テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
佐藤アールグレイ(作者)
「お隣、いいかしら。」
この言葉が全ての始まりでした。
どこかよそよそしく隣に座る彼女の緊張を解きたく、紅茶を勧めました。
彼女と再会して、私の中で古びた時計の歯車が動き出したような気持ちになったのです。
私は過去に彼女と親しい仲でした。
ですが「あの出来事」のせいで居場所をうばわれ、彼女は傷つきました。
私は彼女を守れなかった後悔と懺悔の気持ちを、今に至るまで拭えていません。
でも今この時代に再会することができました。
ですが、彼女には過去の記憶がなく、私のことも覚えていないような様子でした。
彼女が私を「友人のイギリス(私)」としてでなく、「作家としてのイギリス(私)」として見ているその目に、胸に穴が空いた気分になりました。
それでも、彼女と再会できた、それだけで私は、涙だけでなく、普段内側に閉じ込めている感情もあふれ出しそうになりました。
本来私は感情に操られて動揺するほど浅はかではありません。
ですが、彼女を一度でも見てしまうと、今の彼女や過去の彼女との出来事を思い出してしまうと、
そうではなくなってしまう自分がいます。
そこで、目の前の淹れたての熱い紅茶をすぐに飲み干す具合に、どこにやればいいのかわからない私の彼女への気持ちを吐き出すため、
私のこの鮮やかな感情を書き留める所存です。
自分の気持ちをここに書き出すのは少々照れくさいですが、時間、感情、全てを形にしたい私は、誰にも内緒でこの日記に、彼女との出来事、彼女への私の気持ちを書き出す次第です。