タクマ
鍵とかしまってないの?
カチャ
和樹
ドアが数センチ開いて左端にいたタケシからならかろうじて中が見えるようになったとき
タケシ
うっ
和樹
タケシが顔をゆがめて手で鼻をつまんだ。
タクマ
どしたの?
タケシ
なんか臭くね?
和樹
俺とタクマはわからなかったが、タケシだけが匂いにすごく反応していた。
タクマ
おまえ、ふざけてんの?
タケシ
いや、マジで匂わん?ドアもっと開けば分かるよ
和樹
俺は意を決してドアを一気に開けた、モアッと暖かい空気が中からあふれ、それと同時にほこりがまった。
和樹
このホコリの匂いの事か?
タケシ
あれ?匂わんくなった
タクマ
お前ふざけんなよ、俺何かあったらおまえ見捨てるから、今心に決めたンゴ。
タケシ
いや、ごめんて、でも本当に匂ったんだよ、なんていうか..生ゴミみたいな..
タクマ
もういいって気のせいだろ
和樹
そんなふたりを横目に俺はある事に気づいた..廊下がすごい狭い。
和樹
人が1人通るのがギリギリくらいだ、しかも電気もない外の光でギリギリ突き当たりが見えるくらいだ、突き当たりにはもう1つドアをがあった。
和樹
これ上るとなると1人でしか行けんな
タクマ
いやいやいや、のぼらんしょ?
タケシ
のぼらんの?
タクマ
のぼりたいならお前行けよ、俺は行かん
タケシ
俺もやだな..
和樹
けっきょく行かねーのかよ、俺が行くわ
タクマ
マジで?
和樹
俺こういうの気になったら眠れないタイプだから、寝れなくて真夜中1人で来ちゃうタイプ、それ完全に死亡フラグでしょ?だから今行く
和樹
怖さはあったけど、2人がいる時に行った方がいいと思った、何か起きた時は俺を置いて逃げたりしないで、すぐに教えてくれと伝えた。
和樹
階段の中は外から光が差し込み薄暗い感じだった
和樹
慎重に1段ずつ階段をのぼりはじめたが、途中からバキッバキッと弟がするようになった
和樹
何事かと思い、怖くなって後ろを見て2人を確認する。
和樹
2人は音に気づいてないのか、じっとこちらを見て親指を立てる、、
和樹
なんやそれ..おれはもう一度2階にのぼりはじめる、古い家によくある、床のなる音だと思いこんだ。
和樹
光があまり届かない所まで行くと怖くて、逃げ帰りたい気分になった。
バキバキバキッ!
和樹
この音もだんだん激しくなり、どうも自分が何か踏んでいる感触があった。虫か?と思った、背筋がゾクゾクした。でも何か動いてるような感じもなく、暗くて確認も出来なかった。
和樹
何度振り返ったか忘れたが、途中から2人の姿が逆光で薄暗い影にしか見えなかった。ただ親指だけは立てているのはわかった..
和樹
そしてとうとう突き当たりに差し掛かった時、強烈な匂いがした。
和樹
めっちゃ臭い、生ゴミと下水が混ざったような匂い。なんだこれはと辺りを見渡す。
和樹
その時俺の目に飛び込んで来たのは、突き当たりの踊り場の角に大量に積み重ねられたご飯だった。
和樹
なんで気づかなかったのってくらいハエがたかっていた。そして俺はもう1つ事に気づいてしまう。
和樹
ドアのふちには、ペニヤ板みたいなのが無数のクギで打ち付けられてて、その上に大量のオフダが貼られていた...
和樹
しかも打ち付けたクギに細長いロープが巻かれていて、クモの巣みたいになっていた。
和樹
明らかに何か閉じこめてますみたいな感じ全開だった。
和樹
おれは初めて自分の行動が間違いだったと気づいた。
和樹
これはやばい..帰ろう..
和樹
そう思って帰ろうとした時...
ガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリ
和樹
という音がしたんだ、ドアの向こう側でなにか引っかいてるような音だった。
和樹
そしてその後に
ひゅー..ひゅっひゅー
和樹
不規則な呼吸音が聞こえてきた
和樹
そのまま後ろを見ずに行けばいいんだけど、あれって実際出来ないぞ、そのまま行く勇気も無ければ、振り返る勇気もないんだ。そこに立ちつくすしかなかった。
和樹
すると背後から聞こえていた音が一瞬やんで、シンとなった..
ほんとに一瞬だった、瞬きする間もなかったくらい。すぐに
ほんとに一瞬だった、瞬きする間もなかったくらい。すぐに
バンッ!
ガリガリガリガリガリガリ
和樹
信じられなかったんだけど、その音はおれの頭の上、天井裏から聞こえてきたんだ
和樹
さっきまでドアの向こう側にいたのに、それが一瞬で頭上に移動したんだ。
和樹
足がプルプル震えだして、もうどうにも出来ないと思った。心の中で助けてって何度も叫んだ。
和樹
そんな中本当にこれも一瞬なんだけど、視界のかたすみに動くものが見えた。あの時俺は動くもの全て怖かった見ようかどうか迷ったが意を決して目をやると、それはタクマとタケシだった。下から何か叫びながら手招きしている。
タクマ
おい!早く降りてこい!
タケシ
大丈夫か?
和樹
おれは一気に階段を駆け下りた、駆け下りた俺は、とにかく安全な所に行きたくて部屋まで走って行った。部屋に戻ってしばらくすると
タクマ
おい、大丈夫か?
タケシ
なにがあった?あそこになにかあったのか?
和樹
答えられなかった、というか耳にあの音が残っていて、思い出すのが怖かった。
和樹
するとタクマが真剣な表情で、こう聞いてきた
タクマ
お前、上で何食ってたんだ?
和樹
は?何言ってんだお前
タクマ
いや、お前さ上についてすぐにしゃがみこんだろ?俺とタケシで何してんだろって目を凝らしたんだけど、何か必死に食ってたぞ、ってか口に詰め込んでた。
タケシ
うん、しかもそれさ、それ..
和樹
タケシとタクマは俺の胸元を見つめる..何かと思ってみてみると大量のうんこがくっついていた。
和樹
俺は一目散にトイレにかけこみ吐いた。
和樹
何が起きているのかわからなかった。俺は上に行ってからの記憶はあるしあの恐怖の体験も覚えている、ただの1度もしゃがんでないし、うんこも食ってない
和樹
なのに、確かに俺の服にはうんこがついてて、よく見れば手にもそれをつかんだ形跡があった。気が狂いそうになった。
タクマ
何があったか話してくれ、ちょっとお前普通じゃない
和樹
俺は恐怖に負けそうになりながらも1人で抱え込むよりはいくらかマシだと思い さっきの事を話した。
和樹
タケシとタクマは真剣に聞いてくれた
和樹
2人が見た俺の姿と、俺自身が体験した話が食い違ってても、最後までちゃんと聞いてくれた、それだけで安心感に包まれて泣きそうになった。少しホッとしていると、足がヒリヒリするのに気づいた。
和樹
なんだ?と思って見てみると、細かい切り傷が足の裏や膝に大量にあった。
和樹
不思議に思って目を凝らすと、なにやらプラスチックの破片のようなものが所々にくっついていた、赤いものと、ちょっと黒みかかった白いものがあった。
タケシ
何それ?
和樹
と言ってタケシはその破片を手に取ってながめた。そのとたん
タケシ
うわっ!
和樹
タケシがそれを床に投げ捨てた。
タクマ
なんなんだよ.?
タケシ
それよく見てみろよ..
タクマ
なんだよ!言えよ!怖いから!
タケシ
爪だよ!それ!
和樹
瞬間3人とも完全に固まった







