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Illuminate the darkness

第4話 - 第1部イージス領編 3話花の精霊

2021年02月09日

#ファンタジー

#女主人公

#魔法

日向

エスメル湿地帯

ルーナ

はぁっ！

農業町フォーミュラでクロエに教えて貰った祠の場所を目指し、魔獣と戦いながらエスメル湿地帯を進んでいた。

ルーナ

ふぅ…

ルーナ

ここ魔獣が多いね…

ルーナ

それに闇獣は全然見ないし…

タナトス

恐らく結界が結界が張ってあるのよ。

ルーナ

結界？

タナトス

ええ、闇獣の侵入を防ぐ結界よ。

タナトス

ちなみにフォーミュラでもその結界が張られてたわよ。

ルーナ

へー、そんなのあるんだね。

ルーナ

私にも使えるのかな？

タナトス

無理ね。

タナトス

貴方には素質が無いもの。

ルーナ

精霊士なのに？

タナトス

そうよ。

タナトス

精霊士はあくまで私達、精霊と契約して闇獣と対等に戦える力。

タナトス

結界は魔法の類よ。

タナトス

それも上位のね。

タナトス

特に結界魔法は、使える者は極端に少ないわ

タナトス

貴方が使える魔法は精々、下位魔法の属する攻撃魔法位ね。

ルーナ

確か攻撃魔法って、人によって使える属性が違うんだっけ？

タナトス

そう。

タナトス

貴方の場合は光ね。

ルーナ

光か〜、タナトスと被っちゃうね。

タナトス

嫌なの？

ルーナ

う、ううん！そうじゃなくて！

ルーナ

折角だったらタナトスと私がそれぞれ違う属性の魔法が使えたなら、戦いの幅も広がったのにって思ったんだよ。

タナトス

…驚いたわ。

タナトス

意外とアホそうな顔してちゃんと考えてるのね。

ルーナ

酷いよ！アホそうな顔って！

タナトス

アホそうなんだから仕方ないじゃない。

ルーナ

そんな顔してないよ！

タナトス

まぁ貴方の顔の事は置いといて、精霊士の魔法の属性はあっても無いようなものだから安心なさい。

ルーナ

いや、タナトスからふってきたよね！？

タナトス

乗ったのは貴方よ。

ルーナ

はぁ…もういいや…

ルーナ

…それであっても無いようなものってどういうこと？

タナトス

精霊士は精霊と契約して使える魔法の属性を増やすことが出来るのよ。

タナトス

例えば火の精霊と契約したら火の魔法、水の精霊と契約したら水の魔法…っていう感じで契約した精霊に応じて使える魔法の属性が増えていくのよ。

タナトス

ただし下位魔法に限るけどね。

ルーナ

どうして下位魔法だけなの？

タナトス

下位魔法は練習すれば誰にでも使えるようになるわ。

タナトス

だけれど、上位魔法は生まれ持った素質が無いとどうやっても使えないのよ。

ルーナ

えーと…

ルーナ

つまり使える属性は増やすことは出来るけど、根本的な力…素質は増やせないってこと…なのかな？

タナトス

そういうことね。

タナトス

もっと分かりやすく言えば…クリスマスにツリーに飾り付けをする感じよ。

タナトス

ツリーに飾り付けをしたら、カラフルになるでしょ？

タナトス

使える魔法の属性が増えるのは、ツリーに飾り付けをしたから…こう考えたら分かりやすいでしょ？

タナトス

でもツリー自体が無かったら飾り付けすら出来ない。

タナトス

上位魔法はツリーという名の素質がなければ機能しないのよ。

ルーナ

確かに…ツリーの飾りは飾ってこそだもんね……

タナトス

そう、何も無い場所に、ツリーの飾り付けを置いても意味は無いのよ。

タナトス

それじゃ、そろそろ行きましょうか。

タナトス

新手も来たみたいだし。

ルーナ

新手？

タナトス

ええ、また魔獣よ。

周りを見ると草陰から、オオカミ型の魔獣の姿が数体目視できた。

ルーナは剣を構える。

ルーナ

ラヴェンチェの森の時ってこんなに魔獣多かったっけ？

タナトス

大抵、魔獣は闇獣に殺されてることが多いわ。

タナトス

でも…

ルーナ

…闇獣がいないから……

タナトス

そういうこと。

タナトス

…来るわ！

草陰から魔獣が一斉に襲いかかって来た。

ルーナ

っ…！

ルーナは軽々と魔獣の攻撃を受け流す。

タナトス

ルーナ、魔法を使ってみなさい！

ルーナ

え！？

ルーナ

ま、魔法ってどうやるの！？

タナトス

イメージよ！

ルーナ

イメージ？

タナトス

そう、貴方の場合は光。

ルーナ

光…

ルーナは光をイメージする。

ルーナ

(明るい…眩しい…光……)

タナトス

次は技のイメージよ。

タナトス

そうね…試しにレイレインを使ってみなさい

ルーナ

(レイン…雨…)

ルーナ

よし！

ルーナ

行くよ！『レイレイン』！

魔獣の群れに、光の雨が降り注ぐ。

ルーナ

出来た！

タナトス

上出来よ。

魔獣は倒れ込み、動かなくなった。

ルーナ

こんなに簡単に魔法って使えるんだね！

タナトス

次からはもっと簡単に使える筈よ。

ルーナ

よーし！この調子で精霊の所へレッツゴー！

タナトス

(それもしてもこの結界…やっぱりあの子かしら…？)

タナトスは祠にいる精霊に目星がついていた。

タナトス

(何にしても、祠に着けばわかる事ね。)

