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父親
父にそう聞いた時、俺は少し戸惑いを感じた。俺には物心着いた時から母親なんて存在していなかったし実際母親ができた時自分の生活がどのように変化するのかなんて想像もつかなかった
一体これからどんな生活になるんだろうと期待と戸惑いがありながらもその女性が引っ越して来た当日、そこには女性だけじゃなくもう一人別の少年がいた
その光景に驚き父親を問いただすと父親は彼の紹介をしてくれた
父親
母親
かもめ
父親
かもめ
存在を認識するように口にしながら目の前のポケカメンくんを見た。
白い絹のような肌にサラサラで艶のある黒い髪とぱっちり二重の大きな菫色の瞳を持つ彼はまるで人形のようで素直に綺麗だと思った。だがその瞳や美しい容姿はどこか冷たくて、まるで彼の中身は空っぽなのではないか、そう思わせる何かを感じた
ポケカメン
そう挨拶してくれたポケカメンくんは無表情で感情を読み取ることが出来なかった
父親
母親
ポケカメン
父親
かもめ
母親
かもめ
母親
かもめ
父親
かもめ
父さんと母さんが出ていってしまった
今ここにいるのは俺と先程弟になったばかりのポケカメンくん。二人が出て行ったこの空間には沈黙が流れ少し気まずいものになっていた
ポケカメン
かもめ
ポケカメン
かもめ
ポケカメン
ポケカメン
かもめ
ポケカメン
かもめ
ポケカメン
かもめ
ポケカメン
かもめ
ポケカメン
かもめ
ポケカメン
かもめ
ポケカメン
かもめ
ポケカメン
かもめ
そこで会話が途切れてしまいまたこの場に沈黙が流れる。にしてもなにか気がかりだ
ポケの話し方は、なんというかロボットみたいで、作り物みたいな感じがする。感情がないというか、起伏がない話し方。何にも興味がなくてただ言われたことに答えるだけ 本当に人形みたいな感じだ
かもめ
ポケカメン
かもめ
そんな俺の思考を振り払うように半ば強引にポケの手を握ってリビングへと連れていく。握ったポケの手は確かに暖かかった
そんなわけない。そう思いながら俺は今も振りほどかれることなく繋がれているポケの手をぎゅっと握った
それから約半月、俺は最初ポケにどう接すればいいのかわからなかった。感情は読み取れないし何を考えているかわからない。何をしていても楽しそうでも辛そうでもなくただ永遠と無表情でいるポケにも時々人間らしくない喋り方をするポケにもだんだんと慣れていったし何よりポケの冷静な表情の裏に隠された優しさも少しずつ感じ始められていた
俺が怪我をした時には焦る様子はなかったがリビングを駆け回り一生懸命絆創膏を探してくれたり学校で嫌なことがあって一人で泣いていた時には何も言わずそばにいてくれたり、そんなポケに俺は次第に特別な感情を抱くようになっていた
それは単なる兄弟愛とかそういうものではなくもっと大きくもっと深いもの。これがどんな感情なのかわからないが他の人には持っていない今まで自分を育ててくれた世界で一番大事だと思っていたお父さんにすら抱いたことのない感情だった
これがなんなのか、と学校に行った矢先友達に相談してみると恋じゃない、と言われ少し腑に落ちたような気がした
かもめ
ポケカメン
ポケカメン
かもめ
ポケカメン
かもめ
ポケカメン
その感情に心当たりがないと言えば嘘になる。感情の読み取りずらいポケのことをもっと知りたいしずっと無表情なポケを笑顔にしたい。ポケにもっと近づきたいと思ったことは何度もあるし最近は暇さえあればずっとポケのことを考えている
ポケカメン
かもめ
ポケカメン
かもめ
俺は、ポケに恋をしているんだろうか
そんなことを意識するようになってからはポケと過ごす毎日は今まででは感じられなかった楽しさや心臓の動悸が沢山あり俺は次第に学校の友達と遊ぶ時間を作るより早く家に帰りポケと遊ぶ時間を作るようになっていった
そんなある日の夜、トイレに行きたくなり一時起床し同じベッドに寝ているポケを起こさないようベッドから降り一階に行きトイレを済ませ二階のベッドへと戻ろうとした時、ふとリビングの扉が少し開いていて電気の光が廊下に漏れていて中から話し声が聞こえた
ただの興味本位だった。一体何を話しているんだろうと軽い気持ちで覗いて耳を傾ければ俺の想像を超える会話が聞こえた
母親
母親
「アンドロイド」確かに母さんはそう言った
俺は驚きのあまりその場に立ち尽くしてしまった。俺の恋するポケカメンは人間じゃない。作り物のアンドロイド その事実は、俺の中で複雑な感情を引き起こした
