飼い犬、太宰さんの犬の僕

ｺﾂﾝ、ｺﾂﾝ

と、面白そうに笑う

ｺﾂ、ｺﾂと足音が響く

敦が震えながらこちらの方を向いた

太宰は、一瞬悲しそうに目を細め、

ｺﾂﾝ、ｺﾂﾝと誰かの足音が響く

その瞬間、敦は恐怖に包まれた

嗚呼、始まる。

また、いつもの地獄が。

嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ

痛いのが嫌だ。

苦しみたくない。

何で、僕が……ｯ

だれ、か、、、

そう、だ

そうだ、助けを求めたって、

敦は、自分の小さな両腕で小さな体を抱きしめた

その時、

「何～、～～～来る～ ～～さん」

違う、医院長の声じゃない

その瞬間、敦の希望を捨て絶望を宿していた目に光が浮かんだ

ｺﾂﾝｺﾂﾝ、ｺﾂﾝと先程よりも足音が大きくなっている

ｯでも、医院長の代わりに僕を罰しに来たのかもしれない……

そんな不安が頭をよぎる

右手を見ると震えていた

……やっぱり、助けに来てくれる人なんていないんだ。

そんな事を考えていると、

「敦くん、」

気付けば、茶髪の、包帯を頭にぐるぐる巻いた青年が目の前に立っていた

いつの間にか、檻の鍵は開けられていた

敦は、今の状況が飲み込めずに、何らかの恐怖で震えていた。

茶髪の青年は、一瞬悲しそうに目を細めた

だが、それもほんの一瞬だけだった

と、満面な笑みで云う

と、今度は怪しげな笑みを浮かべて云った