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ふざけんな!!

あんたなんかと結婚したあたしが間違ってた!!

とにかく!しょうやは俺と暮らす

酒飲んで自分を制御できないお前に任せられない!

母は昔から気を病むと、お酒に浸り自分をコントロールできなくなる人だった

将也

パパ…ママ…?

お前がこれまでどんなに無責任な育児だったか…!

…何を言ってるの?

私が不妊治療の末にようやくできて、

腹を痛めて産んだ、私の子供なのよ?

しょうや、あたしと暮らすわよね

将也

え…

母はいつも、辛そうな、そして味方でいてくれという目で俺を見つめてくる

父を見ると、下を俯いていた。

顔が上げられない、俺に見せる顔がない、というような

不甲斐なく下を向いているようだった。

しょうや…?

将也

将也

うん。

嫌だ。

嫌だ…嫌だ嫌だ!!

…元気でな。

将也

うん。

車は、もの寂しげな父を無視して進んで行った。

将也

4時だ…

無理だって分かってる。

でも…

将也

母さん、寄りたいとこがある

どこ?

将也

海浦駅に行きたい

どうして?

将也

もう時間ないから。

将也

うん。

…会いたいなぁ

櫻田さん。

会いたいよ。

しばらくして車が海浦駅の横を通りかかった

将也

…!!

将也

櫻田さんだ…!

窓にへばりつくように、俺は外に見つけた櫻田さんを見つめた

ちょっと!

そっちから来る車が見えないでしょ

将也

ご、ごめん…

あー…

だめ。耐えきれない

将也

…ッ…うぅ…うッ…

ちょっと…何泣いてるの?

信号は青になった

遠ざかる櫻田さんを見つめることしかできなかった

どれほど経っただろう。

目が覚めるともう東京にいて

車から降りるとすぐにアパートが目に入った

将也

アパート?

ここで2人で静かに暮らそう。

将也

…うん

そういえば、あんたさっき何で泣いてたのよ

将也

将也

皆と別れるの寂しくて

そんなの綺麗事だ

大嘘だ。

ごめんね

将也

え?

母は俺を優しく抱きしめた

私がだめだめで…ごめんね

将也

ううん

将也

そんなことないよ

それからの日々は楽しかった

学校も皆優しく迎え入れてくれたし

何より、父と母の大喧嘩を聞かなくて済むんだ

先生

今日からこのクラスに転校してきた、神田翔也くんです

先生

神田くん、まだこっち来たばっかだから、皆色々教えてあげてね〜

将也

…よろしくお願いします

ザワザワ

心の中もざわついてくる。

将也

…教科書くるまでどうしてたらいいんだろ

…-くんってどっから来たのー?

将也

とりあえずはしょうがないか…

神田!!

将也

わ、びっくりした…

将也

あ、神田、俺か…

自分の苗字分からなくなることあるかよー笑

将也

あー、んー…

なんでこんな時期に転校してきたんー?

将也

えーと…

親の離婚…

なんて言ったら空気重くなるかな

反応にも困らせちゃうかな

瑠花

親の離婚?

将也

(遠慮のない人だなぁ…)

将也

あ、うん

瑠花

うちと一緒だぁ笑

瑠花

うちはお父さんと住んでるから苗字は変わってないけど

瑠花

最近離婚したんだよ〜

瑠花

今どき珍しくないからねでも

瑠花

あ、だから苗字呼び慣れてないとか?

将也

なんだ、そーだったのかぁ

早く言ってやー

そりゃー苗字呼びピンと来ないよなごめんごめん!

将也

あ、いや全然…!

瑠花

もうみんないっその事しょうちゃんって呼ぼう!笑

いいね!

翔也のしょうちゃん!!

将也

え…え、え?

瑠花

しょうちゃん!

しょうちゃん!

いいね!

呼びやすい!

将也

…!

将也

ありがとう…

休み時間

将也

あ、あの!!

瑠花

んー?

将也

さっきはありがとう

将也

え、と…

瑠花

あ、宮下瑠花!

瑠花

るかでいいよ!

将也

あぁ、えーと、

将也

るかさん、ありがと…

瑠花

しょうちゃんは優しいね〜

将也

え?

瑠花

みんなの様子伺って、

瑠花

結局色々考えちゃってなんて言えばいいか分かんなかったんでしょー笑

将也

う…

瑠花

私ならさ、ここまでならいいかなってとこまでは

瑠花

あえて自分から明るく話しちゃうんだよね笑

瑠花

そしたら、だーれも傷つかないじゃん!

