やがて
打楽器の音が鳴り止むと同時に
雄叫びが響き渡った。
次に現れたのは、魔物を従える「テイマー」と呼ばれる職業の者たちだった。
彼らはムチを振りながら、堂々と前へ進む。
巨大な魔物がその背中にテイマーを乗せ、
周囲の観衆に威圧感を与えながらも、おとなしく彼らに従っていた。
その光景に観衆は驚き、そして歓声を上げる。
テイマーと魔物の絆が、彼らの力強い行進に表れていた。
かつて、
魔物はこの世界において「悪しき存在」として忌み嫌われていた。
しかし、
十五年前、国王が告げた一つの法令がその常識を覆した。
国王
そして
その新たな法律のもと、
国王
高らかに宣言した。それから十五年の月日が流れた。
時が経つにつれて、
かつては敵対していた魔族と人間の間にも少しずつ交流が生まれ、
やがて彼らは互いに理解し合うようになっていった。
険悪だった関係は徐々に改善され、共に手を取り合って共存していく道を歩み始めた。
そして、
その象徴として、世界平和の証となる「平和の像」が建てられた。
それは、
「天体の魔法使い」を象った像であり、星を生み出し夜空を照らす力が、平和をもたらすものとして広く認識されるようになったからだ。
だが、
すべてが順調に進んだわけではない。
魔族の中には、この新たな秩序に反発し、
反乱を企てる者たちもいた。彼らは平和を嫌い、街や人々を襲うことが今もなお後を絶たない。
平和の象徴である「天体の魔法使い」の像がそびえる街でさえ、
その脅威から完全に解放されたわけではないのだ。
パレードは続いていた。
妖精たちと共に現れた魔法使いが、空から美しい粒子を降らせ、
まるで、
幸福の雨が街を包むかのようだ。
人々は手を伸ばし、幸福を受け入れるように笑みを浮かべた。
妖精たちは楽しげに笑い、魔法使いは「光よ!」と唱える
煌めく光の輪を空中に作り出した。
そして、
その輪をそっと子供たちの頭上に置いた。
この「天使の輪」を授けられた子供は、将来立派な大人になるというジンクスがある。
そのため、最前列に並ぶ親たちの顔には期待と喜びが溢れていた。
続いて現れたのは、
長い槍を持った兵士たちだ。彼らは列を組み、堂々と歩いてくる。
そして、二人一組になると、槍を使って見事なパフォーマンスを披露し始めた。
まるで、
自分の手足のように槍を自在に操り、くるりと回転させるその姿に、観衆は釘付けになる。
その回転はますます速くなり、隣にいた兵士に槍を投げ渡した。
その瞬間、
受け取った兵士はさらなる技を披露し、またもや槍を高速で回転させる。
そして、
魔法使いがその槍に魔法をかけると、槍の先から輝く炎の尾が伸び、まるでその尾が生きているかのように、しなやかに動き出した。
街は熱狂に包まれ、指笛が響き渡り、歓声が空に舞い上がる。人々の心がひとつに溶け合い、喜びが街全体に広がっていくのを感じた。
しかし、こんな風に楽しめるのも今だけだ。僕たちはまた、旅に出なければならない。
この街での思い出は、星々と共に夜空に刻まれ、ずっと残ることだろう。
アストレス
リサ
僕たちは新たな街へと歩み出した。どんな出会いが待っているのか、どんな出来事が起こるのか、楽しみでならない。
星々が導く道の先には、まだ見ぬ世界が広がっているのだ。
雨が降り続けている。
雫が地面に叩きつける音に包まれ、周囲の獣の鳴き声や、畑を耕す農民たちの声はすっかりかき消されてしまっていた。
それも当然のことだ。 この激しい大雨の中、偶然通りかかった馬車に運良く拾ってもらい、近くの村まで送ってもらう予定だった
しかし、
途中で大雨の影響で崖崩れが発生し、道が閉ざされてしまったのだ。
やむを得ず、別の道を探すことになった。
運転手は迂回路を探しながら、険しい顔で呟いた。
運転手
エルフの森
その名前を聞くだけで、僕の胸に不安が広がった。
エルフたちはその土地を守り抜いてきた誇り高き種族であり、外部の者をむやみに森へ入れることはしないという話を聞いたことがある。
だが、他に道がない以上、エルフと交渉してみるしかないだろう。
もしかしたら、
うまく話が通じれば通してもらえるかもしれない。
アストレス
森の奥深くに進むにつれて、木々は次第に密集し、空が見えなくなるほどだった。
雨音も、森の中ではまるで遠い世界の出来事のように、徐々に静まりかえっていった。
馬車の揺れが激しさを増していく。
アストレス
アストレス
突然!!
