コメント
4件
このお話本当に大好きです♡ これからも頑張ってください✨
sakura
sakura
sakura
sakura
sakura
校外学習当日
水族館近くの広場につくなり、紫くんと黄くんが駆け寄ってきた
黄
青
紫
結果として僕は2日間学校を休んだ
欠席した理由を風邪と信じて疑わないみんなは、班全員が揃って嬉しそうにしている
ただ1人、僕の欠席理由の察しがついてしまう赤くんだけは、複雑そうな表情を浮かべていた
橙
黄
紫
黄くんと紫くんにサラッとかわされ、不満げに唇を突き出す橙くん
桃
青
桃
桃
青
桃
青
青
桃
青
本当は風邪じゃない。 完全に治ることなんて無い。
平気じゃないし、またいつ体調が悪くなるのかも分からない
心配してくれてるのに、嘘しか言えなくて、ごめんね
青
桃
青
横顔を見上げて聞き返すと、桃くんは眉を少し下げて再び口を開いた
桃
青
青
青
薄暗い中でぼんやりと青く照らされた水槽に、小さな魚たちが悠々と泳いでいる
青
ドンッ
青
青
振り向くと橙くん達と先に行ってたはずの赤くんが立っていた
赤くん越しに、さっきまで一緒にいた桃くんが他の水槽を覗き込んでいる姿が見える
赤
水槽から漏れる淡い光に照らされ、赤くんの神妙な面持ちが浮かび上がる
青
青
赤
青
赤
赤
赤くんが次の水槽に足を向けたのを見て、僕もその後に続く
赤
青
赤
具体的な内容で現実味が増したせいか、返事はなかった
青
赤
青
青
青
赤
赤
青
青
赤
口元に少しの笑みを含んだ赤くんは視線を水槽に戻し、それからは何も言わなかった
青
青
青
赤くんがくれた答えの真意を見抜けないまま、橙くん達に呼ばれて次のエリアに移動することになった
橙くんが見たがってたイルカショーのあと、館内のレストランに入った
橙
赤
黄
紫
黄
赤
橙
黄
橙
青
向かい側に座る桃くんが頬ずえをついて窓の外を眺めてたから、参考にしようと声をかける
桃
青
桃
青
青
桃
そっぽを向いたまま、桃くんはぶっきらぼうに答えた
赤
紫
橙
黄
みんなが盛り上がる中、話題の中心人物は眉間にシワを寄せて難しそうな顔をしている
青
桃
レストランを出てすぐ、意見が割れた
黄
紫
黄くんと赤くんはペンギンショー、紫くんと橙くんはイルカのふれあい体験がいいらしい
時間が重なっていることもあって、どっちに行くかという議論が勃発してしまった
赤
橙
青
隣の桃くんも同じことを思っていたらしく、ため息をついてからペンギン派とイルカ派の間に割って入った
桃
青
青
桃
桃くんの言葉を後押しすると、意見が割れた彼らも納得したように頷いた
青
桃
青
頭上を泳ぐ魚たちを静かに見上げる桃くん
僕たちが今いるのはペンギンショーの野外ステージでも、イルカと触れ合えるプールでもなく、館内のトンネル水槽
青
水中をゆっくり浮遊するウミガメを眺めながら頭の中を整理する
ペンギンとイルカ、正直どっちでもよかった僕は行く先を決めかねていた
同じくどちらにもあまり興味を示していなかった桃くんは、閃いたように顔を上げて、
「もう1回トンネル行きたい」 と言った
青
青
桃
青
桃
桃くんは水槽を眺めながら聞いてきた
から、僕も水槽を見つめながら応える
青
桃
青
青
青
桃
青
青
イワシの大群を目で追いながら流れるように隣をむくと、桃くんは目を丸くして僕を見ていた
青
青
両手で顔を覆うと、隣で空気の震える音がした
桃
指の隙間から、淡い光に照らされて小さく笑う桃くんが見える
青
青
桃
桃
それぞれの目的のイベントが終わり、別行動がバレることもなく合流することができた
少し早めに朝と同じ集合場所に戻ってきた
それから学年主任の先生の話と連絡事項を聞き、現地解散となった
黄
青
紫
紫
黄
黄
紫
黄くんと紫くんに挟まれて何気ない会話を交わしていると、自分がごく普通の男子高校生になったように感じる
だけど、それも束の間
紫
黄
"またみんなで"
その中に、僕の姿はきっとない
僕にとっては、多分今日が人生最後の水族館
青
黄
紫
青
青
参加するつもりのなかった校外学習がこんなに楽しかったのは、みんなと一緒にいられたから
傷つけることは分かってるのに、残された時間をもっとみんなと過ごしたいって、思ってしまう…
