らっだぁ
こんにちはぁ

???
おぉ、やっといらっしゃいましたか

らっだぁ
お久しぶりです。グルッペンさん

グルッペン
まぁ、らっだぁさん。そんなに固くならないで下さい

ぺいんと
其れはグルッペンさんもじゃないですかぁ?

クロノア
コラ、ぺいんと。そんな事云わないの
まぁ、確かにそうなんだけどね?

nakamu
確かにそうですよね…

赤髪のとも
確かに、固いよね

らっだぁ
そんなにでしょうか?

nakamu
そうですよ!!らっだぁさんも、ちょっとは敬語を外してみては?

らっだぁ
いいえ。流石に…

グルッペン
まぁまぁ、そんなに立ってると疲れるでしょう。席にお座り下さい

らっだぁ
…では、失礼します

俺は云われた通りに指定された席に座った。きょーさんとコンちゃんは俺の真後ろに立って話を聞く体勢になっていた
グルッペンさんは周りを見て全員居るのを確認した後、正面を向いて、口を開き出した
グルッペン
…さて、皆さんに来て頂いたのは他でも無い、妖怪の処分についての話だ。トントン、読んでくれ

トントン
はい。皆さん、先日別国にて決まった妖怪に関する議題を覚えていますか?

しにがみ
確か…妖怪に対しての殺処分と課題点、殺処分に関する手段への最終確認…でしたっけ?

トントン
はい。そうです

トントン
数年前から人間、人外の行方不明者が続出しています。行方不明になった場所はいずれも複雑でパターン化が難しく、困難を極めています

トントン
其れで、別国にて多くの議論が交わされた結果、妖怪の殺処分が決まりました

きんとき
殺処分については?どうやってするんですか?

トントン
殺処分に関しては、妖怪の頭と心臓を狙うと妖怪は消えるらしい、です

nakamu
…らしい、とは?

トントン
別国の情報曰く、頭と心臓は妖怪の弱点、らしいです

気長にそんな話を聞いていると、コンちゃんときょーさんがコソコソと話し出した
らっだぁ
…如何したの(ボソッ)

コンタミ
いや、頭と心臓が弱点って本当なのかなって思って…(ボソッ)

らっだぁ
種族による。まぁ、大抵の妖怪は決定打となる魂を取られると消えるよ(ボソッ)

金豚きょー
あかんやんけ…(ボソッ)

らっだぁ
そうなんだよ(ボソッ)

グルッペン
何を話しているんですか?

らっだぁ
いいえ、少し気になった事を話し合っていただけです。お構いなく

グルッペン
…成程、そう言う事ですか

クロノア
…で?グルッペンさんは今回の議題の決定打について、どう思ってるんですか?

グルッペン
ふむ!!クロノアさん、良い所に目を付けたな!!

クロノアさんの質問にグルッペンさんは意気揚々と、舞い上がりそうな程の興奮を少し見せた後、一旦咳払いをし話し始めた
グルッペン
コホンッ…俺は此の議題の決定打について、異議を申し立てたいと思っている

赤髪のとも
其れは、どれに関して?

グルッペン
無論、妖怪の殺処分に関してだゾ

らっだぁ
(ッ…!?)

ぺいんと
其れはまた、如何してです?

グルッペン
うむ。此れは俺個人の見解だが、妖怪に悪い奴は居ないと思っている。先ず、妖怪自身が自分の事を晒すと思うか?

きんとき
…た、確かに?

鬱
…ほぉーん…

考えに耽ていたともさんが急に顔を上げ、何を思ったのか、不思議な事を云い出した
赤髪のとも
…そうかなぁ?

らっだぁ
(ともさん…!?)

赤髪のとも
だって、妖怪が人間に扮して紛れ込んでる可能性だって有るし、其の妖怪が人間に危害を加える可能性だって有るんだよ?其の場合、如何するの?

グルッペン
…ふむ。確かに、其の点も捨て難くない。が、人間に扮して頑張っている妖怪をわざわざバラして退治するのは何か違う気がするのだ

赤髪のとも
…そっか…

トントン
…確かにそうだな。俺も余り妖怪には良い印象を持ってないけど、何もかも妖怪が悪いとは限らないからな

トントン
実際、俺もそう思っている

鬱
…トンちがそんなん云うの初めてやな

トントン
お前、書類増やされたいんか?

