高校2年目の春

主人公の名前は小山美咲（こやま みさき）。彼氏持ちの友人たちに囲まれて、いつも彼女だけが浮いているような気がしていた。昼休みのカフェテリアでの会話も、最近はただの聞き役にことが多かった。

楽しそうな友人たちの会話の輪の中で、美咲はひとり、心の中でため息をつく。彼女たちが悪いわけじゃない。ただ、自分がその輪の中に入り込めないのがつらいだけだった。

そんなある日、ホームルームで担任が突然告げた。

教室がざわつく中、ドアが開き、ひとりの男子生徒が入ってきた。彼を見た瞬間、美咲の表情が強張った。

その男子生徒、藤原翔太（ふじわら しょうた）は、小学校の頃の幼馴染だった。昔から勝手に家に遊びに来たり、しつこく話しかけてきたりと、美咲にとっては「鬱陶しい存在」だった。

翔太がにこやかに話しかけてくると、美咲はぎこちなく笑った。

内心では、なぜ今さら転校してきたのかと困惑していた。

放課後の再会

その日の放課後、美咲は一人で校門を出ようとしていたが、背後から声がかかった。

振り返ると、翔太が駆け寄ってきた。

突然の言葉に、美咲は目を見開いた。

翔太の言葉は冗談には聞こえなかった。その真剣な瞳に、美咲は言葉を失った。

3人の友人たちとの違和感

次の日、美咲は友人たちと一緒に昼休みを過ごしていたが、翔太の存在が気になって仕方がなかった。友人たちは相変わらず彼氏の話で盛り上がっている。

不意に話を振られ、美咲は困惑した。

その時、教室の窓越しに見えたのは、グラウンドでサッカー部と話している翔太だった。なぜか彼の姿に目が止まる。

慌てて否定するが、心臓がドキドキしているのを感じていた。

違う違う！翔太は鬱陶しくて嫌いな存在！なのに、、、

好き、なのかも、そう一瞬、頭をよぎった

幼馴染の一歩

その日の帰り道、翔太がまた美咲を待っていた。

翔太の変わらない強引さに少しうんざりしながらも、美咲はなぜか彼の歩調に合わせてしまう。

図星を突かれ、美咲は驚いた。

翔太の言葉に、美咲の心が少しだけ揺れた。翔太のことを嫌いだと思っていたのに、彼がこんな風に自分のことを見てくれていたなんて。

美咲の葛藤

その夜、美咲はベッドの上でぼんやりと天井を見つめていた。翔太の言葉が頭を離れない。

「俺はそんな美咲が好きなんだよな。」

どうしても素直に受け止められない自分と、どこかで嬉しく感じている自分がいる。

美咲の心の中で、これまで感じたことのない感情が少しずつ芽生え始めていた――。

（続く）