硬直した体と足を必死に動かし俺は二階のポケが眠るベッドへと戻った。寝相もなく初めに眠った時と全くベッドに眠るポケの姿はやっぱり綺麗で初めてポケの目の当たりにした時と同じ感情に陥った
人形みたい、俺は初めてポケと出会った時そう思った。ポケは、本当に人形だったんだ
よく考えればそんな節はいくつもあった。感情のこもらない喋り方に普通はわかるはずない他人の体温や心拍。まるでウィキペディアのようにすぐに物事の説明ができる脳。ポケは人外れた能力を沢山持っていた
かもめ
今までのポケとの思い出がポケがアンドロイドだということを自覚させる。俺はベッドに潜り込み寝ているポケの隣で涙を流しながら朝を迎えた
ポケカメン
かもめ
ポケカメン
かもめ
ポケカメン
ポケカメン
かもめ
目を覚ましたが起き上がらず寝転がったまま俺の目を見つめる。いつも通りなのに、ポケのこの喋り方に悲しさが溢れてくる
もう慣れたはずの感情の起伏のないこれはポケが人形であることを証明する材料には十分なものだった
ポケカメン
かもめ
ポケカメン
起き上がりながら答えればポケも同じように起き上がった。すると部屋にコンコンとノック音が響きドアが開いた。入ってきたのは母さんでどうやら起きているかの確認をしに来たみたいだった だが俺の顔を見た途端顔をギョッとさせ駆け寄ってきた
母親
かもめ
母親
ポケカメン
母さんを止める間もなくバタバタと部屋を出ていってしまった
お母さんは子供が好きなんだ、自分の息子となれば特に。着いていけないかもしれないが許してあげてほしい
かもめ
ポケカメン
かもめ
そう言いかけて止まった。ポケは自分がアンドロイドであることを理解しているのだろうか。もし知らなかったら、俺はポケを傷つけてしまうことになるだろう
それは嫌だった。自分の恋する相手を傷つけたいだなんて普通は思わないだろう
かもめ
ポケカメン
ポケは周りの言うことに肯定も否定もしない、それはきっと感情がないから。何故今まで自ら気づけなかったのかわからないほどポケに対して人間らしい一面など一度も感じたことがなかった
少し気まずい空間だったところに母さんが戻ってきて焦るように俺にタオルで包んだ保冷剤を渡してくれた。お礼を言いながらそれを受け取り痛みを感じていた目に当てる タオルは少し薄生地のもので程よく冷たくてちょうど良かった
母親
かもめ
母親
かもめ
母親
かもめ
その後母さんが作ってくれたご飯を父母二人で持ってきてくれてゆっくり休めと言ってくれた。ポケも俺の我儘に付き合ってくれて、本当に暖かかった
ポケカメン
かもめ
ポケカメン
かもめ
ポケカメン
かもめ
ポケカメン
かもめ
ポケカメン
ポケカメン
ポケカメン
ポケカメン
言葉にできない、表せないこの感情
ポケは「自分は人間ではない」確かにそう言った。ポケは自分がアンドロイドであることを知っていた、だとしたら何故それを教えてくれなかったのだろうか、既に知っているとでも思われていたのか
ポケから明かされたポケが人間ではないという事実に昨夜よりももっと深く複雑な感情になりポケの顔を見ることが出来ず逃げるようにベッドから立ち上がった
かもめ
ポケカメン
ポケの俺を呼ぶ声を遮るように俺は部屋のドアを閉じた
向かった先はリビングにいる両親の所。扉を開けば驚いたような表情の二人だったがそれを見なかったように声をかけた
かもめ
そう言えば二人は驚いたように目を見開いたが数秒後苦しそうに気まずそうに少し目を伏せ気味に答える
母親
かもめ
父親
かもめ
かもめ
かもめ
母親
かもめ
母親
母親
かもめ
かもめ
最初に聞いた時と同じ質問をすれば母さんは気まずそうな顔をしながらもし感情を作るにしてもそれは数年、下手をすれば十数年かかる可能性もありそれは難しい。と首を横に振られてしまった
感情を作る、それはすなわちポケを改造するということ。母親によれば一歩間違えればポケを失うことにだってなり得るそれはおすすめは出来ないということだった
ポケを失うのは絶対に嫌だ。でもポケに感情がない限り俺の恋心は行き先を失ってしまう
俺はポケと一つ屋根の下で一緒に暮らしていて部屋もベッドも同じで、この恋心を隠しながらこの家で過ごすことなんてできるわけがないしそれを続ければ俺は人生最大の過ちを犯しポケを傷つけてしまうかもしれない
どうすることもできずただ絶望しかできないこの現状から目を背けるように俺は家を飛び出してしまった
ポケカメン
かもめ
ポケカメン
かもめ