将也

…す、すごいね

将也

俺がいたところ、

将也

子供っぽい人多くて、そういう少し落ち着いた考えする人…

将也

あまりいなかったから…

瑠花

全然〜!

瑠花

うち子供だよー!笑

それから瑠花とはよく話すようになった

ある日の下校中のことだった

えー!!

しょうちゃん好きな人いるの!?

将也

えぇ、いやえーと、

将也

まぁ、でもここには…

瑠花

なになにー?

瑠花

しょうちゃん好きな人いるんだ!

誰だよー!

将也

言っても分かんないし…

瑠花

えー、明日絶対教えろよー!

俺こっちだから!じゃーな!

将也

じゃーね

瑠花

また明日ー!

将也

瑠花

しょうちゃんの好きな人って

瑠花

転校してくる前の学校にいたの?

将也

…うん

瑠花

忘れられない人なんだ〜

将也

うん

将也

ほんの少ししか一緒に話したりとかしなかったけど

瑠花

一目惚れだよ〜笑

将也

えぇ…

将也

たしかに…可愛かったし…んー…

瑠花

ゴニョゴニョ話さないでよ!笑

瑠花

ねえ、しょうちゃん

将也

ん?

瑠花

これからはさ、うちの事も意識してよ!笑

将也

将也

え?

瑠花と出会って2ヶ月経った頃、

瑠花から告白された

瑠花

うちね、しょうちゃんの事、

瑠花

好き!

瑠花

好きになっちゃったんよ、ごめんね笑

将也

なんで、謝るの

瑠花

忘れられん人いるのに、

瑠花

一方的に気持ち伝えて

将也

瑠花

でもねー、無理、この気持ち抑えられなかったや笑

瑠花

しょうちゃん、親のこととか、

瑠花

急にこっちきたりで

瑠花

たっくさんストレス抱えてると思う

将也

…うん

瑠花

それ、うちがぜーんぶ全部!

瑠花

消してみせる!

将也

そんなこと…

瑠花

できる

瑠花

うちがしょうちゃんの事幸せにしてあげたいんだ

将也

将也

ごめん、今は考えられない

瑠花

瑠花

知ってる笑

瑠花

でも、諦めんからね

将也

え、と…

瑠花

これからも気持ち伝え続けるから!

将也

…はい

瑠花は本当に、いい人だった

底なしの明るさでいつも周りを盛り上げていて

周りをいつも見ている

優しい人だった

瑠花

しょうちゃん!

将也

ん?

瑠花

好き!

瑠花

しょうちゃーん!

将也

んー

瑠花

すきー!

将也

ご飯冷めるよー

瑠花

しょうちゃんそろそろ寝る?

将也

寝るよ

瑠花

そかー…

瑠花

今日もすきです

将也

…うん

瑠花

しょうちゃん?

将也

はい

瑠花

好きだよ

将也

何日も何週間も、ずっとずーっと

俺に好きと伝えてきた

それでも俺は櫻田さんを忘れられなかった。

でもこの気持ちが辛かった。

瑠花

…前に進みたいんじゃないの、?

将也

進みたい…とは思ってる…でも、

瑠花

好きなもんは好きなんよねー、

瑠花

うちもそれだから、今!笑

瑠花

好きだよ、ほんとに

瑠花

付き合って欲しいの、本気で好きになったの

将也

どうしたら前に進めるのか分からない

でも

こんな俺のことをこんなに好きでいてくれてる人を

同じように好きになれたら

それはすごく幸せになると思ったんだ

瑠花

…え?

俺は、瑠花が差し出した手を握った

瑠花

…いいの?

いいの?だなんて、聞かないでよ

前に、進みたいから

将也

…うん

考えたら、本当にあり得ないことをしてしまった

自分のこの辛い気持ちを上書きしようと、瑠花の気持ちを利用してしまった

瑠花

今日は2回目のデートだね‼︎

将也

うん

瑠花

もう笑

瑠花

いっつもそのうかない顔やめてよね!

将也

瑠花

わかってるんだから…笑

将也

え、と…

瑠花

私のこと、

瑠花

逃げ場だと思っていいよ

ああ

どうして俺は瑠花に、こんないい人に

こんなことを言わせてしまってるんだろう

瑠花

逃げな逃げな!

瑠花

たーくさん辛かったよね

瑠花

私の前では逃げていいから

将也

何してんだろ、俺って…

瑠花

うん…?

