TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

女研BL短編まとめ

一覧ページ

「女研BL短編まとめ」のメインビジュアル

女研BL短編まとめ

32 - 第32話 見えない鎖 👑👾⇒🐷👾 改訂版

♥

1,831

2024年11月18日

シェアするシェアする
報告する

ニキ

ボビー……

ニキ

ほら、こっちむいて?

しろせんせー

ぁ……ニ……キ……

甘く掠れた声で呼ぶ声に、俺は抗うことが出来ない

みんなといる時とは違う優しく甘い声は、見えない鎖のように俺を縛る

しろせんせー

ぁ……

ニキ

ふふふ

ニキ

お前、すぐそうやるよな

ニキ

そんなに俺の腕のなか好きなの?

しろせんせー

……

ニキ

クスクスクス

俺よりも厚く広い胸板に顔を埋めて瞼を閉じる俺をからかう様な口調で話しながら、優しく頭を撫でてくれる

この腕の中が、俺だけの居場所だったら良かったのに……

しろせんせー

なぁ……

ニキ

ん?

しろせんせー

次はいつになる?

ニキ

んー

ニキ

とりあえずタバコ吸っていい?

しろせんせー

あ……あぁ

しろせんせー

俺もいくわ

近くにあったシャツを羽織ってベッドからおりる

少し軋む腰をかばいながら立ち上がると、ズボンだけ履いたニキがニヤニヤと笑ってこちらを見ていた

しろせんせー

なんや?

ニキ

いや……

ニキ

シャツから覗くキスマーク

ニキ

エロいなぁってww

しろせんせー

っ……

ニキ

隠すなよww

しろせんせー

なんやはずい

ニキ

さっきもっとエロい事したのに恥ずかしいの?ww

しろせんせー

それとこれとは違うやろ

ニキ

ふふふ

目を細めて笑うニキは、妙に妖艶で目が離せないから困る

2人並んでタバコに火をつけて深く吸い込む

2人分の紫煙がユラユラと空に溶けていく

ニキ

次はさ

しろせんせー

ニキ

溜まったら来るわw

しろせんせー

いつやねんそれww

ニキ

んー

ニキ

まぁ、ムラついた時に連絡するwww

しろせんせー

テキトーやなぁww

軽く笑いながらクズな発言をするニキに、俺も調子を合わせて小さく笑いながら答えた

ニキ

ボビーと体の相性いいから

ニキ

またスグやりたくなるよ

しろせんせー

俺をなんやと思っとんww

ニキ

んー

ニキ

丁度いい相手?ww

しろせんせー

お前

しろせんせー

サイテーやぞ言っとること

ニキ

知ってるくせにぃww

気分で抱いて、しばらく放置するそれの繰り返し……

こんなクズとは離れた方がいいと頭ではわかっている

でも、少しでも愛されてるんじゃないかという淡い期待がそれを許さない……

ニキ

……ふぅ

ニキ

ボビーさ

しろせんせー

なんや?

ニキ

いい声で鳴くようになったよね

しろせんせー

誰のせいやと……

ニキ

ふふふ

ニキ

そうだよねぇww

ニキ

俺に仕込まれたんだもんねぇwww

ニヤリと下卑た笑みを浮かべるニキを軽く睨む

俺の身体を暴いて、散々調教されたこの身体が、ニキの好みになっているのは当たり前だった

ニキ

ねぇ

しろせんせー

ん?

ニキ

俺と会えない時ってさ

ニキ

他の男に抱かれてんの?

しろせんせー

なっ……

しろせんせー

そんなわけないやろ!

ニキ

えー

ニキ

あんなにいい声で鳴くのに?

ニキ

めっちゃ感じやすいこの身体……

ニキ

持て余さない?ww

しろせんせー

っ……

ツーっとなぞるように腰を触られて自分の意思とは関係なく反応する

それを見てニキはニヤニヤと笑っている

しろせんせー

お前は……

しろせんせー

……

ニキ

ん?

しろせんせー

いや……なんでもない

『お前は俺が他の男に抱かれてもなんとも思わんのか?』と言いかけてやめた

聞くまでもない気がしたし、何より答えを聞きたくなかった

なんとも思ってない風な声で、サラッと答えられたら立ち直れない……そんな気がした

ニキ

……

ニキ

なぁ

ニキ

もう1回やらね?

