美桜
おかーさん!
お母さん
どうしたの?美桜?
美桜
人間って死んだらどうなるのー?
お母さん
死んだら灰になって二度と生き返れないのよ?
美桜
え…生まれ変われないの?
お母さん
当たり前でしょ。生まれ変わりなんてないのよ。
美桜
そうなんた。死にたくないなぁ…
お母さん
ふふ。美桜はまだ若いんだから大丈夫よ。
美桜
そうだね!おやすみなさい!
お母さん
おやすみ。美桜。
数年後
私は高校生になった。
奈々
美桜いいなー!
美桜
何がよ?
奈々
だって勉強も運動もできるし…
奈々
オマケに!イケメンの彼氏までいてさ…
美桜
そうだね。でも…
海斗
おーいおーい!美桜!
奈々
ほら、噂をすれば…
美桜
うん。
海斗
一緒にお弁当食べに行こうぜ!
美桜
いいけど…奈々は?
奈々
いいよ!私他の子と食べるから!2人でゆっくりして!
海斗
ありがとう!ごめんな!
美桜
じゃあいこっか!
海斗
うん!
海斗
なあ、美桜、お前って怖いもんないのか?
美桜
え…怖いもの…?
美桜
あるよ…
海斗
へえ、何?
美桜
言えないよ!きっと海斗に変だって思われる!
海斗
なんでだよ?俺なんかこの歳でまだおばけ怖いんだぞ?
海斗
言ってみろよ。一応彼氏なんだから。
美桜
わかった。
海斗
よし、教えて。
美桜
私、死ぬのが怖いんです。
海斗
え…?
美桜
死にたくないの。どうしても…
海斗
いやぁ…でもさぁ…
美桜
変な事言ってるのは充分わかってるよ?
美桜
でも、自分という存在が消えてなくなるのが怖いの。
海斗
美桜。
美桜
何?
海斗
美桜のいってることまちがってないよ。変じゃない。
美桜
え?
海斗
みんな死ぬのが怖いに決まってんだろ?何当たり前のこと言ってんだよ?
美桜
だ、だってぇ…
海斗
美桜、俺もお前もいつか死ぬ。
海斗
それは避けられない運命だよ。
海斗
でも約束する。死ぬ時は必ずそばにいるから。
美桜
海斗…ありがとう…大好き。
海斗
あ、でも!俺より先に死ぬなよー!
海斗
俺が寂しいから。
美桜
私が寂しい思いしてもいいのー?
海斗
それはいいんだよ笑
美桜
え…酷い!
海斗
あははっ
美桜
もう!
私は少しだけ死ぬのが怖くなくなった。
美桜
ただいま!
お母さん
あら、おかえり。美桜。
お母さん
実は大事な話があるの
美桜
え?何?
お母さん
あの…その…
美桜
どうしたの?
お母さん
あのね…この間人間ドック受けたでしょ?
美桜
うん。
お母さん
その結果が出たの。
美桜
へー。それで?
お母さん
それで…結果なんだけど…
お母さん
お母さんは平気だったのよ?でも…美桜が…
美桜
え?私が?何かあったの?
お母さん
余命…1ヶ月だって…
美桜
え…
お母さん
ホントなのよ。
美桜
私、死んじゃうの?
お母さん
そうよ。死ぬの。消えてなくなるのよ。
美桜
嫌だァ!嫌だよ!お母さん!死にたくない!死にたくないよ!
お母さん
無理よ。諦めなさい。あなたはあと一ヶ月で死ぬの。
美桜
おがあざん!
お母さん
…
次の日から私は病院に入院することになった。
病院にはたくさんの人が来た。
奈々
美桜…死ぬの?
美桜
そうね。死ぬのよ。
奈々
嫌だよ!
美桜
私だって嫌に決まってんじゃん。
奈々
ねえ、美桜。生まれ変わったらまた…
美桜
やめて!
奈々
え…?
美桜
生まれ変わりなんてないのよ!
奈々
え…
美桜
私は死んだら灰になって二度と生き返れないの!変なこと言わないで!
奈々
ごめん…
美桜
…言いすぎた…
美桜
ごめんね。でも混乱してて…
奈々
しょうがないよ。また来るからね。
美桜
うん。
奈々は何度もお見舞いに来てくれた。
でも…海斗は私に逢いに来てくれなかった。
そして死を待つばかりとなったある日のこと…
お母さん
美桜、海斗くんが来てるわよ。
美桜
え…?海斗が?
海斗
美桜!
お母さん
お母さん、ちょっと出てくるから。2人でゆっくりね。
美桜
うん。
海斗
美桜…死にたくないか…?
美桜
当たり前じゃない!何を今更!
海斗
そうかァ…まだ怖いのか…凄いなぁ…
美桜
はあ!?バカにしてんの?私がどんな思いか知りもせずに!
海斗
ああ…ごめん。ごめん
海斗
俺が思ったのはさ…こんな状況でも人間らしい美桜は凄いなぁ…って思っだけだよ
美桜
え…?
海斗
ちゃんと怖いって感情や俺に対する怒りも湧いてくるみたいだし…
海斗
美桜、最高だよ?
美桜
…ありがと。
美桜
でもそんなことで死ぬのが怖くなくなったりしないから
海斗
分かってるよ。
海斗
ただ、美桜が死ぬなら、そばにいようと思ってさ
美桜
は?今まで1度もお見舞いに来なかったくせに
海斗
それはお前が俺より早く死のうとしたから罰ゲーム。
美桜
ふーん。嘘つき。
海斗
え…
美桜
そんなの、嘘でしょ?私が死ぬのが寂しかったんでしょ?
海斗
そう…だよ。状況が理解できなくてさ…ごめんな。
美桜
いいの。海斗が励ましてくれただけで嬉しい。
海斗
美桜、死んでもいいぞ?
美桜
え…なんでよ?
海斗
そりゃあ死んで欲しくはないんだけど…
海斗
そんなこと言われたって困るだろ?
海斗
いいんだよ。俺の横でならいつ死んでも構わない。
美桜
何それ。でも…私も海斗の横で死にたい。
海斗
美桜、大好きだよ。
美桜
海斗…ごめんね。
海斗
え…?
美桜
私、海斗との約束果たせなかった…
美桜
海斗より早く死んじゃう…
海斗
そんな事いいんだよ。黙って俺の隣にいろ。
美桜
ありがとう。大好き。
海斗
俺も大好きだよ。美桜。
死の直前なのに…
不思議なことに死ぬのが怖くなかった。