テラーノベル
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最近、若井の人生は十分満帆 と言っても十分なほどだ 世界がとても輝いていて 何をしても楽しい
部活動では監督から 最近、伸びてきたと褒められて 勉強する時間も増えたがする
1つの悩みといえば 恋愛ソングを聴くと なぜか大森を思い出すことだ
自分は女性が好きなはずだし まさか大森にそんな感情を 抱いているなんて考えたくもない
そのせいか最近は 恋愛ソングを聞いていない
だが、それくらいの欠点は どうでもいい 今、若井はとても幸福だからだ
〜ガラッ〜
(教室の扉を開ける音)
若井
若井の友達2(翔)
若井の友達1(雄大)
若井の友達2(翔)
若井の友達2(翔)
若井
若井の友達1(雄大)
若井の友達1(雄大)
若井
若井の友達1(雄大)
若井の友達1(雄大)
若井
若井
若井の友達2(翔)
〜ガラッ〜
(教室の扉が開く音)
大森が教室に入ってくる 若井は席を立って 大森の所に向かう
若井
若井
大森
大森が席に座りながら 1限目の準備をする 若井は勝手に前の席に座った
若井
大森
若井
若井
大森
大森がぱっと顔を上げる 若井は少し得意げになる
大森
若井
若井
大森
若井
若井
大森
大森
大森
若井
若井
大森
国語の先生(山内)
大森が声のする方に振り返る 声の主は山内先生のようだ 大森に近づく
国語の先生(山内)
山内が木蓮と書いてある 雑誌のようなものを掲げて 1つの名前を指す
大森
国語の先生(山内)
国語の先生(山内)
大森
大森
国語の先生(山内)
国語の先生(山内)
国語の先生(山内)
大森
国語の先生(山内)
国語の先生(山内)
山内が眉間にしわを寄せると 突然、大森の肩を掴んだ
若井
若井
国語の先生(山内)
突然、山内が大声で叫ぶ その声で教室が一瞬、静まり返った
だが、内村にはそんな事 どうでもいいのか 身を震わせながら 大森の肩をさらに強く掴んだ
大森はその様子を 極めて冷めた目つきで眺めた
国語の先生(山内)
国語の先生(山内)
大森
大森
国語の先生(山内)
国語の先生(山内)
国語の先生(山内)
大森
国語の先生(山内)
国語の先生(山内)
近くにいた若井には 大森が小さく鼻で 笑ったのが聞こえてしまった
大森
大森
国語の先生(山内)
国語の先生(山内)
大森
大森
大森は会話をスパッと切って 前をむく
国語の先生(山内)
国語の先生(山内)
まだ折るつもりがないらしい 若井はあえて 一軍らしい笑顔を作りながら 山内を見上げた
若井
若井
その言葉につい大森は吹き出す
山内は途端に目の色を変えて 口をぱくぱくと動かした
若井
若井が睨みつけると 山内はすっと無表情になって すごすごと教室を出ていく
若井
若井は山内の背中に 敵意のこもった眼差しを向ける
大森
若井が大森を見ると 愛しそうな表情で笑いかけられた 一瞬でイラつきが昇華される 初めて見る表情だ
大森
若井
若井
大森
大森
大森
大森の指が若井の手にそっと触る 若井はなにかのスイッチが 入りそうになった
ーーーーー
若井は1限目 ずっと夢の中にいるような 気分だった
少しの暇があれば 大森のあの笑顔と 甘い声が再生されてしまう
若井
若井
そんな事を自問自答して 気がついたら口角が上がっていた
ーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーー
大森は学校から帰宅した
大森は自室の部屋の扉を開けて 学校カバンを地面に置いた
大森
今日は山内のせいで散々だった 放課後も大森を探し回って居たので 仕方なく隠れながら学校を出た
大森は舌打ちをする 最近は上手くいかないことばかりだ
大森
大森
山内のおかげと言うべきか 若井の使い所が増えた 思ったより使いやすい駒を 手に入れられたようだ
大森は若井に初めて会った時 こいつにしようと決めた
理由は単純で 承認欲求が強い割には 大した才能もなく そのくせ人には嫌われたくない
振ったらカラカラ音がしそうなほど 空っぽなやつだからだ
大森
大森は部屋着に着替えながら 若井の姿を思い出す
実際、近くに置いてみたら 予想以上にうざったい 距離を詰めるのも早いし 目が合うとすぐ近くに寄ってくる
大森
まぁだとしても 今回は簡単に捨てられるだろう 大切な物が多い者ほど 処理するのは楽ちんだ
大森は何となく気楽に考えていた
ーーーーーーーー
ーーーー
ー1ヶ月後ー
若井は暖房のかかった電車の中で 本を読んでいた
あれからいくつ、新しい本を 読破しただろうか
読み慣れてくると意外と面白く もうすっかり 小説の持つ魅力に捕まってしまった
だが、読めば読むほど大森の小説が どれほど異次元なのか 分かってしまう
今なら山内の気持ちが分かる あの才能を目の前にすると 自分がとても小さく感じる時がある たまに、それがとても辛い
