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君の膵臓をたべたい

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君の膵臓をたべたい

1 - 地味なクラスメイト 1

♥

21

2019年09月17日

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クラスメイトであった 山内 桜良の通夜にも 葬儀にも

僕は出なかった。

僕は自室にこもり 彼女に借りた本を 読んでいた。

ヴーッ ヴーッ ヴーッ

〇〇なクラスメイトくん

なに母さん

お母さん

あのさーお米
炊いといてくれない?

〇〇なクラスメイトくん

うん
わかった

〇〇なクラスメイトくん

うん

君に最後に送ったメール

君は見たんだろうか

たった 一言のメール

『君の膵臓をたべたい』

第1話 【地味なクラスメイト】

彼女は クラスの誰からも 愛されていた

男子

桜良

がたん ドンッ

〇〇なクラスメイトくん

・・・・

僕と彼女に 接点は無かった

強いて言えば 『クラスメイト』

それぐらい。

僕は人に 興味が無かったし

多分クラスの皆も 僕の事には 興味ないだろう。

図書室

これが僕の普通

そしてそれは

これからも続くと

ガラッ!

・・・思っていたのだが…

山内 桜良

もー!行くなら声かけて
くれてもいいのに!

山内 桜良

同じ図書委員でしょー?

〇〇なクラスメイトくん

君が仕事を忘れてなければ
時間になったら来ると思って

山内 桜良

もー、相変わらず
つれないなぁ…

山内 桜良


これ片付けるのね!

〇〇なクラスメイトくん

・・・

山内 桜良

私さぁ…

山内 桜良

君の膵臓をたべたい

・・・僕に言ってるのか

〇〇なクラスメイトくん

いきなりカニバリズム
にでも目覚めたの?

山内 桜良

昨日テレビで見たんだぁ!

山内 桜良

昔の人はどこか
悪い所があると

山内 桜良

ほかの動物のその部分を
食べたんだって

〇〇なクラスメイトくん

それが?

山内 桜良

肝臓が悪かったら
肝臓を食べて

山内 桜良

胃が悪かったら
胃を食べてって

山内 桜良

そうしたら病気が治るって
信じられてたらしいよ

山内 桜良

だから私は

山内 桜良

君の膵臓をたべたい

〇〇なクラスメイトくん

・・・もしかして

〇〇なクラスメイトくん

その君って言うのは
僕のこと?

山内 桜良

他に?((クスクス

〇〇なクラスメイトくん

(o´Д`)=з

〇〇なクラスメイトくん

僕の小さな内蔵に
君を救うなんていう

〇〇なクラスメイトくん

重荷は背負わせ
られないな

〇〇なクラスメイトくん

それに僕が
肝臓を必要としてるって

〇〇なクラスメイトくん

可能性はないの?

山内 桜良

どうせ膵臓の役割も
知らないんでしょうに~

〇〇なクラスメイトくん

知ってるよ

山内 桜良

もしかして
調べたりしたの?

〇〇なクラスメイトくん

・・・・膵臓は

〇〇なクラスメイトくん

消化とエネルギー生産の
調整役だ。

〇〇なクラスメイトくん

例えば糖をエネルギーに
変えるために

〇〇なクラスメイトくん

インスリンを作ってる

〇〇なクラスメイトくん

もし膵臓がないと
人はエネルギーを

〇〇なクラスメイトくん

得られなくて死ぬ

〇〇なクラスメイトくん

だから君に膵臓を
ご馳走する事は

〇〇なクラスメイトくん

出来ないんだ。

〇〇なクラスメイトくん

ごめんね

山内 桜良

ぷっ(笑)

山内 桜良

うわはははは‪w

山内 桜良

なんだぁ

山内 桜良

【秘密を知ってる
クラスメイト】くんも

山内 桜良

私にちゃんと興味を
持ってくれてるんだねぇ

〇〇なクラスメイトくん

そりゃあ…

〇〇なクラスメイトくん

重病に罹ってる
クラスメイトなんて

〇〇なクラスメイトくん

興味が尽きない

山内 桜良

そういうんじゃなくて
私っていう人間には?

〇〇なクラスメイトくん

・・・さぁ

山内 桜良

うわはははは‪w

山内 桜良

なんだよそれー(笑)

〇〇なクラスメイトくん

・・・・

そう、僕は秘密を知ってる

彼女の唯一の クラスメイト

あれはまだ遅咲きの桜が 咲いていた時期

病院

〇〇なクラスメイトくん

((最近の抜糸ってあんまり
痛くないんだなぁ…))

〇〇なクラスメイトくん

〇〇なクラスメイトくん

((文庫本?))

〇〇なクラスメイトくん

((忘れ物かな))

〇〇なクラスメイトくん

タイトルは…

ペラッ

〇〇なクラスメイトくん

((共病文庫…?))

〇〇なクラスメイトくん

((聞いた事ない…
と言うか手書きだし…))

〇〇なクラスメイトくん

((これ本…なのか?))

本日から共病文庫と名付けたこれに 日々の想いや行動を 書いていこうと思う。

家族以外の誰にも 言わないけれど私は あと数年で死んじゃう。

それを受け止めて 病気と一緒に 生きるために書く。

〇〇なクラスメイトくん

死ぬ…?

