渡さない!

チラッと、ゆあんくんの方を向く

ゆあんくんは

どう、思ってたのかな

私は、ゆあんくんの感想を聞きたい

…、あれ、なんでそんなこと…

るなが私に抱きつく

るなに抱きつかれても

胸の音が大きくなったりはしない

でも、ゆあんくんだったら…？

……考えるだけで

胸の音が大きくなり

全身が熱くなる

なんでゆあんくんにだけ、

こんなに態度が違うんだろ

解散したあと

私は、この気持ちを

のあさんに相談してみることにした

ゆあんくんのことが…？

好き…？

そうか

ゆあんくんと近くにいたい

ゆあんくんと話したい

…と、思ったのは

全て、恋のせいだったんだって

そう思うと

私の頭に熱がこもる

こんな気持ちは

やっぱり、るなにも話しときたくて

なんとなく、るなの部屋に来ていた

ドアノブに手をかけると

ドアの向こうから、笑い声が聞こえる

そっと耳を澄ませる

きっと

勉強をしているんだろう

そっか…

そうだよね

同い年、だもんね

それぐらい、当たり前…だもんね

でも、私には、

そんな当たり前のことすら、

ゆあんくんとできないんだよ…

さっきまで頭にこもっていた熱が

スーッと消え去り

代わりに心にモヤがかかる

でも、この気持ちも

ゆあんくんのことが好きだからおきてるんだって

そう思うと

なんだか気恥ずかしくて

でも、この気持ちは消えない

一つため息をつき

私はドアノブから

そっと手を離した