将也

俺ばっか逃げて…

将也

(櫻田さんをあの場に置いてって)

将也

(俺だけが逃げ道作って)

将也

(それも、こんないい人の気持ちを利用して…)

将也

ごめん。

将也

本当に、ごめん

瑠花

将也

る…るか、俺はさ

将也

俺は、ほんとに今、

将也

世界で1番最低な人間だ…

瑠花

…-でもいいよ

将也

え、?

瑠花

最低でも…最低でもいいよ!

瑠花

どんなしょうちゃんも私好きなんだもん!

将也

どうして…こんな俺なんか…

瑠花

どうしてなんて…聞かないでよ

瑠花

こんな俺なんかとか…言わないでよ

瑠花

私、そんなの聞きたくないよ…

将也

…ッ

なんであの時、自分のことを好きでいてくれる人を同じように好きになれたら幸せになれると

勘違いしてしまったんだろうか

将也

本当に…ごめんなさい…

将也

謝ったって、取り返しのつかないことをしてしまったって分かってる…

将也

でも、本当にごめん…

将也

るかは、駄目だ、俺なんかが付き合っていい人じゃないし、

瑠花

しょうちゃん、

将也

それに…!

将也

あの時のことを、何も無かったことにはできない…

瑠花

将也

だから、ごめんなさい

将也

別れて…ください…

瑠花

しょうちゃん、

将也

な-…

瑠花は俺にキスをした

将也

ッ…

瑠花

しょうちゃん、嫌だ…

瑠花

別れたく…ない…

将也

瑠花

…な、

瑠花

なーんて…ね

瑠花

こんなこと言っても余計と困らせちゃうだけだよね

瑠花

…別れよっか

あー。

俺って、こんなにもしょうもない人間だったんだ。

あっけなく中学生活は終わり、

高校1年の夏

母が死んだ

急性アルコール中毒だった

将也

死ぬほど辛かった

この時の気持ちは何にも例えられない

どんなにだらしなくてどんなに乱暴な母でも

どうしてだろうか、大好きだった

久しぶりだな

将也

久しぶり

大きくなったな…

父は優しく俺を抱きしめる

涙が溢れて止まらなかった。

将也

くっ…そ…

もっと、ありがとうって言えばよかった。

もっと、母に寄り添えば良かった。

嫌なことなんか、俺が全部聞いてやるって

そうやって、寄り添ってあげればよかった。

自分ばっかに必死になって

将也

どうして俺はこんなに…

将也

後悔ばかり…

こっちに帰ろう、将也…

将也

…うん

じゃあなしょうちゃん…!

元気でな!!

将也

ありがと…

瑠花

しょうちゃん…?

将也

え…?

そこには、通学途中だった瑠花がいた

高校生になってからは会っていないから

少し久しぶりで、雰囲気も変わっていたと思う

瑠花

そうだったんだね…

瑠花

じゃあもう次の電車でお父さんと向こうに帰るんだね

将也

うん、今までありがとう

瑠花

ううん、こちらこそだよ

瑠花

あ、えーと…

瑠花

もう何も思ってないからさ…

瑠花

たまに連絡するよ

将也

あぁ、

将也

うん、

瑠花

元気でね、しょうちゃん

将也

…ありがとう、るかさん

瑠花

部屋入るぞー

将也

あーい

来週から学校だけど、準備は…

って

髪の毛どうしたんだよ…

将也

縮毛かけてきた

お金は…

将也

俺、もうそんな子供じゃないから

あぁ、すまない…

じゃあ、出るな

将也

うん

こっちに戻ってきて

俺は心に決めた

もう、自分に嘘をつくのはやめよう

後悔なんかもうしたくない

私の事、逃げ場だと思っていいよ。

将也

違う…そんなことを、言わせたかったんじゃない…

将也

…俺は

将也

最低な人間だよ

神田くんは涙を堪えながら過去を話してくれた

教えてくれてありがとう

なーんて

私の心はそんなに綺麗じゃないから…

神田くんには、

ほんの少しでも逃げ場あってよかったね、

将也

私ばっかり馬鹿みたい

違うの、

言いたいことはこれじゃないし

神田くんの一番辛い時に

私がいれなかったのが悔しい

これも違う、

瑠花さん可哀想だよ、

将也

うん、

嫉妬だな

よくわかる、嫉妬だこれ、

ちょっと頭整理したい

このままだと言いたくないことまで言ってしまいそうだから

将也

うん

あの時さ…

神田くんがたくさん後悔したから、

言いたいことは言えって私に言ってきたんだね

将也

そう

ごめん帰るね

後ろは振り向かなかった

今は顔見れないや、

悠里

もしもしー?

