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りりしゅな
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青葉城西高校の放課後。
バレー部の練習が終わるのを待っている訳じゃない。
だた、図書室で借りた本の返却期限が今日までだっただけ。
校門に向かう道すがら、後ろから聞き慣れた、そして少しだけ苛立つほど爽やかな声が響いた。
徹
徹
徹
振り返ると、練習終わりで少し髪の濡れた及川徹が、これ以上にないほどのキラキラした笑顔で手を振っている。
奈緒
奈緒
奈緒
私はわざと冷たく言い放ち、歩くスピードを上げた。
徹
奈緒
徹
徹
及川は隣に並び、私の歩幅に合わせてゆっくり歩く。
この「誰にでも余裕な態度」が、昔からどうしても鼻につく。
本当は、その余裕を作るために彼がどれだけ努力しているか知っているからこそ、余計に。
徹
徹
奈緒
奈緒
嘘だ。
本当は、練習中に見せたあの鋭いサーブの瞬間、体育館の窓からこっそり覗いてたなんて、死んでも言えない。
徹
徹
及川がバックから取り出したのは、学校の近くで人気のパン屋の袋。
中には、私が一番好きな「ミルクフランス」が入っていた。
奈緒
徹
徹
徹
及川がパンを口に運ぼうとした時。
奈緒
奪い取るようにパンを受け取ると、及川はくすっと意地悪く笑った。
徹
徹
奈緒
徹
奈緒
惜しいけど、心臓の鼓動がうるさくて、パンはまだ温かかった。
杉原 奈緒 (スギハラ ナオ 高3
焼きたてのパンと、素直になれない放課後 ~𝐄𝐍𝐃~
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