鬱
やぁーん、やめてぇやw

らっだぁ
(…グルッペン君…トントン君…)

らっだぁ
(昔から、変わらないなぁ…)

金豚きょー
…あの

金豚きょー
グルッペンさんは、如何してそんなに妖怪に肩入れするんですか?

らっだぁ
ん!?きょーさん!?

金豚きょー
あ、すまん。気になって…

コンタミ
確かに気になるぅ

らっだぁ
コンちゃん!?

金豚きょー
お前もかぁ!?

コンタミ
あははぁw

クロノア
…俺も、だなぁ?

らっだぁ
んん!?クロノアさん!?

ぺいんと
へ!?クロノアさん!?

クロノア
んふふw御免ねぇw

グルッペン
む、肩入れとは人聞きの悪い…

グルッペン
クロノアさんまで疑うとは…

らっだぁ
えっと…すみません…!!

ぺいんと
すんませんッ!!後でなんか言っときます!!

グルッペン
いや、大丈夫です。しかしきょーさん、如何して其のような事を…?

金豚きょー
…グルッペンさんは興味の持つ物にしか意見を持ったり、其の物にしか目が行かないかと思っています

金豚きょー
グルッペンさん自身が異議を申し立てるのは珍しいし、余程興味を持っているのかと思いまして…

グルッペン
…ふむ。確かにそうだな

グルッペン
知らない人からしたら、如何して俺が妖怪に対してこんなに異議を申すのか、分からないのかもしれないな……

グルッペン
…其れには、俺の過去が関わっているんだ

nakamu
…其れ、聞いて良いんですか?

グルッペン
俺は良いゾ!!

ぺいんと
え、聞きたーい!!

らっだぁ
…良いんですか?聞いても

グルッペン
良いゾ!!全然大丈夫だゾ!!

グルッペン
…お前も聞くか?

トントン
…聞かせてもらう

グルッペン
…分かった。では話そうか

グルッペン
俺が幼い時、とある村の人間に拉致られて、其の村の神社へ生贄にされた

らっだぁ
(あ…其の話は…)

グルッペン
…其の筈…だったのだが、其処に住んでいた妖怪に助けられたんだ。其の時はまだ妖怪とは気付かず、なんなら神様とも思っていたんだがなw

しにがみ
え、其の人、どんだけ風格が有ったんですか!?

きんとき
凄く威厳が有ったんだろうねぇ

らっだぁ
(其れ…俺だわ…)

グルッペン
アッハッハwそうなんだゾ!!
彼は物凄く風格が有って、俺すらも言葉を無くしていたからな!!

クロノア
其の人、凄いねぇ

クロノアさんはそう云ってチラッと俺の方を見る。其の顔はニヤニヤと笑っていた
其のニヤニヤとした笑顔を見てイラッとした俺は、クロノアさんに思念を送った
らっだぁ
(おまっ…!!なぁに俺の事見てんだよ!!)

クロノア
(わぁ!?急に思念送って来ないで!?)

らっだぁ
(送るに決まってんだろッ…!!何勝手に見てんだよ…!!!!)

クロノア
(うぅ…!!酷ぉい!!)

グルッペン
…そして何日か、神社の中で其の妖怪と一緒に過ごして居たんだ。時々、別の妖怪が神社に遊びに来て其の妖怪と話してたりしていたな

ぺいんと
…なんで其の妖怪は、グルッペンさんの事を直ぐに出さなかったんですか……?

グルッペン
…如何して、だったんだろうなぁ
…其れだけが、分からないんだ…

グルッペン
…でも、神社に居た妖怪の御陰で死ぬ筈だった俺が生かされたんだ。だから、全ての妖怪が悪いとは思わないんだゾ

らっだぁ
…そう、なんですね

金豚きょー
…其れは、分かる気がする

コンタミ
ねぇ

鬱
あれ?如何してですか?

金豚きょー
あー…色々有ってな

そう云ってきょーさんとコンちゃんが外方を向いた。其の二人の顔は、何処か悲しそうだった
らっだぁ
(…そっか…知ってるもんな…)

らっだぁ
(…ごめん…)

しにがみ
…何か、有ったんですか?

金豚きょー
まぁな。もう解決してるけどな

皆はそれぞれ、納得したように見えたが
俺だけ、俺だけが其の笑顔の真相を見抜いていた