しろせんせー

はぁ?

しろせんせー

さっきあんなに……

ニキ

いいじゃん

ニキ

すぐ済むって!

しろせんせー

そういう問題じゃ……

ニキ

ほらほらぁ

ニキ

ボビちゃんはやくー

しろせんせー

はぁ……

しろせんせー

あと1回やぞ?

ニキ

はいはい

ニキ

1回だけ

声は優しく甘いものだったが、ニキの顔には冷たい笑顔が張り付いていた

ニキにとっては性処理のための相手でしかないから、甘い言葉を囁けばいいと思っている

きっとこいつは、俺が少なからず想いを寄せていることに気づいている

それを利用して、都合よく使っているだけなんだろう

つくづく酷い男だと思う…… でも離れられないのだから仕方ない……

しろせんせー

んっ……はぁ

しろせんせー

ぁぁぁん

バチュッゴチュッ……バチュンバチュンバチュン

ニキ

ふふ……

ニキ

奥……

ニキ

ホント好きだね

ニキ

すごい締め付けてくる……

しろせんせー

ぁぁぁ……も……

しろせんせー

やらぁ……

ゴチュゴチュゴチュ……ゴチュン……

ニキ

…感じすぎて泣いてんの?

ニキ

可愛いじゃん……

しろせんせー

んぁ……ぁぁぁぁ

ニキ

はぁ……

ニキ

あんまもたんな……

しろせんせー

んんんっ

しろせんせー

ニキ……

しろせんせー

ぁぁん……

ニキ

ボビー……

ニキ

奥に出すよ……?

しろせんせー

だめ……

しろせんせー

外……

ニキ

もう……遅いっ

しろせんせー

んんんんっ……

俺も触ったことがないほど奥に、ニキの吐き出した白濁が注がれているのを感じた

俺は、その感覚で何度目かの絶頂を迎えていた

ニキ

ふふふ

ニキ

もう号泣レベルで涙出てんじゃんww

ニキ

そんな気持ちよかったの?

しろせんせー

……

しろせんせー

うるせぇ……

ニキは知らない……

この涙に悔し涙も混ざっていることを……

抱かれながら、何度も何度も背中に深い深い爪痕を残してやろうと思ったことを……

でもそれも全部話せない……

二度と抱いて貰えなくなるのも、こちらを見てくれなくなるのも怖いから……

バカだってわかってる

でも、束の間でいいからあの腕の中にいたかった……

ニキ

よし……

ニキ

じゃ、またね!

しろせんせー

……おう

しろせんせー

また仕事でな

やる事をやると、ニキは夜中だろうとさっさと帰っていく

余韻なんて甘ったるいものを感じさせてくれることは1度もなかった

ガチャッ……バタンッ

しろせんせー

……

カチャンッ

ニキが去った後、すぐにチェーンロックをかけてしばらく立ちすくんだ

そして、リビングへ戻る途中で、壁によりかかりながらズルズルとしゃがみ込んだ

しろせんせー

アホ……やな……

しろせんせー

何してんねやろ……

しろせんせー

何度抱かれても……

しろせんせー

何度キスしても……

しろせんせー

好きになってくれること…

しろせんせー

絶対にないのに……

そう呟きながら額に手を乗せて天井を仰いだ

目頭が熱くなって、ジワリと涙が滲んできたがそんなものは気にしない

しろせんせー

愛して貰えたら……

しろせんせー

そばにいて貰えたら……

しろせんせー

それだけでええのに……

しろせんせー

なんで報われんのに

しろせんせー

こんなに……っ

ニキが立ち去ったあとは必ずこうだった

まだ情事の余韻が残って甘く疼く身体を自分で抱きしめて、静かに涙を流す

離れられればいいのに……

まるで見えない鎖で繋がれてるかのように離れられない

しろせんせー

抱かれてる時は……

しろせんせー

幸せなんよな……

そう呟いて彼の与えてくれる快感を思い出す

それだけで身体が熱くなる……

その瞬間だけ、俺は自分の生を実感できている気がしていた

しろせんせー

はぁ……

しろせんせー

アホやなぁ……

ピピピピピピ

しろせんせー

ん?

