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真夜中。
大雨の中、私は孤児院の塀にもたれ、うずくまっていた。
燕 紡歌
今日もまた、怒られた。 今日もまた、殴られた。
先生が言うには、私は悪い子らしい。
私が悪い子だから、お仕置をしなきゃいけないらしい。
燕 紡歌
だから蹴って、殴って、こんな雨の中に5歳の子供を放り出すのだ。
雨が傷口に沁みる。 空を見上げてみたけど、暗くて何も見えない。 けど、音を聞く限り雨はまだ止みそうになかった。
燕 紡歌
歯がガチガチと鳴る。 手足の指先の感覚なんて、とうの昔になくなっていた。
燕 紡歌
段々、身体に力が入らなくなってきた。 視界もぼやけて、自分の足元さえまともに見えやしない。
燕 紡歌
燕 紡歌
私はついに生きることを諦めて、ゆっくり目を閉じた。
???
誰かが近くで話してる...ような気がした。 ついに幻聴まで聞こえるようになっている。 いよいよ私は死ぬらしい。
???
???
幻聴が何やら必死そうだったので、可哀想になって返事をしてあげることにした。
燕 紡歌
???
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燕 紡歌
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燕 紡歌
生まれてから、誰かに優しくされた記憶なんてなかった。
あったとしても、それは下心の透けた親切ばかり。とても信用できるものじゃなかった。
そして何より、私に助けるほどの価値があるとは思えない。
???
???
その声に目をこじ開けてみると、 今にも泣きそうな顔をした男の人がいた。
燕 紡歌
燕 紡歌
???
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燕 紡歌
???
???
???
???
軽々と身体が宙に浮いた。 そんなに痩せているつもりはなかったので、この男性は相当な力持ちなのだろう。
???
燕 紡歌
福澤諭吉
燕 紡歌
燕 紡歌
福澤諭吉
福澤諭吉
今度こそ、身体から力が抜けてきた。 なんとかこじ開けていた目が開かない。
福澤諭吉
その優しい声に安心して、私は眠りについた──
これが、 私と福澤さんとの 出会いだった
桃簾(主)
桃簾(主)
桃簾(主)
桃簾(主)
桃簾(主)
桃簾(主)
桃簾(主)
桃簾(主)
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