テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
金 泰 亨
低く落ち着いた声が、会議室に響く。
差し出された書類を受け取りながら、ジョングクは素っ気なく頷いた。
田 柾 國
上司のテヒョンは、誰に対しても冷徹で近寄りがたい雰囲気を纏っている。
だが、不思議なことに──ジョングクにだけは目が柔らかい。
金 泰 亨
田 柾 國
金 泰 亨
わずかに笑みを浮かべるテヒョン。
その笑顔を目の端に捉えたジョングクは、なぜか胸がざわついた。
昼休み
オフィスの食堂でトレーを持ち歩くジョングクの隣に、にこにことした男が現れる。
朴 智 旻
田 柾 國
ジミンは部署の先輩。誰にでも愛想はいいが、特にジョングクには異常なくらい距離が近い。
朴 智 旻
田 柾 國
朴 智 旻
苦笑いしながら受け流すジョングク。
そのやり取りを遠くから見つめる影があった。
──テヒョン。
彼の視線は鋭く、ジミンを射抜くように冷たい。
金 泰 亨
午後の会議。
ジョングクがプレゼン資料を説明していると、途中で言葉が詰まった。
田 柾 國
沈黙が流れる。
すると、すかさずテヒョンがフォローに入る。
金 泰 亨
田 柾 國
金 泰 亨
ジョングクは一瞬だけ、テヒョンを見上げた。
テヒョンの眼差しは優しく、まるで恋人を見守るようだった。
その熱を帯びた視線に気づき、ジョングクの心臓は小さく跳ねる。
田 柾 國
金 泰 亨
田 柾 國
頬が少しだけ熱くなる。すぐに顔を逸らした。
仕事終わり。
エレベーターで二人きりになった。
金 泰 亨
田 柾 國
金 泰 亨
低く甘い声が耳に触れた瞬間、ジョングクは思わず睨みつけた。
田 柾 國
金 泰 亨
エレベーターの数字が一つ一つ降りていく。
狭い空間に満ちる沈黙と、張り詰めた空気。
田 柾 國
ジョングクは俯いて唇を噛む。
どうしてこの人にだけ、心がざわつくのか分からなかった
その瞬間。
エレベーターが開き、ジミンがにこやかに現れる。
朴 智 旻
田 柾 國
朴 智 旻
テヒョンの笑みがすっと消えた。
ジミンに向けられる瞳は、氷のように冷たい。
金 泰 亨
朴 智 旻
田 柾 國
二人の視線がジョングクに注がれる。
甘く、重く、絡みつくような圧。
金 泰 亨
テヒョンの声は低く囁くようで、逃げ場を与えなかった。
Next_
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!