周りの応募者はザワザワしている
なんで理由ない奴が一次通るの?
せめて嘘でも話しときゃいいのに
勿体無いだろ、アイツ
冷たい言葉と鋭い視線
それは審査員からも同じ
でも一人だけ違った
水色の髪した若い男
俺を見定める様なちょっと厳しい様な目
じっと見つめ返すと
ころん
ちょっと満足気に笑い
ころん
ころん
それ以上は何も聞いてこなかった
二次審査が全て終わり外に出された
あっきぃ
深い、重いため息
落ちた
絶対落ちた
あっきぃ
嘘でもついときゃよかったのに
あっきぃ
でも嘘付けないのが俺のいいとこ
そうやって小さい時の親友は言ってくれた
でもそのせいで失敗した
あっきぃ
スマホを開きメールを起動させる
お気に入りボックスに入れてたオーディションのメールを削除してする
諦めよう
結果なんてもうわかってる
希望なんてなかったんだ
元々期待なんてしてなかった
でも現実を突きつけられると受け入れ難い
あっきぃ
やっと何かが変わると思ったのに
どうしよもない喪失感が体を包む
あっきぃ
でも動けない
体が死んでいる
死体と化した肉体は重い
そんな体を起こす様に通知が鳴る
ピロン
あっきぃ
腕を伸ばしスマホをこっち側へ滑らせる
するとそこには
「第三次オーディションのご案内」
重くて硬い皮膚が剥がれ落ちた様だった
コメント
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初コメ失礼します!続き楽しみにしてます!あとフォローも失礼します!