タナトスは前を進んでいるルーナの後について行く。

そんなルーナ達を空から眺めている男がいた。

？？？

フッ…あれが新しい精霊士ですか…

？？？

なるほど…中々強い力を感じますねぇ…

？？？

それにあの精霊…確かに500年前は……

？？？

へぇ…これは楽しくなってきましたねぇ。

その男は空から、ルーナ達の跡をつけていく。

花の祠

ルーナ

ここ…かな？

ルーナ達は目的地の祠に辿り着いた。

タナトス

…ああ、ここだったのね。

ルーナ

タナトスは来た事あるの？

タナトス

ええ、500年ぶりだけど。

ルーナ

500年！？

ルーナ

…タナトス、ひとつ聞いてもいい？

タナトス

何かしら？

ルーナ

タナトスってどれくらい生きてるの？

タナトス

そうね…ざっと1000年ぐらいね。

ルーナ

1000年…

ルーナ

じゃあタナトスは1000歳のおば…

タナトス

それ以上言ったら、へそ噛むわよ？

ルーナ

冗談！冗談だってば！！

会話をしている2人を横目に、祠から人影が現れる。

？？？

あーもう！騒々しいわね！

ルーナ

え？

ルーナ

あの…どちら様ですか…？

？？？

あんたこそ誰よ？

？？？

人に名前を聞く時は、まず自分から名乗るべきじゃないの？

？？？

それに人の家の前で随分うるさくしてくれたじゃない。

ルーナ

え？人の家の前…？

？？？

そうよ！全く…人が気持ち良く昼寝してたのに、あんたらのせいで目が覚めちゃったじゃない！

ルーナ

この祠が貴方の…？

？？？

だからそう言ってるじゃない！

ルーナ

…ってことは…貴方が精霊…さん…？

？？？

え？そうだけど…って！

？？？

なんであんた、あたしの事見えてるの！？

ルーナ

え！？今更！？

？？？

もしかしてあんた…

タナトス

久しぶりね、花の妖精さん。

タナトス

500年ぶりぐらいかしら？

？？？

え、あんたは………えーと…タナ…そう！タナトス！

？？？

何しに来たのよ！

タナトス

見ればわかるでしょ？

タナトス

貴方と契約したいって子を連れてきたわ。

？？？

…やっぱりこの子、精霊士なのね？

タナトス

そうよ。

？？？

はぁ…あのね！まだこんな小さい子なのよ！？

？？？

そんな子に精霊士の使命なんて負わせれるわけないでしょ！？

タナトス

あら、使命を成し遂げれるか不安ってこと？大丈夫この子、見た目よりはるかに…

？？？

そういうことを言ってるんじゃないわよ！

？？？

あんたはこの子に500年前の精霊士と同じ運命を辿れって言ってるの！？

？？？

あんた、今からでも遅くないわ。

花の精霊はルーナの方を向く。

？？？

今なら精霊士の使命を放ったらかして、普通の生活に戻れるわ！

？？？

だから…

ルーナ

…いえ、私は精霊士を辞める気はないです。

ルーナ

それにもう…普通の生活になんて戻れませんから。

？？？

…

？？？

…何があったの？

ルーナ

…

タナトス

…私が代わりに話すわ。

タナトスはルーナに代わり、今までの出来事を話した。

？？？

…そう、そんな事が……

ルーナ

はい、だから私がやらなくちゃいけないんです。

？？？