しろせんせー

電話か……

部屋に置きっぱなしだったスマホが着信を知らせてきたので、急いで部屋へ戻った

しろせんせー

……

しろせんせー

りぃちょ……か

しろせんせー

なんや?

りぃちょ

あ、せんせー

りぃちょ

今大丈夫?

しろせんせー

……あぁ

しろせんせー

大丈夫やで

りぃちょ

……

りぃちょ

ねぇ

りぃちょ

もしかして

りぃちょ

泣いてた?

しろせんせー

っ……

しろせんせー

そんなこと……

しろせんせー

ないで?

りぃちょ

……

りぃちょ

また

りぃちょ

またニキニキ?

しろせんせー

ふはw

しろせんせー

何でそこでニキが出てくるんやww

りぃちょ

なんとなく……かな

しろせんせー

まぁええわww

しろせんせー

で、なんの用や?

涙は止まっていたが声の調子でバレてしまっているらしい……

なんとか誤魔化すが、優しく問いかけてくるりぃちょの声に、また涙が溢れそうになる

なぜだか人肌恋しいこの身体は優しさに飢えていた……

りぃちょ

あ……

りぃちょ

あぁ……

りぃちょ

この後暇かなぁって

しろせんせー

今、夜中やぞ?

りぃちょ

りぃちょ

なんか食べたいなぁって

しろせんせー

なるほどww

りぃちょ

ね!

りぃちょ

暇なら付き合ってよ!

しろせんせー

ええでw

しろせんせー

今から準備するわ

しろせんせー

待ち合わせはどうする?

りぃちょ

んー

りぃちょ

いいよ!

りぃちょ

俺今からせんせーの家行くし!

しろせんせー

そうかぁ?

しろせんせー

なら急いで着替えるわ

りぃちょ

おっけー

りぃちょ

着いたら連絡する!

しろせんせー

おん

ピッ

終話ボタンを押してしばらくスマホを見つめていた

ニキとの事をりぃちょに話したことは1度もない

でも変なところで勘のいいアイツは、何となく気づいているようだった

でも何も聞いてこないあたりは、彼なりの優しさなんだろう

しろせんせー

ほんま……

しろせんせー

良い奴よな……

しろせんせー

りぃちょにしとけば……

しろせんせー

こんな思いせんくて

しろせんせー

泣かんくて済んだんかな…

しろせんせー

で?

しろせんせー

どこ行くんや?

りぃちょ

んーどこ行こww

しろせんせー

ノープランかよwww

りぃちょ

だってぇ……

りぃちょ

急にどっかで食べたくなったんだもーんw

しろせんせー

もーんちゃうぞww

しろせんせー

ったくww

りぃちょと合流してネオンの海を歩いていく

なんとなくフラフラと歩くだけでも、先程まで感じていた虚しさや寂しさが、夜の街に溶けていくようで心地よかった

今夜は1人になりたくなかった……

いつもより寂しくて……凍えて死んでしまいそうだった…… そんな古臭い歌詞のような言葉が頭に浮かんでは消えていく

しろせんせー

……ふっ……

りぃちょ

……せんせ?

しろせんせー

なんや?店決まったか?

りぃちょ

いや…それはまだだけど……

しろせんせー

んー?ならなんや?

りぃちょ

……

りぃちょ

自分のこと……

りぃちょ

大事にしなよ?

しろせんせー

なんのことや?

りぃちょ

……

りぃちょ

ちゃんと

りぃちょ

せんせーのこと見てくれる人にしなよ……?

しろせんせー

……

しろせんせー

お前

しろせんせー

何を知ってるんや?

りぃちょ

……なにも

りぃちょ

でも……

りぃちょ

せんせーが辛そうなのは分かる

りぃちょ

誰よりも見てるから…((ボソッ

しろせんせー

ん?

しろせんせー

最後聞こえへんかった

しろせんせー

なんて?

