この作品はいかがでしたか?
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お母さん
日向
お母さんに俺の秘蔵コレクションがある場所がバレていたなど、とんでもない事実が発覚したりしたが、数々の質疑応答、紆余曲折を得て、一度冷静さを取り戻した俺とお母さんはリビングで対面していた。
TVの電源は落とされ、家の中を暖房や電化製品の音が支配している。そして時折車やバイクが通る環境音が鳴っていた。
日向
一度、沈黙。お母さんは何とも言えない表情をしながら、黙ってしまう。きっとそれもしょうがないことなのだろう。
世界広しと言えど、インターネットで幾ら検索した所で突然性別が変わってしまったなんて事例はヒットしない。
当然、この事態に対処する方法も、誰も教えてくれない。
気を紛らわせるために、床に届かず行き場のない足をぷらぷらさせる。男だった時はこの椅子、小さく感じていたのに。
お母さん
日向
……言えない。言える訳が無い。
サンタさんに手紙を書いてただけでも恥ずかしいのに、女の子になりたいなんて書いてた事、言える訳が無いだろ!
日向
お母さん
思わず嘘を吐いてしまったが『こんな黒歴史はだけの秘密にしておくべきなのだ』と頭の中の何かが囁いたせいだ。
お母さん
服と見た目か。今垂れ下がって見えているこの髪の毛を見れば分かるように、驚くほど白い。燻んで黒が混じっていたり、灰色になっている部分など皆無で本当に真っ白だ。
同様に掌を見れば白粉を塗したのではないかと見紛う程に白かった。
どう考えてもこんな容姿では悪目立ちしてしまうに違いない。
服は明らかにサイズの合っていない男物のパジャマを着ている為、着心地も悪く風が直に通り抜け、ずっと素っ裸のような感覚になっている。
日向
お母さん
お母さんに促されるまま、席を立つと、足早にお風呂場へと赴く。全身が映る鏡がそこにしかないからだ。
顔を伏せながら風呂場へのドアを開ける。
変わってしまった自分の姿を見て、平気でいられるだろうか。それこそ、余りにも酷ければ立ち直れないかもしれない。
……目を閉じると顔を上げて、恐る恐る瞼を開きながら鏡へと視線を遣る。
そこには、宝石の様なルビーとエメラルド色のオッドアイを向けて、惚けた表情で立ち竦む、純白の天使がいた。
身長も低いということは分かるが、詳細は分からない。
鏡に手を当てれば、天使も同じ動きをする。笑顔を作ろうとすれば、ぎこちないながらも天使も笑みを見せてくる。
その動きは全く同一で、寸分の狂いもなかった。この鏡の中の少女は俺なのだろう。
日向
意識は男のままなのに、現実がその性別を否定してきているみたいだった。オッドアイであることも作用し、情報量が多くて頭の中の整理が追いつかない。
リビングに戻り、席に座るとお母さんは話しかけようとしてきたが、俺が深く考え込んでいる様子を見たせいか、話題を転換してくる。
お母さん
お母さんの言う細川さん家には細川海斗という親友がいる。同級生で、小学から高校まで同じ学校に通っている幼馴染でもあった。娘というのは、十中八九、海斗の妹である葵だろう。
ん……?葵と同じくらい……って
日向
次回 『服騒動』
コメント
9件
まぁ文章が拙すぎて1回ひこうかいにしようかなとおもってますが…
自分も同じ系統で描いてます…!
100にしましたー