俺は家から飛び出した後家から少し離れた公園のベンチに座り込んでいた。少し冷静になれるよう呼吸を整え気づかなかったが今までずっと握っていたらしくもう温くなってしまった保冷剤を握りながら考え事をしている時現れたのは俺の悩みの中核であるポケカメンだった
かもめ
ポケカメン
かもめ
かもめ
好きな人の目の前で泣くなんて格好悪いしみっともないけど今は感情を抑えられず目の前で立ち尽くしているポケを抱きしめた
かもめ
そんな俺に答えるようにポケは戸惑いながらも背中に腕を回してくれた
かもめ
ポケカメン
かもめ
ポケカメン
ポケの手を握って二人で家へと歩き出した。特に会話もせず二人でゆっくり家に帰れば心配したような父と母に申し訳なさを感じながらも覚悟を決めたという意思表示で二人の目を見つめれば二人もなにか覚悟を決めたように真剣な表情へと変わりリビングに四人で集まった
母親
母親
母親
母親
かもめ
かもめ
父親
かもめ
母親
かもめ
父親
母親
母親
ポケカメン
母親
ポケカメン
母親
すると母さんはスマホを取りだし何処かに電話をかけ始めた。数分の会話の後電話は切られ父と母二人で話し合いをしたと思えばバタバタと動き始めた
母親
ポケカメン
父親
かもめ
父親
父親
ポケカメン
父親
父親
父親
父さんはそう言ってポケの頭を優しく一撫でしリビングから出ていった
かもめ
ポケカメン
かもめ
ポケカメン
ポケカメン
ポケカメン
かもめ
そう言ってポケの頬にキスをした。
ポケカメン
かもめ
かもめ
ポケカメン
ポケカメン
かもめ
俺はポケが好きだ。そしてそれは親愛ではなく愛情。恋愛的な意味だ 少し悩んだ末俺はポケの唇に優しく触れた
かもめ
ポケカメン
かもめ
ポケカメン
かもめ
かもめ
ポケカメン
掛け合いが少し面白く感じたのか、それともポケと分かり合えたからなのか不思議と笑みがこぼれる。そんな俺をポケはそれこそ笑顔ではないがどことなく優しい表情をして見守ってくれてたような気がした
それから約五年の時が経ち、当時中学一年生だった俺はもう高校二年生になったがそれまでポケのことを一時も忘れたことはなかった
新学期が始まっていざ始業式当日。一年生の入学とともに新たな転入生がやってくるとの噂が二年生内で広まった。一体どのクラスに来るんだろう、とか男か女か、とかよくある話で二年生の階は妙にざわついていてなんだか少し居心地が悪かった
始業式、基一年生の入学式を無事終わらせクラスでのHRの際、先生からの転入生が来た、との報告に教室中がざわめきだした
KAITO
かもめ
なろ屋
かもめ
俺が求めているのは、探しているのは、たった一人だけだから
そらねこ
かもめ
サムライ翔
俺らも含めてざわざわ話し込んでいる教室に先生が一声かけしん、としたところで先生の合図により教室の扉が開いた
白い絹のような肌にサラサラで艶のある黒い髪とぱっちり二重の大きな菫色の瞳を持つ彼。あの日出会った、紛れもない俺の愛する人
驚きで声が出ない、ただあるのは困惑と口角が自然とあがってしまう程の喜び
ポケカメン
ニコッと笑ったポケに教室中が大歓声に溢れた
女子生徒達はイケメンやら肌綺麗やら男子生徒達は背高いやら二重が綺麗やらどれもポケの容姿を絶賛するような声で自分に言われたわけではないが少しいい気分になる
そらねこ
サムライ翔
なろ屋
KAITO
なろ屋
サムライ翔
かもめ
なぜポケがここにいるのか、ポケは今改造中じゃなかったのか、それを問ただすために放課後俺はポケを学校の中庭へと連れ出した
かもめ
ポケカメン
かもめ
ポケカメン
かもめ
ポケカメン
胸に手を当てながら苦笑いするポケ。そんな困ったような表情すらも愛おしく見えてしまう
笑った顔も不思議そうな顔も困った顔も、今まで見たことのない感情の籠った沢山の表情
かもめ
俺は泣きながらポケを強く抱き締めた。するとポケは不思議そうな顔をする
ポケカメン
かもめ
ポケカメン
かもめ
ポケカメン
かもめ
ポケカメン
かもめ
ポケカメン
感情ができたとはいえまだまだ世間知らずで人間っぽくないポケにこの先への不安とわくわくを感じながら涙を拭ってポケの手を取った
ポケの手はあの時と同じように暖かくてようやく俺の元へと戻ってきてくれたんだ、と自覚させられる
それが嬉しくてほんの少し握った手の力を強めた
かもめ
ポケカメン
かもめ
ポケカメン
ポケカメン
花が咲くような柔らかい笑顔で言われ突然つかれたその不意打ちに顔が熱くなるのを感じた
それを誤魔化すようにポケに向かせていた顔を前に向けて半ば強引に手を引っ張り歩き出せばそれに応えるように駆け寄って俺の横まで移動してくる
暖かい手は繋がれたまま二人で父と母の待つ家へと横並びで歩き出した