りぃちょ

いや……いいよ

りぃちょ

とりあえず

りぃちょ

今のせんせー見てられない

しろせんせー

……そうか

しろせんせー

スマンな

りぃちょ

謝んないでよ……

心配そうな……泣きそうな顔で俺を見つめるりぃちょ

彼から見た俺が今どの様な姿なのか分からない

でも、彼の瞳に写っている俺が酷く歪んだ醜い笑顔を浮かべているのだけは分かった

そんな彼のことを見続けることが出来ずに目をそらす

それでもりぃちょは目線を外してくれず、ジリジリと肌を焼くような視線をこちらに向け続けていた

しろせんせー

……

しろせんせー

よし!

しろせんせー

俺の行きつけ行こうや

りぃちょ

お!

りぃちょ

いいねぇ!

りぃちょ

美味しいもの食べよ

無言の時間に耐えかねて、努めて明るく提案すると、りぃちょもいつもの無邪気な笑顔に戻っていた

このどこか気の抜けた空気感が今は何よりもありがたかった

りぃちょ

~♪

しろせんせー

上機嫌やなw

りぃちょ

そりゃ

りぃちょ

美味しい物食べて

りぃちょ

お腹いっぱいだし

りぃちょ

せんせーといれて楽しいし

しろせんせー

そいつはよかったw

飯を食い終えて再びネオンの海へと身を投じると、それに照らされてキラキラした笑顔のりぃちょが眩しく見えた

そして、その瞳がどこか一点を見つめてとまった

しろせんせー

ん?

しろせんせー

どうしたんや?

りぃちょ

……

しろせんせー

ん?

しろせんせー

あードンキか

りぃちょ

……ねぇ

りぃちょ

花火……

しろせんせー

え?

りぃちょ

花火したくない?

しろせんせー

いやいや……

しろせんせー

もう冬やぞ?

りぃちょ

……でも

りぃちょ

売ってる……

りぃちょ

ちょっとまってて!!

しろせんせー

ちょっ……

しろせんせー

あーもう……

しろせんせー

アイツは……イノシシか……

一目散にドンキに駆け込んでいくりぃちょ

確かに、店頭には大量の花火が見切り品の札をぶらさげられて並んでいた

りぃちょはそこを物色していくつかを抱えると、小走りでレジに向かっていく

しばらく店の前で待っていると、大きめの袋を持ったりぃちょがニコニコと満面の笑みで出てきた

しろせんせー

お前なぁ……

しろせんせー

買いすぎやろwww

りぃちょ

だってー

りぃちょ

どれも楽しそうだったし……

りぃちょ

安かったしー

しろせんせー

まったくww

しろせんせー

どこでやるんや?

りぃちょ

んー

りぃちょ

りぃちょ

タクシー!

しろせんせー

は?

りぃちょ

いいからいいから……

タクシーをとめたりぃちょに、無理やり車内へと詰め込まれる

りぃちょは、スマホを見せながら何やら運転手へと指示を出している

俺はもうすっかりと諦めて窓の外を見ていた

しろせんせー

……

りぃちょ

……

りぃちょ

せんせ

しろせんせー

ん?

りぃちょ

疲れてんなら寝てていいよ

しろせんせー

あーまぁまだ大丈夫や

りぃちょ

そう?

しろせんせー

……

りぃちょ

……

車内には心地のいい静寂が流れていた

色々聞きたいこともあるだろうに……

あえて何も聞かず、かと言っていつものようにガヤガヤと騒ぐわけでもなく黙ってそばにいてくれる

それが今の俺にはとても心地よかった

りぃちょ

せんせー!!!

りぃちょ

せんせー!ついたよ!

しろせんせー

ん?

しろせんせー

あ……あぁ着いたんか

りぃちょ

めっちゃ気持ちよさそうに寝てたww

しろせんせー

すまんな

りぃちょ

いいよ

りぃちょ

……

りぃちょ

疲れてんだろなって思ったから

そして、一瞬俺の首筋あたりを見つめて目を見開いたかと思うとスっと目を逸らして苦しそうな顔をした

しろせんせー

ん?

しろせんせー

どうした?

りぃちょ

いや……

りぃちょ

なんでもない

りぃちょ

いこ!