…でもあんたが無理してやる必要なんてないわ。

？？？

それにまた100年もすれば新しい精霊士が…

ルーナ

それじゃあ駄目なんです！！

ルーナ

その100年の間にも同じような事が起きるかもしれない！

ルーナ

…いえ、もう起こってるかもしれない…それでもじっとしてろって言うんですか！？

？？？

…分かったわ。

？？？

…そこまで言われてたらあたしも覚悟を決めないといけないわね！

タナトス

…いいの？

タナトス

貴方この500年、契約してなかったんでしょ？

タナトス

あの子との契約以来…

？？？

それはあんたも同じでしょ？

タナトス

私は唯、誰も来なかっただけよ。

タナトス

あんな辺境に誰も来ないでしょ？

タナトス

私は精霊士が来たら契約するつもりだったわよ？

タナトス

現にこうしてルーナと契約してるしね。

？？？

へぇ、意外ね。あんたの方こそ500年前の事気にしてると思ってたわ。

タナトス

ふふ…こんな私がそんな事気にするような精霊に見える？

？？？

見えるわよ。

タナトス

…

？？？

そうやって残酷に自分を振舞ってる様だけど、本当のあんたの事なんてとっくに知ってるんだから！

？？？

忘れたの？あんたはあたし達と1度きりだけど共に旅したのよ？

？？？

そんな奴の事なんてとっくに知り尽くしてるわよ！

タナトス

ふふ、確かにそうね。貴方の言う通りだわ。

？？？

そうよ、あたしの言う通りなの！

ルーナ

あの…それで契約は……

？？？

ああ、忘れてたわ。

ルーナ

えぇ…

？？？

ええ、契約してあげる。

ルーナ

本当ですか！？

？？？

ただし！

？？？

絶対に無茶はしないこと！

？？？

これは絶対守りなさい。

？？？

守らなかったら、殴ってでも無茶しない様にさせるからね！

？？？

絶対よ！絶対守りなさい！

ルーナ

は、はい！！

？？？

…

？？？

うん、それじゃあ契約しましょ！

？？？

えーと……そう言えば自己紹介がまだだったわね。

ディアナ

あたしは花の精霊の『ディアナ』よ！

ルーナ

私はルーナ・クレセントです！

ディアナ

それじゃルーナ、さっさと契約終わらせるわよ。

ルーナ

はい！

ディアナ

契約の方法は分かるわよね？

ルーナ

多分大丈夫…です。

ディアナ

…まぁ、いいわ。

ディアナ

失敗してもやり直せるし、問題ないでしょ。

ルーナ

それじゃあ、契約しますね？

ディアナ

ええ、やっちゃって！

ルーナ

汝、如何なる時も

ルーナ

精霊士の使命を貫き

ルーナ

人々を…世界を照らす光となることをここに誓う。

ルーナ

この精霊の真なる名は…『フローラ』

ルーナとディアナの足元に眩しく光る魔法陣が浮き上がる。

魔法陣の光は徐々に消え去り、最後は魔法陣も消え去った。

ディアナ

契約完了ね。

ルーナ

…やっぱり、契約したって実感がないなぁ…

タナトス

大丈夫、ちゃんと契約出来てるわよ。

ディアナ

不安なら、試しに魔法を使って見たらどう？

ディアナ

あたしのは花属性だから、契約出来てたら使える筈よ。

ルーナ

花属性…どんな魔法があるんですか？

ディアナ

魔法は使ったことある？

