーキス

だから、僕は君をお城から出そうと思ったんだ。

マーキス

マーキス

…迷惑だった?

シゼ

い、いいえ。

シゼ

むしろ、ありがたいです。

マーキス

それはよかった。

マーキス

マーキス

僕から話すことはこれで全部だ。

マーキス

この家は僕に任せて

マーキス

向こうでも頑張るんだよ。

マーキス

…元気でね、シゼ。

シゼ

はい。

シゼ

…お兄様もお元気で。

その後

シゼ

ふわぁ…

シゼ

シゼ

そろそろ寝るか…。

アレン

…。

アーク

…。

アレンとアークが シゼのベッドで眠っている。

シゼ

…。

ボフッ

モゾモゾ…

シゼ

(狭い…。)

シゼ

(けど)

シゼ

(起こさないでそのままにしておこっと。)

シゼ

おやすみなさい…。

あのー…

シゼ

…。

あの…

お、おはようございます。

ちょっと起きてもらえますか…?

10分くらいで僕の話終わるんで。

シゼ

……ん…。

シゼ

んん…。

あぁ起きないっ、どうしよう。

ほら…起きないと呪いかけますよっ!

…かけ方知らないけど。

ええい、

こうなったら…

シゼ

…ん、

シゼ

シゼ

うえっ…!!

シゼ

魚くさッ!…て、

シゼ

ここは…っ?

あ!起きましたね!

おはようございます。

シゼ

っ?

ムニッ (シゼが頬をつねる)

シゼ

(…夢じゃない)

初めまして、シゼもとい 【志瀬花子】さん。

私は

志瀬さんを転生させた

破壊神です。

今日は

貴方にお話があって参りました。

第10話 おわり

とある物書きの挑戦譚 【第一期】

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コメント

13

ユーザー

破壊神だと?!

ユーザー
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