しろせんせー

せやな

りぃちょの表情は気になったが、ひとまずタクシーから降りて砂浜へと降りた

しろせんせー

……

しろせんせー

うわぁ

しろせんせー

綺麗やなぁ

りぃちょ

……ほんとに

月明かりに照らされてキラキラと輝いている水面を見ていると、視線を感じてりぃちょを振り返る

すると、困ったような顔をして小さく笑っていた

りぃちょ

夜の海って綺麗だよねぇ

りぃちょ

俺さ

りぃちょ

苦しいなぁって思うと一人で来るんだ

しろせんせー

お前も色々あるんやな

りぃちょ

そう……だね

りぃちょ

思い通りにならないことばかりだよ……

しろせんせー

そう……か

いつもは最年少で、クソガキムーブの多いりぃちょだが、今海の向こう側を見つめて苦しそうな顔をしている彼は、知らないオトナの男の様だった

言葉の端々に、言いようのない寂しさや哀しさ、苦しさが滲み出ていて、その理由を問いただすこともはばかられる程切なげだった

しろせんせー

海ってええよなぁ……

しろせんせー

自分の悩みとかちっぽけに感じるわ

りぃちょ

そうだねぇ……

りぃちょ

ぜーんぶ波が連れ去ってくれそうだよね

しろせんせー

……お前も大変なんやな

りぃちょ

んー?なんで?

しろせんせー

今のお前、俺の知らん顔してるわ

りぃちょ

どういう意味?w

しろせんせー

なんやろ……

しろせんせー

ガキやなくて……

しろせんせー

いっちょ前の男やわ

りぃちょ

ふふww

りぃちょ

なにそれww

困ったように苦く笑うりぃちょは、その理由を話すつもりは無さそうだった

俺も深堀するつもりは無い

でも、その横顔が酷くオトナに見えたのはきっと気のせいではないだろう

りぃちょ

よし!

りぃちょ

花火やろ!

しろせんせー

せやな!!

しろせんせー

日付変わる前にな!!

パッと表情を切り替えて満面の笑顔になったりぃちょに、俺も気持ちを切り替えた

ふたりでガサゴソと袋の中を漁っていると……

ピピピピピピ

しろせんせー

ん?

けたたましく鳴り響いたスマホを取りだし、画面を確認する

そこにあったのはニキの名前で、一気に指先から血の気が引いていくのを感じた

しろせんせー

(あ……)

しろせんせー

(俺の中ではもう……)

りぃちょ

ん?でないの?

りぃちょ

……ニキニキ……か

りぃちょ

でたら?

自分の気持ちの変化に気づいて愕然としていると、スマホを覗き込んできたりぃちょが相手を確認して、少し声のトーンを落として話してきた

しろせんせー

そう……やな

しろせんせー

ふぅ……

ピッ

しろせんせー

なんや?

ニキ

『あ、やっとでたー』

ニキ

『早く出てよー』

しろせんせー

ちょっとな……

しろせんせー

で?なんの用や

ニキ

『なんかさぁ』

ニキ

『酒飲んでたらまたやりたくなっちゃってさぁ』

ニキ

『今から行くわー』

しろせんせー

はぁ……

しろせんせー

もうこういうのん

しろせんせー

やめようや……

ニキ

『なんだよー』

ニキ

『お前も好きなくせに』

ニキ

『数時間前まで』

ニキ

『俺の下でいい声出てたじゃんww』

しろせんせー

っ……

しろせんせー

もう嫌なんや

しろせんせー

頼むから解放してくれ

ニキ

『えーなんでだよー、』

ニキ

『俺もお前も都合よく使ってたじゃんww』

しろせんせー

お前なぁ……

こいつはつくづくクズだと思う

『都合がいい』ハッキリとそう言われて、俺の中での何かが切れたような気がした

もう……潮時だ

ニキ

『とりあえずさ、準備しといてよ』

ニキ

『抱いてやるから』

しろせんせー

お前さ

しろせんせー

俺のことなんやとおもっとるん?