〇〇なクラスメイトくん

膵臓……?

〇〇なクラスメイトくん

((これは誰かの闘病日記…))

〇〇なクラスメイトくん

((いや共病日記か))

まず私が罹った膵臓の病気って言うのは ちょっと前まで判明した時には ほとんどの人がすぐ 死んじゃう病気の王様だった。

今は症状も ほとんど出なくなってきて…

山内 桜良

あの…

山内 桜良

それ私のなんだ

この人 確か……

山内 桜良

【地味なクラスメイト】くん
どうして病院に?

〇〇なクラスメイトくん

前に盲腸の手術を
したんだけどね

〇〇なクラスメイトくん

それの事後治療に

僕は何も見ていない そうだ、知らないフリを・・・

山内 桜良

あぁ、そうなんだ!
私は膵臓の検査にね

山内 桜良

診てもらわないと
死んじゃうから

なん…だと…

〇〇なクラスメイトくん

((僕の気遣いは…))

山内 桜良

((ニコッ

山内 桜良

びっくりした?

山内 桜良

それ読んでたでしょ?

〇〇なクラスメイトくん

((あ…もしかして))

山内 桜良

本当を言うとさ

冗談なのか?

山内 桜良

私がびっくりしちゃった!

山内 桜良

なくしたと思って
大慌てで探しに来たら

山内 桜良

【地味なクラスメイト】くん
が持ってるんだもん(笑)

あれ? 会話がそのまま流れたぞ?

〇〇なクラスメイトくん

・・・冗談でしょ?

山内 桜良

・・・・

山内 桜良

うわはははは‪w‪w‪w

山内 桜良

どんだけ悪趣味な
奴だって思われてんの私‪w

山内 桜良

書いてあるのは本当

山内 桜良

私は膵臓が使えなくなって
あとちょっとで死にます。

〇〇なクラスメイトくん

・・・・

〇〇なクラスメイトくん

あぁ…そう

山内 桜良

え!それだけ?

山内 桜良

なんかこう ないの?

〇〇なクラスメイトくん

・・・いや
クラスメイトに

〇〇なクラスメイトくん

もうすぐ死ぬって言われて
なんて言えばいいの?

山内 桜良

うーん…
私なら言葉 失うな

〇〇なクラスメイトくん

なら僕が沈黙
しなかっただけでも

〇〇なクラスメイトくん

評価して欲しい

山内 桜良

そうだねぇ
((クスクス

何が面白いんだ…

山内 桜良

皆には内緒にしてるから
クラスで言わないでね

これが 山内 桜良との 初めての会話

次の日 学校

山内 桜良

昨日ぶりだね!

山内 桜良

【秘密を知ってる
クラスメイト】くん!

〇〇なクラスメイトくん

えっ

山内 桜良

先生に聞いた?
図書委員 私もなるから!

〇〇なクラスメイトくん

山内 桜良

一緒に頑張ろうね~

〇〇なクラスメイトくん

山内 桜良

よろしくね

そしてその結果が 今なのだが…

〇〇なクラスメイトくん

・・・あのさ

〇〇なクラスメイトくん

残り少ない命を
図書室の片付けなんかに

〇〇なクラスメイトくん

使っていいの?

山内 桜良

山内 桜良

いいに決まってるじゃん

〇〇なクラスメイトくん

・・・

帰り

山内 桜良

んー…言いたいことは
わかんなくもないけどさ

山内 桜良

例えば【秘密を知ってる
クラスメイト】くんにも

山内 桜良

死ぬまでにやりたいことは
あるでしょう?

〇〇なクラスメイトくん

・・・無くはない…かな

山内 桜良

でも今
それをやってないじゃん

山内 桜良

私も君も もしかしたら
明日死ぬかもしれないのにさ

山内 桜良

そういう意味では
私も君も変わんないよ

山内 桜良

1日の価値は
全部一緒なんだから

山内 桜良

私は今日
楽しかったよ

〇〇なクラスメイトくん

・・・

山内 桜良

あっ

山内 桜良

頑張って~

男子

お疲れ
桜良~

タッタッタッ

山内 桜良

あいつー【秘密を知ってる
クラスメイト】くんを

山内 桜良

無視しやがって~

山内 桜良

明日 注意しとくねー

〇〇なクラスメイトくん

いいよ

〇〇なクラスメイトくん

いや むしろやめて

山内 桜良

もーそんなんだから
友達ができないんだよー

山内 桜良

((プンプン

〇〇なクラスメイトくん

事実だけど
余計なお世話だよ

山内 桜良

もーそんなんだからー

〇〇なクラスメイトくん

あ、校門だよ
じゃあね

山内 桜良

((ぐぬぬぬ

山内 桜良

じゃあ日曜日の
お昼11時に駅前集合ね!

ピタッ

〇〇なクラスメイトくん

山内 桜良


日曜 あいてない?

〇〇なクラスメイトくん

え…あー…ごめん
彼女とデートの約束が…

山内 桜良

嘘だよね

山内 桜良

じゃあ待ってる!

山内 桜良

『共病文庫』にも
ちゃんとつけとくから!

彼女は あと何度 この道を歩けるのだろうか

僕は少しだけ日曜日に 出かけるかどうかを

前向きに 考える気になった。

第1話 終わり

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