千夜苦 Part6

春千夜はココに優しく微笑んでから 立ち上がり壁に近付いた

春は何故頭を打って記憶を失えると 確信していたのか、よく分からなかった。

でも、今わかった気がする。 これ以上 「痛い」「苦しい」があれば 全部消えちゃうって春は分かってたんだね

苦しみを誰かに与えられて、 その誰かを苦しめない為に。 自分で片付けたかった。そうでしょ？

久しぶりにはっきりとした声を聞いた

手を伸ばしても遅かった、

春千夜は精一杯に振りかぶり 壁に頭を打ち付けた

眠りながら涙を浮かべていた。 でもその表情はどこか幸せそうで、 この選択が間違ってないと諭してくれた

いや゛あ゛あ゛あ゛！！！

ココは春千夜の頬を両手で挟み、 額を合わせて頬を涙で濡らした

ドンッッ！！

ぅわああああん....！

蘭は竜胆を押し退けてドアへと走った

蘭......

春千夜の頼みなんだ。

ごめんな

.........春千夜は蘭に壊れて欲しくないんだ

................

......ん、

ｶﾞﾁｬ......

熱で平衡感覚を失った蘭は ふらつきながら立ち上がり、 春千夜の部屋へと走った