電車のスピーカーから 最寄り駅の名前がアナウンスされる
若井
若井は急いで本をしまって 席を立った
〜ガラッ〜
(教室の扉を開ける音)
若井
若井の友達2(翔)
若井の友達1(雄大)
若井は少し疑問に思う なぜか2人とも 朝からテンションが高い
若井
若井の友達1(雄大)
若井の友達2(翔)
若井の友達2(翔)
若井
若井の友達2(翔)
若井の友達2(翔)
若井の友達2(翔)
若井の友達1(雄大)
若井の友達1(雄大)
若井は先週の金曜日を思い出す 今回こそは期待していたが レギュラーには選ばれなかった
若井の友達2(翔)
若井の友達2(翔)
若井の友達2(翔)
若井は悔しさでつい笑顔が 崩れそうになる だが、何とか繕った
若井の友達1(雄大)
翔が立ち上がって 雄大に掴みかかる 周りの生徒が少しだけざわつく
若井の友達1(雄大)
若井の友達1(雄大)
翔はポカーンとして雄大を見つめる 若井もポカーンとして 2人を見つめた
若井
若井
若井の心がじんわりと暖かくなる 涙がこぼれそうになるのを 我慢した
若井の友達2(翔)
若井の友達1(雄大)
若井の友達1(雄大)
若井の友達2(翔)
若井の友達2(翔)
若井の友達2(翔)
若井
若井
若井
若井の友達1(雄大)
若井の友達1(雄大)
若井
それから、しばらく話していると 大森が教室に入ってくる
だが、今日は雄大の近くに居たい 若井はそのまま話を続けた
クラスメイト(莉子)
大森が顔を上げると クラスメイトの女子が 目の前に立っている
大森
大森
大森は少し気を引き締めた 女性はどのカーストでも 扱いを間違えると面倒を連れてくる 注意が必要だ
クラスメイト(莉子)
クラスメイト(莉子)
クラスメイト(莉子)
大森
大森は舌打ちをしたい 気持ちを堪えた 務めて穏やかに対応する
大森
大森
クラスメイト(莉子)
大森
クラスメイト(莉子)
大森はすぐに目を逸らして 窓の外を見る
最近こういうのが増えた どうやら、流行っている俳優が 「傑子」を褒めたようで その波がここまで来ている
本当に面倒な事をしてくれる ここに直接、来る奴は ふるいにかけられた阿呆ばかりだ
読みたいのなら 木蓮を買えばいい そこに全文があるのだから
どうせ「傑子」の読み方を聞いても 誰1人、答えられないだろう あいつらが本当に興味があるものは その俳優であって大森ではない
大森
大森は外の景色をじっと見つめた
ーーーーーーー
ーーーー
ー5日後ー
若井は自室で本を読んで ゆっくりとした休日を過ごしていた
今日は寒い なので外に出るのが億劫だ だが、心がポテチをつまみながら 本を読みたいと叫び続けている
その叫びをもう3時間くらいは 無視している だがもう、そろそろ限界だ
最近、部活漬けで 奇しくも溜まってしまった お小遣いを使うのなら まさに今だろう
若井
若井は背伸びをして 何とか立ち上がる
面倒なので下のズボンはそのまま 上の服だけ着替えて コンビニに向かう
若井は家の外に出るが 雨が降り出してきた
若井
若井
若井は突然、降り始めた雨に 空気を読めよとつい毒づく 仕方がないので家の方向に戻って 傘を取りに行く
家を出たばかりなのが幸いだった 中盤まで歩いていたら ずぶ濡れ覚悟で コンビニに向かっていただろう
若井
若井
若井は傘立てから傘を取って それを差しながらコンビニに向かう
若井はいつものコンビニに入る 綺麗に陳列されている中から お菓子売り場の方へ向かう
若井
若井
若井はあるブランドの ポテトチップスが とても気に入っている
他のブランドと比べて 味、食感が段違いに好みなのだ
ここから歩いて5分程度の所に 別のコンビニがある 若井はそっちに行こうかと迷った
しかし、それは近道をすれば 5分で着くという意味で 普通に行けば8分くらいはかかる
実際、そんなに変わらないが 今の若井には大きい差だ 若井はあっさりと近道を選んだ
若井はコンビニを出て もう1つのコンビニに向かう
近道があるなら いいじゃないかと思うだろうが その近道を通るには 少しの度胸が必要だ
若井は少し歩くと周りを見渡す この辺りは人気はないが 万が一見られたら 恥ずかしい思いをすることになる
若井は人が居ないことを確認して ある家の敷地内を突っ切る 小さい頃からある幽霊屋敷だ
膝丈まで伸びている雑草を かき分けて進む 小さい頃からお世話になっている 道なので恐怖心は薄目だ
とくに何も考えず進んでいると 突然、悲鳴みたいな音が 聞こえた気がした
若井はピタリと動きを止める
若井
若井
悪い方へ考えないようにしながら 耳をすませていると もう一度 短い悲鳴のような声が聞こえた
この家の中から聞こえる それに気づいた瞬間 若井の背筋がすっと冷える
戻るよりこのまま進むほうが 早く出られる 若井はそっと1歩踏み出した
若井
もしも人だったら?