ニキ

『何を今更ww』

ニキ

『セフレだろセフレww』

しろせんせー

っ……

しろせんせー

そう……か

しろせんせー

もう……

しろせんせー

お前とはしない……

ニキ

『なんで?』

ニキ

『お前、俺のこと好きだろ?』

ニキ

『好きな男に抱かれるなんてセフレでも嬉しくね?』

しろせんせー

やっぱりきづいとったんか……

ニキ

『そりゃねww』

ニキ

『あんなにうっとりした目向けられたらねww』

しろせんせー

気づいてて利用してたんやな?

ニキ

『利用って言い方酷くない?ww』

ニキ

『俺はスッキリする』

ニキ

『お前は好きな男に抱かれる』

ニキ

『win-winじゃね?w』

しろせんせー

win-win……ね

ニキ

『いいからさ』

ニキ

『俺のこと好きなんだろ?』

ニキ

『抱かれる準備しとけよ』

しろせんせー

……もう終わりにしよう

しろせんせー

こんなん嫌や

ニキ

『強がんなってww』

ニキ

『いっぱい抱きしめて甘やかしてやるからさ』

ニキ

『抱かせろよw』

次々とニキの口から吐き出されるクズな発言に、俺は足元がガラガラと音を立てて崩れていくような感覚に陥っていた

もう……もうこいつの事を好きでいられない……本当にそう思った

ずっと泣きそうな顔で話していたせいか、様子を見ていたりぃちょが、そっと俺の横に来て心配そうな顔を向けてきた

りぃちょ

せんせ?大丈夫?

ニキ

『っ……』

ニキ

『なんだお前』

ニキ

『今度はりぃちょかよ』

ニキ

『節操無さすぎじゃない?ww』

ニキ

『俺と会ったその後にりぃちょまで咥えこもうとしてんの?ww』

ニキ

『とんだ淫乱じゃんww』

しろせんせー

ちがっ……

しろせんせー

いい加減にしろよ

しろせんせー

……もう

しろせんせー

もうお前嫌や……

しろせんせー

頼むから……

しろせんせー

頼むから嫌いにさせないでくれよ……

堪えていた涙が一気に溢れ出し、膝から崩れ落ちるようにしゃがみ込んだ

ニキ

『なんだよそれww』

ニキ

『俺やめて』

ニキ

『りぃちょに乗り換えるの?ww』

ニキ

『お前やばいなww』

しろせんせー

なんでお前はそういう風にしか考えられんのや

しろせんせー

誰もがみんな

しろせんせー

お前と同じだと思うなよ

ニキ

『はいはいww』

ニキ

『わかったわかったww』

ニキ

『気もそがれちゃったし……』

ニキ

『まぁまた連絡するわ』

しろせんせー

……

ニキ

『抱かれたくなったら連絡して~』

しろせんせー

二度とないやろな……

ニキ

『ふーん』

ニキ

『ま。いいけど』

ニキ

『じゃあね』

ピッ

しろせんせー

っ……

しろせんせー

ぅぅ……

りぃちょ

せんせ……

りぃちょ

泣いていいよ?

りぃちょ

我慢しなくていい……

りぃちょ

俺の前では我慢しないで

りぃちょ

声も出していい

しろせんせー

りぃ……ちょ……

しろせんせー

ふっ……

しろせんせー

ぅぁぁぁぁぁぁ

しろせんせー

なんでや……

しろせんせー

なんでなん?

しろせんせー

俺は……

しろせんせー

俺は本気やってん……

りぃちょ

うん……

しろせんせー

関係続けてたら……

しろせんせー

いつかは振り向いてくれるって……

しろせんせー

そう思って続けててん……

しろせんせー

せやのに……

しろせんせー

気持ち……

しろせんせー

分かってて利用しとったって……

りぃちょ

うん……

しろせんせー

ひどすぎやん……

しろせんせー

好きな男に抱かれるならwin-winって……

しろせんせー

そんなわけないやろ!!

しろせんせー

虚しいだけやん……

しろせんせー

ぁぁぁぁぁぁ

りぃちょ

そうだね……

りぃちょ

気持ちあってのそういうののほうが満たされるもんね

りぃちょ

頑張ったね……

まるで子供のように泣きじゃくる俺を、りぃちょは優しく抱きしめながらゆっくりと頭を撫で続けてくれていた

否定するでもなく、優しく肯定して慰めてくれるその言葉は、一つ一つが乾ききった心にしみていくようで、少しずつ凝り固まっていた心が溶かされていくようだった

しろせんせー

俺……恋愛向いてへんのかな……

りぃちょ

ん?

