司
……誰だ!!!!
えむ
…司くん
司
な、なんだ…お前か、えむ
えむ
……
えむ
話があって、待ってたの
司
…話?なんだ?
えむ
司くんが言ってた…スターの話
司
!
司
それも気になるが、お前…先程別れたばかりではないか!
えむ
うん、そうだよ
えむ
そうなんだけど……
えむ
私ね、どうしても頭の中に残り続けるものがあって、セカイに来たの
司
残り続ける…?
えむ
司くんとか、寧々ちゃんとか、類くんのこと……
えむ
あのね、定期的に無くなるの。ひとり独り…3人の笑顔が…その原因がね、みんな共通して夢に繋がってるの
えむ
なんでかなぁ、って考えたんだ
えむ
せっかく、夢に向かって頑張ってるのになぁ、って
えむ
それでね、私なりの結論が出たの
司
…それはなんだ?
えむ
……
えむ
私のおじいちゃんはね、いつも夢を見たあとに現実、地獄…色んな壁に遭遇するの…その度に諦めそうになったんだって
えむ
その現実と地獄、味合ったのはなんのせい?壁に遭遇したのはなんで?
司
……
司
夢の、せい……
えむ
そう、みんな夢を見て地獄を味合うの
えむ
私ね、それなら夢を見ちゃいけないのかなって、思っちゃったんだ
えむ
……悔しいよ、司くん
えむ
こんな考えになった私が悔しい…
司
……っ
えむ
…それで、結論なんだけど
えむ
笑顔が無くなるのは、夢を思い出してないからだと思ったの
えむ
だって、私以外の全員が笑顔じゃなかったら、笑顔にしたいってなるじゃん?その夢を見たら…自然に頑張ろうと思うよ、私は
えむ
だって、夢なんだもん!
えむ
叶えたいよね!司くんも!
司
嗚呼…
えむ
だから私、夢を思い出してもらえるようなショーがしたい!
えむ
みんなに笑顔をあげたいの!
司
えむ……
司
…お前は、本当に優しい奴だな
えむ
…ほへ?
えむ
そ、そうかなぁ…?
司
嗚呼、誰に対しても平等に接し、そして何より人の笑顔を大事にしている
司
オレは、そんなメンバーがオレの一座にいて、とても誇らしく思う
司
…なにかに、気付かされた気がした
えむ
気づいたこと?なに?
司
ショーや人の為にやることは、笑顔でやるものだ
司
そして、夢は笑顔になるもの
司
…その2つが出来てこそ
司
人々はスターと呼ぶ
えむ
……!
司
オレの中にあるスターの目は、いつも笑っていて、輝いていた
司
現実を感じさせない最高のショー、夢を見させてくれるショー……
司
家族が、みんなが笑顔になったショー
司
…全て完璧だ
えむ
なんだかおじいちゃんみたい!
司
…えむのじいさんか?
えむ
うん!おじいちゃんね!ショーをやったことがあるの!大好評だったんだけどね、その年に倒れちゃって……だけど、約束したの!ワンダーステージをお客さんでいっぱいにするって!
司
……
司
えむ、約束したいことがある
えむ
え?
司
オレは、お前らとまたショーをする
司
もう二度と仲間を裏切らない!
えむ
司くん……!
カイト
良かった、司くん
司
カイト?!
司
先程までいなかったじゃないか!何があった?!
カイト
…話すと長くなるけど……
カイト
司くんには説明した方がいいかな
えむ
!
カイト
司くん、僕はこのセカイがどうやって生まれたと言ったかな?
司
それは、オレの思い?だったか?
カイト
そう、このセカイはスターを目指す理由を忘れた君に本当の想いを思い出してもらうために作ったセカイ
カイト
そして、僕達バーチャルシンガーは君の思いから出来た。そして、セカイにあるのは、そのセカイを生み出した人の想いの奥底にあるもの
カイト
…セカイには、大きく分けると2つの種類で生まれる
カイト
複数人の想いと、1人の思い…そして、司くんは1人の想いでセカイを作り出した
カイト
君のスターを目指す理由は、何かな?
司
もちろん、皆を笑顔にするためにショーがしたい!
カイト
だけど君は、1年前までその思いを忘れてスターを目指していた。それとは裏腹に、3人は最初からその想いでショーをしていた
司
……!
カイト
なんで、君1人の想いでワンダーランドのセカイが出来たのかな?改めて振り返ってみようか
司
…オレだけが…理由を忘れて……
カイト
そう、君1人だけ
カイト
だけど、4人は最初から全員集まっていたかな?セカイが出来た時には、えむちゃんと司くんだけだったよね?
司
じゃ、じゃあ何故……?
カイト
セカイはまだ始まってすらいなかったんだよ
司
ぇ…そ、それは皆が集まった後の曲じゃ…
カイト
ショーでやるのは世界、そして、ここはセカイだよ
司
……
司
理解が追いつかん……
カイト
あはは、ちょっと難しいかな?
カイト
…そして、先程まで僕達がいなかった理由だけど
カイト
このセカイが、消去しかけたんだ
司
……は?
司
無くなりそうになる、というわけか?
カイト
そうだよ
司
なんでだ?!セカイが消えることが…全て消えることがあるのか?!
カイト
このセカイが消されると、セカイの僕やミク、バーチャルシンガーだけでは無く…司くんの奥底の想いから生まれた物やぬいぐるみのみんなも消えてしまう
司
……っ!
カイト
…理由は、司くんの想いのひとつ、未来のスターが消えかけていたからだ
司
…スター?
カイト
そうだよ、司くんはここ数日、このセカイとは真逆の想いを持ち始めていたんだ
司
オレが…?夢を諦めたいなど、なんにも思っていないはずだが……
カイト
そう、司くん自身は思っていない。けど、司くんの心の奥底が違う想いに変わり始めたんだ
えむ
……
カイト
このセカイは、スターを目指す理由を思い出してもらうために作ったセカイ
カイト
だけど、司くんがスターを忘れてしまったら、セカイは永遠に消えてしまう
カイト
二度と戻ることは無いんだ
司
そんな……
カイト
そして、僕達は段々とこのセカイという存在の1人として、消えかけていたんだ
カイト
えむくんが司くんにスターを思い出してもらえなければ、今頃セカイはない
司
……
司
えむ……
カイト
でも、司くんが想いを持ってもらえてよかったよ
カイト
…じゃあね、2人共
えむ
あ、カイトさんちょっと待って……!
カイト
……
司
……
えむ
あ、帰ってきちゃった……
司
…えむ
司
ありがとう
えむ
え、あ…えっと……
えむ
私、司くんとセカイが大丈夫なら、良かった!
えむ
みんなとまだまだ話したかったもん!
司
……そうか
寧々
あ、見つけたわよ!
類
司くん!
司
寧々?!類?!
えむ
えぇ?!こんな遅い時間に?!
寧々
特大ブーメランなんだけど…
類
おかしいと思ったんだ。えむくんの様子が
類
だけど、無事みたいで良かったよ
寧々
…何があったの?
司
……そうだな
司
難しすぎて頭が回らない出来事が起こった…な
えむ
そうだね〜
寧々
何それ……まぁ、いいや
類
夜ご飯は食べたかい?良かったら一緒に食べに行こうよ
えむ
え、いいの?!
寧々
うん、2人がいいなら
司
お、それじゃあ行くか!
司
未来のスターは、メンバーも大切にするからな!
えむ
わ、わんだほーい!!!!
寧々
あ、えむ感動してる……
類
フフ、感激だね