もしもしー

悠里

笑笑

悠里

明らかになんかあったな

うんー、

私は、神田くんが話してくれたことを1から言った

悠里

なるほどねー

悠里

瑠花さんがとにかくいい人なのはわかった

うん…

悠里

それでもやっぱ神田くんはつぼみのこと好きだったんだ

私、瑠花さんみたいに心広くないし

全てを受け入れられるほど寛容な人じゃない…

悠里

自信なくしたんだ

うん…

それに、

神田くんはお母さん最近亡くしちゃって

やっぱ色々とストレスとかもあるのは分かる…

きっとほんとに辛いし…

悠里

そうね

でも、私の前では逃げていいなんて、

そんなこと言えるほど素晴らしい人じゃない…

悠里

あーあー

悠里

つぼみのネガティブ出てるー

だって…

悠里

うん、分かるよ

悠里

つぼみって言い出したら止まらないとこあるから

悠里

今日は冷静になって帰ってきたのは偉いよ

ありがとうー…

悠里

ただ、

悠里

明日からは何も無かったように

悠里

何食わぬ顔で学校来て、

悠里

話しかけられてもふっつーに話せばいいの

え…?

悠里

余裕を見せなきゃ!

悠里

つぼみの成長にも繋がるし、

悠里

それに何より…

悠里

あんたが神田くんを好きなのに変わりは無いんでしょ?

うん

悠里

なら気まずくなったらもうこれから話せなくなっちゃうかもじゃん

それは…やだ…

悠里

でしょ!

うん…

頑張る…何食わぬ顔、

何食わぬ顔…

悠里

あー心配だ笑

うー…

あ、そういえば

悠里

ん?

今日ゆうり帰る時に、部活のことで話したいって

悠里

あー

悠里

うん

どうしたの?

悠里

あのね、

悠里

前に、どうしても勝てない3年の先輩がいるって話したの覚えてる?

あ、夏くらいに言ってたね

それでこの間は3月にある全国をかけた予選、決勝で先輩に負けて逃したんだよね

悠里

そう、それでね

悠里

その先輩、怪我で手術するんだけど

悠里

3月には間に合わなくて、先輩のとった枠が私に降りてきたの

え?

じゃあゆうり全国出れるの…?

すごいじゃん!

悠里

いや、うん、そうなんだけどさ…

あ、

ゆうりは負けず嫌いだ

そりゃあ、自分でとった切符で行きたいはず

ごめん、ゆうりは、

悠里

うん…

悠里

自分で取ってない切符で全国に出るのは悔しい気持ちもある

悠里

けどそれ以前に、

悠里

どう頑張っても勝てなかった先輩の代わりが務まるのかなって

悠里

思ったの…

悠里

今はそっちの方が心配…

そっか…

ゆうりは入学してからその先輩以外はどんどん叩き落していったから

そこでずっと惜敗してる先輩の代わりになれるのかって

不安だよね…

悠里

私なんかに全国で走る権利あるのかな

少なくとも先輩はそう思ったから、ゆうりに頼んだんだよ

悠里

…そっか

悠里

先輩をもっと超えないといけない…

ゆうりがここまで弱っているなんて…

普段あんなにサバサバして私に力をくれていたゆうりがここまで辛そうにしてるなんて

相当きてるんだな…

悠里

とにかく、

悠里

今私がするべきことは、先輩の記録を更新する…

ゆうり、無理だけはしちゃダメ…

悠里

でも無理しなきゃ…

悠里

明日の部活からはまずそこを目標に走る

悠里

…考え方変える

考え方?

悠里

うん

悠里

私なんか…って悩んでんじゃなくて

悠里

先輩に追いついてみせる…

なんか、ゆうりじゃないみたい…

普段のゆうりみたいに、見える…けど

違う、無理をして切り替えてる気がする…

ゆうり、お願いだから

自分を追い込みすぎないでね…

悠里

…うん笑

悠里

わかってる

悠里

ありがとうつぼみ

いや、こちらこそ

悠里

また明日ね、おやすみ

…うん、おやすみ

どうしよう…

もっと違う言葉をかけてあげるべきだったはず…

でも、私みたいに何かを一生懸命に追いかけてないような人が

ゆうりに簡単に口出ししていい人じゃない…

ゆうりのあの考え方で、ゆうりが苦しまないといいな…

私は、どれほど心が狭く、

どれほど人の気持ちに寄り添ってあげられないのか

自分の分かりたくないことがよく分かって、

私って何なんだろうってとことん思う。

どうしたらいいんだろう。私に何ができるんだろう。

…明日もう少しゆうりと話して

今まで私を支えてくれた分私が支えないと…!

あの日の青をまだ知らない

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