りぃちょ

なんでそう思うの?

しろせんせー

相手に……

しろせんせー

思ってもらえる恋愛……

しろせんせー

むずすぎなんよ

しろせんせー

いっつも俺の方が思ってるきがする……

りぃちょ

……

俺の言葉に、りぃちょは何か考えているようだったが、グッと言葉を飲み込んでいる様子だった

りぃちょ

……

りぃちょ

花火……しよっか

しろせんせー

ん?

りぃちょ

ほら、こんなにあるし!

りぃちょ

全部終わるまで帰れまて〜んww

しろせんせー

え?

しろせんせー

マジかよww

しろせんせー

クッソあんぞww

りぃちょ

安心してください!

りぃちょ

さっきキャメさんにも連絡しました!!

りぃちょ

じきにきてくれますww

しろせんせー

そういう問題ちゃうやろww

りぃちょ

ほらほら……持って!!

しろせんせー

ちょっww

りぃちょ

ほら、火……つくよ!

しろせんせー

おい待てってwww

りぃちょ

ほらほらー

りぃちょ

逃げないと燃えちゃうよww

しろせんせー

おまっww

しろせんせー

こっち向けんなやww

しろせんせー

くっそww

しろせんせー

仕返しやww

りぃちょ

アハハwww

りぃちょ

やーばいwww

無邪気に笑いながら花火を振り回すりぃちょは、いつものクソガキの顔に戻っていた

どのくらいそうやって遊んでたんだろうか

こちらに向かっているキャメロンから、もう30分ほどでつくとの連絡があって、俺とりぃちょは気分転換に線香花火に火をつけていた

ジッとその火を見つめているりぃちょの顔が、パチパチという火花に照らされていつもよりも男らしく見えていた

りぃちょ

ねぇ……

しろせんせー

んー?なんや?

りぃちょ

さっきさ、恋愛に向いてないって言ってたじゃん?

しろせんせー

あーうん、言うたな

りぃちょ

……

りぃちょ

想われる恋愛……

りぃちょ

してみたいと思わない?

しろせんせー

ん?

しろせんせー

どういう意味や?

りぃちょ

せんせーの方からの気持ちが大きくて……って言ってたじゃん?

しろせんせー

あーうん、そうな

りぃちょ

相手から気持ちをぶつけられる恋愛……

りぃちょ

興味無い?

しろせんせー

なんやそれww

しろせんせー

まぁ……

しろせんせー

ぶつけてくれるほどの愛

しろせんせー

感じてみたいわな

しろせんせー

たまには愛されてみたいわ

しろせんせー

溺愛とか憧れよww

りぃちょ

……

りぃちょ

俺……とかどう?

しろせんせー

ん?なんて?

りぃちょ

だから……

りぃちょ

俺と……

りぃちょ

思われる恋愛……

りぃちょ

してみない?

しろせんせー

は?え?なっ?

りぃちょ

ふふふww

りぃちょ

すごい顔してるww

りぃちょ

そんな顔も……

りぃちょ

可愛い……

フワッと優しく微笑んだりぃちょに、頬に手を添えられて動けなくなった

柔らかい微笑みなのに、どこか男臭くてその瞳からはいつもの無邪気さは消え、しっかりとした情欲の熱を感じた

しろせんせー

うそ……やろ?

りぃちょ

嘘じゃないんだなぁw

しろせんせー

いつから……?

りぃちょ

んー結構前?

りぃちょ

だから……

りぃちょ

せんせーがニキニキとなんかあるのはずっと気づいてた……

りぃちょ

それで苦しんでんのも……

りぃちょ

ずっと見てた……

りぃちょ

みんなが居ないところで

りぃちょ

こっそり泣いてるのも知ってた……

りぃちょ

ずっと抱きしめたいと……

りぃちょ

慰めたいとずっと思ってた

しろせんせー

りぃ……ちょ……

いつになく真剣な眼差しで囚われた俺は、ゆっくりと瞳が潤んでいくのを感じた

りぃちょ

っ……

りぃちょ

そんな顔しないでよ……

りぃちょ

これでも我慢してるんだよ?

