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一番星のキミに恋するほどに切なくて。

第1話 - 一番星のキミに恋するほどに切なくて。

2022年01月18日

#SnowMan

#だてあべ

ぴな

亮平

「わぁ〜……」
目の前に広がる光景に感動する。
空いっぱいの星、星、星。
茜から群青色へと変わろうとする空を、両手を広げて見上げた。
帰る途中に涼太さんは寄るところがあると言って、この公園に来た。
涼太さんの行きつけらしい。
「綺麗っ！」

涼太

「……ここはよく星が見えるからな」
ーカチッ。(ライターの音)

亮平

涼太さんはタバコに火をつけた。
ふいに、涼太さんが星を見たくなるときって、どんなときだろう？と気になった

亮平

「涼太さんにも、星を見上げたくなる時があるの？」

涼太

「まぁ……な」

亮平

にごすよう涼太さんの口調に、なんとなくそれ以上は聞けなくなってしまった。
だからもう一度、星空を見上げることにする。

亮平

「すごいなぁ……こんなに星が近くに感じる」

亮平

でも……近くに感じることはできても、それに届くことはない。
近いようで、ずっとずっと遠い。

涼太

「……星が好きか？」

亮平

「うん!この地球上から見える中で一番好きかもしれない」

涼太

「……いっそのこと、星と結婚したらどうだ」

亮平

小さく笑いながら涼太さんは冗談を言う
涼太さん、絶対楽しんでるよ。

亮平

「……いいかもね!」

亮平

まぁ、近い将来、星になる僕は、それはいいかもしれないと思った。

涼太

「冗談だ」

亮平

「うーん、僕、星と結婚する!」

亮平

僕は強くうなずき、涼太さんに笑いかけた。

涼太

「……病院行くか？」

亮平

「やめてー!正気だから！」

亮平

頭がおかしくなったと思ってる！
涼太さんってば失礼だなぁ、もう!!

亮平

「それに、もう病院は十分…」

涼太

「十分って…お前、どっか悪いのか？」

亮平

「……えっ……？」

亮平

夜空に散りばめられた星から視線を外して、涼太さんを見る。
涼太さんは真剣な瞳でぼくをみていた。

涼太

「…やっぱり悪いのか？」

亮平

「ぜ、全然、このとおり、元気だよ」

亮平

バンザイして見せると、涼太さんは安心したように笑みを浮かべた。
よかった……バレてなくて。
ときどき口がすべっちゃうな。
というより、涼太さんが鋭いのかも。

亮平

「あっ……一番星、あれかな？」

亮平

よく目を凝らして夜空を見つめる。
その中にひときわ輝く星があった。

涼太

「……一番星？どれも一緒だろ」

亮平

涼太さんも、僕と同じように星を見上げる。

亮平

「ちがいまーす!一番星は日が暮れてから最初に見える星で、ほら、見て今見える星の中でいちばん明るいあの星だよ」

亮平

ほらあそこ、と夜空を指すと、亮太さんもその方向を見る。

涼太

「……あー……どれだ？」

亮平

「あそこっ!」

涼太

「……あ？」

亮平

「涼太さん……どの辺見てる？」

涼太

「……どの辺だろうな」

亮平

そんなやりとりがおもろしくて笑ってしまう。誰かとこうやって星を眺めるのはいいかもしれない。

涼太

「あ……あれか……」

亮平

どうやら見つけられたようだ。
そのまましばらくふたりで一番星を見つめる。

亮平

「人間って死んだら星になるんだって」

涼太

「……星に？」

亮平

「うん、だから星はこんなにたくさんあるんだね。」

亮平

僕も死んだら、星になるのかな……。

涼太

「……こんなに多いと誰が誰だかわからないだろ」

亮平

「うーん、…そうだよねー…。あっ！
じゃあ、僕が一番星になるよ！」

亮平

どんな星よりも早く出てきて空を照らす
どんな星よりも輝いて"僕はここだよ"って伝える。

涼太

「……亮平はまだ死なないだろ。もっと歳をとってから言えよ。」

亮平

「わっ……」

亮平

ガシッガシッと涼太さんに頭をなでられる。

亮平

「あっ、涼太さんはタバコ吸いすぎ!
長生きできなくないよ？」

涼太

「吸わない方が生きていけない」

亮平

「涼太さんまだ未成年なのに」

涼太

「今どきめずらしくもないだろ」

亮平

聞く耳をもたない涼太さんに、僕はため息をついていた。涼太さんのところで
居候している間は、涼太さんのこと、僕がしっかり見ていないと。
やらなきゃいけないことがたくさんありそうだ。いつか来る終わりの瞬間まで、
涼太さんのそばにいさせてもらうしか、
僕には道がない。
一緒に過ごす時間が増えたら……。
涼太さんは僕がいなくなっとき、悲しんでくれますか？

涼太

……行くぞ

亮平

「……うん！」

亮平

涙を流して……くれますか……？、
一日があっという間に過ぎ去っていく。
時間は止まってくれない。
幸せな時間はいつも……。
星が輝くように、一瞬にして終わってしまう。