女子生徒
相澤さん、一条くんと付き合ったって本当なの?!

相澤桜子
えぇ?!

まだ授業がはじまる前の教室、私は、大勢の女子生徒に囲まれていた
女子生徒
今日も一緒に登校してきたし怪しい…!

女子生徒
相澤さんって成瀬くんとつきあっているんじゃなかったの?

女子生徒
てか、手出すのはやくない?

女子生徒
答えなさいよ!

相澤桜子
え、えっと…

女子生徒
あっ、一条くんが来た!

相澤桜子
(ふぅ、助かった…)

女子生徒
ねぇ一条くぅん🖤、相澤さんと付き合っているって噂、本当なのぉ?

女子生徒
本当だったらうちらショックなんだけどぉ…

一条翡翠
……

相澤桜子
(?何で黙って……あ、そうだ!)

翡翠ちゃん改め翡翠は、昔から私以外への態度がものすごくキツく、平気で相手を無視したりと、特に自分や私と仲良くなろうと近づく子には容赦がなかった
一条翡翠
嫌だッ!桜子と同じグループじゃないなんてッ!

一条翡翠
もう遠足なんて行かないッ!!

相澤桜子
翡翠ちゃん、そんなこと言ったって先生が決めたんだから…

一条翡翠
チッ…!何やってんだよあのババア…

相澤桜子
翡翠ちゃん、なにか言った…?

一条翡翠
ううん!何でもないよ?

相澤桜子
…それより、ちゃんと遠足来てね?お昼はグループ関係なく自由に食べられるし、私、翡翠ちゃんと一緒にお弁当食べたいなぁ…

一条翡翠
~ッ//////わかった!

一条翡翠
…桜子とお弁当食べるために我慢する…

相澤桜子
(翡翠ちゃん、あっちのグループで上手くやれてるかな…?)

相澤桜子
(他の子にキツく当たってないか不安だな…)

相澤桜子
よし、少しだけ見てこう

翡翠のグループを見てみると、彼に話しかけている一人の女の子がいた
相澤桜子
(あの子、確か翡翠ちゃんと同じグループの…)

女の子
ねぇ、翡翠ちゃんってさ、お人形さんみたいで可愛いよね!

一条翡翠
……

女の子
髪の毛もサラッサラだし…いいなぁ、ボク、クセっ毛だから羨ましい~

一条翡翠
……ハァ

相澤桜子
(…?珍しいな、女の子なのに自分のこと『ボク』って…)

相澤桜子
(それより翡翠ちゃん、全然あの子と会話する気配がないよ…)

女の子
ねぇ!ちょと触らせて!

相澤桜子
…ッ!?

女の子
痛…ッ!

一条翡翠
何してんだよテメェ…気持ちワリィ…

一条翡翠
俺の髪に触っていいのは桜子だけなんだよ…

一条翡翠
桜子が綺麗って言ってくれるから大切に伸ばしてんのに…ッ!

女の子はポカンとした顔でただただ翡翠のことを見ていた
相澤桜子
ひっ、翡翠ちゃんやめなよ…!

一条翡翠
桜子?!どうして…

相澤桜子
おっ、女の子に手、あげるなんて…ッ!

女の子
えっ?

相澤桜子
ねぇ、大丈夫?!痛かったよね…

私はその子の手を掴んで、赤くなっていないかまじまじと見つめた
女の子
……

一条翡翠
桜子、約束忘れたの?

相澤桜子
約束…?

相澤桜子
…ッ!

相澤桜子
(あ…翡翠ちゃん以外と仲良くしちゃいけないって約束…)

相澤桜子
ご、ごめん…

女の子
……

女の子は、さっきまで私に掴まれていた手をじっと見つめていた
相澤桜子
(あ、怪我しているのかもしれないのに強く掴みすぎちゃったかな…)

私が不安がっていると、遠くからお昼ご飯を知らせる先生の声が聞こえた
一条翡翠
食べる前に、汚れちゃった桜子の手を綺麗に洗わなきゃ…

一条翡翠
あ、そうだ!お弁当一緒に食べる約束でしょ?はやく行こう!

相澤桜子
あっ、

女の子の手を気にしつつ翡翠に手を引かれ、私はその場を後にした
女の子?
…さっきの子の僕を心配そうに見る目、握りしめる手…

女の子?
…アァァッ//////スッゴいイイッ!あの柔らかい手…ッ!天使のような眼差し…ッ!

女の子?
思い出しただけでゾクゾクする…🖤

女の子?
もっと、あの子にボクだけを見てて欲しい…🖤

女の子?
どうしたらずっと見てもらえるかな~?