りぃちょ

抱きしめたり……

りぃちょ

キスしたり……

りぃちょ

もっとそれより先のことも

りぃちょ

今のせんせー……

りぃちょ

すごい魅力的なんだから…

りぃちょ

やめてよ……

しろせんせー

ふはっw

しろせんせー

なんやそれ……ww

しろせんせー

好きにしてええよw

りぃちょ

え?

しろせんせー

隠してもしゃぁないし

しろせんせー

正直に言うわ

しろせんせー

今、揺れとるw

しろせんせー

おかしいよな

しろせんせー

さっきまでニキの事で泣いとったのに……

しろせんせー

今はもう、りぃちょことで揺れとる……

しろせんせー

俺もクズやな……

りぃちょ

それは違うでしょw

りぃちょ

俺が傷心のせんせーにつけ込んでるのw

りぃちょ

ずるいって分かってるけど

りぃちょ

どうしても俺のものにしたい……

りぃちょ

もう傷ついて泣いてるの見たくない……

りぃちょ

俺の事利用してもいいから

りぃちょ

だから……

しろせんせー

利用なんていうな!

しろせんせー

俺は…そういうのんなしで

しろせんせー

お前に惹かれとる……

しろせんせー

正直

しろせんせー

抱きしめられたいとか

しろせんせー

キスしたい……とか

しろせんせー

そういう衝動は

しろせんせー

少なからずある……

りぃちょ

ほんと?

しろせんせー

ホンマや……

自分の言ってることが恥ずかしすぎて顔を逸らす

でもそれを許してくれるはずもなく、りぃちょに顎を掴まれ自分の方へと向かされた

至近距離で見つめてくるりぃちょに、おれはそっと瞼を閉じた……

ピピピピピ

その時!タイミング良く……というか悪くというか、りぃちょのスマホが着信を告げた

りぃちょ

あ……

りぃちょ

キャメさん駐車場ついたってww

しろせんせー

っ……

しろせんせー

そう……か

りぃちょ

ふふっww

りぃちょ

あとで……ねw

しろせんせー

っ……

しろせんせー

だまれ……

なんだか余裕がある雰囲気のりぃちょに、焦ってるのは俺だけのような気がして恥ずかしくなった

思わず顔を背けた俺を面白そうに笑いながらりぃちょがみていた

りぃちょ

ほら、迎えに行こう!

スっと当たり前のように手を差し出され、それに素直に自分のソレを重ねた

りぃちょ

……ふふw

しろせんせー

なんや

りぃちょ

素直で可愛いなってw

しろせんせー

だまれ!クソガキ!

りぃちょ

酷くない?ww

ケラケラと楽しそうに笑う顔が憎らしくて、グッと腕を引き寄せて近づいてきた頬に触れるだけのキスをした

りぃちょ

ぇっ?

しろせんせー

ふはww

しろせんせー

お前、顔がマヌケやぞww

りぃちょ

ちょっ

りぃちょ

ねぇ!

りぃちょ

もう1回!!

りぃちょ

不意打ちずるい!

しろせんせー

いややーww

しろせんせー

ほら、キャメ待っとんぞww

りぃちょ

ぅー

りぃちょ

絶対後でリベンジする!!

しろせんせー

できるとえてなぁww

りぃちょ

くっそ……www

高らかに笑いながら、俺とりぃちょは固く手を繋いだまま駐車場へと向かった

りぃちょ

せんせ?

しろせんせー

んー?

りぃちょ

大好きだよ?

しろせんせー

……っ

しろせんせー

おん……

りぃちょ

ふふふ

りぃちょ

照れてるーww

しろせんせー

ちょぉ、まてガキ

しろせんせー

お前、からかったやろ!

りぃちょ

アハハ……www

本当に楽しそうに笑うりぃちょの横顔は、月明かりに照らされて、何よりもキラキラと輝いていた

女研BL短編まとめ

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

1,831

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