??
運転手は反射的に急ブレーキをかけ、馬車は激しく揺れながら急停止した。
アストレス
なんとか体勢を整え、崩れかけた荷物を必死で支える。
息を整える間もなく、外の状況が気になり、僕は馬車の窓からそっと外を覗いた。
雨で濡れた森の道に、数人のエルフが静かに立ちはだかっていた。
彼らの鋭い目がこちらを睨みつけ、その存在感はまるで森そのものが僕たちを拒絶しているかのようだった。
エルフ
エルフの一人が静かに告げた。手作りと思われる木製の弓を引き、鋭い鉄の矢がこちらを狙っている。
その姿勢からは、今にも矢が放たれるのではないかという緊張感が漂っていた。
運転手である商人は、必死の面持ちで答えた。
運転手
彼の声には困惑と恐れが滲み出ていたが、その眼差しには決して譲れないという強い意志も感じられた。
アストレス
リサ
その声には少しの不安も感じられなかったが、彼女の目がしっかりとこちらに集中しているのを感じた。
アストレス
そして、街で稼いだ金を袋から取り出し、地面に撒き散らすように落とした。
金属がぶつかり合う音が森に響き、瞬く間に金貨の山ができあがった。
エルフたちはその音に反応し、我先にと金貨に群がった。
彼らは、まるでその輝きを逃すまいとするかのように、服の隙間という隙間に金貨を詰め込んでいく。
アストレス
アストレス
エルフたちは金貨に夢中で、僕たちのことなどまるで眼中になかった。その隙に、馬車は再び森の道を駆け出した。
エルフにとって金貨は、非常に貴重なものだ。彼らは人間とほとんど交流を持たないため、人間の持つ物はエルフの里で高額で取引されるという話もある。
そのため、金貨を手にする機会は滅多にないのだ。だからこそ、彼らはあのように必死に金貨を手に入れようとしたのだろう。
馬車は雨の中を進みながら、森を抜け出そうとしていた。僕はふと後ろを振り返り、エルフたちが未だに金貨に夢中になっている様子を確認した。
リサ
アストレス
その表情には冷静さが伺えるが、その奥にはほんの少しの安堵も見え隠れしていた。
運転手
アストレス
アストレス
アストレス
リサ
ゆっくりと揺られながら旅を続け馬車のリズムに身を任せていると、いつしか瞼が重くなり、意識が夢の世界へと引き込まれていった。
しかし、
途中で車輪が小石につまずくたび、その衝撃で現実へと引き戻される。夢と現実の狭間を行き来しながら、僕たちは少しずつ村へと近づいていった。
そして、いくつもの夢の断片が途切れた後、ようやく馬車は小さな村の入り口にたどり着いた。
雨はまだしとしとと降り続いていたが、村の灯りがぼんやりと僕たちを迎え入れてくれた。
村長
村長
運転手
アストレス
マートル
アストレス
自己紹介を終えると、リサが少しむくれた顔で僕に言った。
リサ
アストレス
アストレス
リサはさらに顔を赤らめて、僕の手を払ったが、その目には少しだけ嬉しそうな光が宿っていた。
村長に宿屋を案内されて、泊まることにした。僕たちは、夕暮れ時になるのを待っていた。
ベッドにうつ伏せに寝転んでいるリサは、魔導書を読んでいた。
商人のマートルさんから頂いた古書のようで、文字がなんて書いてあるかは僕にはわからないがリサは、その文字が読めるようで興味深々に読んでいた。
パタンと本を閉じる音が聞こえる。
リサ
アストレス
答えてから外出する準備を整えてから扉を閉めた。外に出たあと、湖が近くにあるのが馬車から見えたので行ってみると、草が揺れ、黄色く光る光虫が辺りに飛んでいる。
幻想的な空間が自然にできていた。
リサ
アストレス
僕たちは祈りを捧げるように星を創り出した。周りにいた光虫は星の光に集まってきて、さらに光を増していく。魔法と自然のコラボレーションができてなんと美しいのだろう。
星が一つだけできた。片手に星を乗せるとふわっと上にあげ光虫は、びっくりして夜空へと消えていった。
ふと、
リサを見た時には、リサは星を創り上げており、なぜか星の色が少し蒼い気がした。なんだろうか?よくわからない。
アストレス
リサ
アストレス
しかし星が青く見える輝きはなんとも美しいものだ。白と青の渦が混じり合って濃淡な色と薄い色が絶妙な感じになっている。この星に名前をつけるとしたらリサはなんて名前をつけるのだろう。
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