ルーナ

はい、ここに来る途中でタナトスに教えて貰いました。

ディアナ

なら問題ないわ。

ディアナ

多分あたしの使える魔法のイメージが頭に流れ込んでくるはずだから。

ディアナ

後はそれを強く念じるだけ。

ルーナ

…あっ！

ディアナ

視えるでしょ？

ルーナ

はい！

ディアナ

後は唱えるだけよ、やってみなさい！

ルーナ

…花よ！『フラワーストーム』！

無数の花びらがルーナの周りに現れ、その花びらを近くの大岩に飛ばすと、大岩が粉々に破壊された。

ルーナ

で、出来た…出来ました！

ディアナ

へぇ、やるじゃない！

ディアナ

中々の威力よ！

ルーナ

あ、ありがとうございます！

ディアナ

これからよろしくね、ルーナ。

ルーナ

こちらこそよろしくお願いします、ディアナさん！

タナトス

契約終わったみたいね。

ディアナ

ええ、無事にね。

ディアナ

それと

ディアナは空を向く。

ディアナ

さっきからコソコソ見てる奴、そろそろ出てきたらどう？

？？？

…

突然風が吹き、ルーナは目を瞑る。

？？？

おやおや、見抜かれてしまいましたか。

ルーナ

え…

目を開けるとそこには1人の男が立っていた。

タナトス

貴方は確か…

ディアナ

あら久しぶり。あんたも500年ぶりかしら？

？？？

えぇ、覚えて頂けていたようで光栄です。

ディアナ

嫌でも覚えるわよ。

ディアナ

あんだけ何回も出くわしたらね！

ディアナ

それで今日はなんの用？

ディアナ

あたし達これからすっごく忙しいんだけど？

タナトス

また私達を止めに来たのかしら？

タナトス

500年前の時のように。

？？？

いえ、生憎そうではありません。

？？？

今回はあなた方と取引をしたいと思いまして

タナトス

取引…？

ディアナ

取引？今更何言ってるのよ！

ディアナ

タナトス、こんな奴の話聞く必要ないわよ！

タナトス

…

ルーナ

あ、あの……この人は…？

ディアナ

…こいつはね500年前、あたし達をしつこく追い回して、何度も何度も邪魔してきた奴よ。

ディアナ

いわゆるストーカーってやつよ！

？？？

おやおや、人をストーカー呼ばわりとは心外ですね。

？？？

私も信念があってあなた方の邪魔をしていたのですが…そんな風に思われていたとは…

ディアナ

当たり前でしょ！

ディアナ

つまりね、こいつは…悪いやつなのよ！

？？？

…

ルーナ

えーと…？？？

タナトス

(…忘れていたわ……この子アホだったわ……)

タナトス

ねぇ、自己紹介してあげたら？

？？？

…そうですね……このままでは話が進みませんし。

エトワール

私は『エトワール・ラインハルト』といいます。以後お見知りおきを、ルーナさん？

ルーナ

…

エトワール

おやおや、警戒されてますねぇ…

ディアナ

いい判断よ、ルーナ！

ディアナ

こいつに関わるとろくな事がないから。

ルーナ

この人は一体…、何者…なんですか…？

ディアナ

こいつはね……

ディアナ

…闇の住人よ。

花の精霊 END

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