若井
若井
若井
若井
そういえば、小さい頃 この辺で誘拐事件が起きて
この家を犯人が潜伏場所として 使っていたのではと 噂になったことがあった
若井
そう思った瞬間、若井は振り返る それでもおかしくない くぐもった高い声だった
若井は戻ろうとするが ふっと考える
一体、戻って何ができるんだろう それに本当に人の声なのか? 若井の中にある恐怖心が 進まなくていい理由を探し始める
若井
だが、最悪の場合が頭から離れない 若井が迷っていると また、短い悲鳴が続けて 2回聞こえた
若井
若井
若井は今の声で確信した やはり子供の声にも聞こえる もし子供なら女の子だろう
若井
若井
若井は歩を進める 息を殺して ゆっくり少しづつ進む
若井は進みながら 壁が1部、腐り落ちて 中が見える場所を見つけた ゆっくりとそこへ向かう
やっとたどり着くと そっと膝を折って中を覗き込む 恐怖で自分の心臓の音が聞こえる 手もひとりでに震えている
中はとても暗い よく見えない中で 若井は目を凝らした
すると、ゆらりと揺れる人影がある 若井は咄嗟に自分で口を塞いだ 悲鳴が上がりそうになったからだ
その人影はまるでリズムに 乗るように うしろ、前と身体を揺らしている
若井は何をしているのか 瞳に神経を集中させる 何を布のようなものを 擦っているように見える
若井
少しずつ若井の目が慣れてくると ふっと人影に違和感を感じた
若井
この人影、この髪型 若井は思い当たった時 ますます頭が混乱した
若井
間違えるはずがない 若井はほぼ確信めいた感覚で 揺れる影を注視する
さらに若井の目が慣れてくると やっぱりと確信する まだ暗いが顔が少しだけ分かる やはり大森だ
若井
中にいる人物が大森だと 分かっても それが安心をもたらすことは無い
むしろ、不気味さが増した こんな所で何をしているんだろう
若井は大森の行動を見つめた 何を拭いているんだろう
大森
その時、大森が笑った
若井は脳が一瞬、停止する
こちらに気づいたのかと とっさに穴から目を離す 身体全身が驚くほど震えている
若井
若井
若井
若井は立ち上がろとするが 興味が後ろ髪を引っ張る
若井
いや、理解しようとするな これ以上は踏み込みすぎだ 頭の中では真っ赤な警報が 鳴っている
そう頭では思っていても 身体はもう一度 あの穴を覗こうとしている
若井
若井
何が?何が分かるんだろう
若井
若井
若井は好奇心に抗えずもう一度 穴を覗いた
揺れる影が床を拭いている ずっずっと断続的に音が鳴る
若井
若井は目を凝らす 揺れる影をじっと見ていると 突然、高い悲鳴のような 声が上がった
若井は身体をびっくと揺らす
若井
若井
大森の影がぐっと前のめりになる 口が動いている 耳をすませると 大森の独特の甘い声がする
大森
若井
どれだけ耳をすましても 何を言ってるかは聞き取れない
何に話しかけているんだろう 疑問に思った瞬間 車がこの家の前を通った
車のライトが一瞬だけ部屋を照らす その瞬間、弾かれるように 若井は立ち上がった
そのまま、後ろも振り向かず 全速力で走った
コメント
5件
本性が…!!楽しみ🫶
はぅ … ♡ やばい !! 好き過ぎる!!