桃
突然、後ろから悲鳴にも似た声が聞こえた
青
青
桃
青
桃
青
赤
紫
橙
黄
黄
黄
赤
桃
青
赤
青
青
青
青
青
来ていいよ。言い終わる前に、手をガシッと掴まれる
瞬間、心臓がドキッと跳ねたのは、温もりが訪れたのがあまりに突然だったからだ、絶対
桃
こうして、[夏までに]と言っていた愛ちゃんとの対面が、思わぬ形で叶うことになった
青
青
青
青
女性
青
青
男の子
女性
男の子
女性
青
青
なんとか3人分のオムライスとスープを作り終えた時、玄関のチャイムが鳴った
青
青
返事をしながら玄関を開けると、案の定そこには桃くんがいた
その陰に隠れるようにして、愛ちゃんと覚しき小さな女の子が立っている
青
青
青
桃
桃
青
桃
桃
青
青
桃
愛ちゃん
青
青
部屋の外にいる2人と距離を詰めて、愛ちゃんと視線を合わせるために、その場にしゃがみこむ
青
愛ちゃん
桃
青
愛ちゃん
愛ちゃん
青
青
桃
青
青
青
桃
青
愛ちゃんが好きそうな子供向けの番組にテレビチャンネルを合わせてから手を合わせる
みんな
真っ先にスプーンを手に取ったのは、意外にも愛ちゃんだった
桃
桃
青
桃
青
青
桃
青
青
桃
青
青
ベット脇に置いてあったティッシュボックスを引き寄せ、愛ちゃんの頬をそっと拭う
青
OKサインを出すと、愛ちゃんは再びオムライスに手を伸ばした
桃
青
桃
桃
桃くんがふっと目を細めた
青
青
桃
青
桃
青
桃
青
青
青
青
桃
青
桃
青
桃
青
桃
青
コップのお茶を口にしてから、桃くんが食器を持って立ち上がった
桃
青
桃
青
桃
青
青
少しお腹が膨れてきたのか、愛ちゃんの食べるスピードは格段に落ち、意識はテレビに向いているようだった
青
キッチンに立つ桃くんに食器をて手渡しながら言うと、桃くんは眉をひそめた
桃
青
険しい顔のまま、キュッと水道の蛇口を閉めた桃くん。
濡れた手を乱雑に拭いてから、愛ちゃんの元へと戻っていく
桃
愛ちゃん
桃
愛ちゃんの隣に腰を下ろして、桃くんは愛ちゃんが見入っていたテレビをなんのためらいもなく消してしまう
青
愛ちゃん
青
2人のそばに慌てて駆け寄り、愛ちゃんのふわふわの頭を撫でる
青
桃
桃くんは泣き続ける愛ちゃんを軽々と抱き上げて膝の上に座らせた
桃
桃
愛ちゃんは頬を涙で濡らしながらも、素直にそれを食べ始めた
傍らで2人の姿を見つめながら、ドクドクと脈が早くなっているのをか感じる
青
青
桃くんの何気ない一言に、何度も胸が鳴るなんて
桃
愛ちゃん
涙混じりに手を合わせた愛ちゃんの頭を、桃くんははにかみながらぐりぐりと撫でる
桃
青
桃
愛ちゃん
青
青
同じことを思ったのか、今度は素直に引き下がった
青
愛ちゃん
桃
青
桃
ブーッ(携帯)
桃
青
桃
桃
青
桃
青
愛ちゃんを起こさないように慎重にベットに下ろし、桃くんが息を吐く
桃
青
青
桃
青
桃
飲んでたお茶を吹き出してしまいそうになるのを堪え、何とかコップを置く
青
桃
青
桃
青
青
平穏な毎日が続いていくことを信じて疑わない、とても無垢な瞳
青
桃
桃
青
桃
桃
青
桃
青
桃
青
桃
耳を塞いでしまいたかった
だって、桃くんが大学生になる頃には
僕は、もう……
青
桃
楽しげに語っていた未来に僕の姿を思い描いてくれたことが、胸いっぱいになって泣いてしまいそうになるくらい、嬉しい
でも、それ以上に苦しい
桃くんは歳を重ねていくんだろうけど、結婚ができるようになる18歳のまま、僕の時間は止まってしまうから
桃
真っ直ぐな瞳が、微かに揺れる
桃くんがここまで存在に固執するのは、律くんのことがあったからだと思う
考えるとまた苦しくなって、目の奥が熱くなったからとっさに俯いた
桃
青
青
ぎゅとっ唇を噛んで溢れそうになる涙をのみ込もうとした瞬間、膝の上で静かに震えていた拳に僕のものでない手が重ねられた
桃
桃くんのかすれた声が……ギリギリで保っていた理性を壊した
青
重ねられた手を、ぎゅっと握り返す
涙の堤防は呆気なく崩壊した
青
声を荒らげた僕の肩を、桃くんが躊躇いがちに抱く
桃
この時肩が震えていたのは僕と桃くんのいったいどっちだったんだろう
それからしばらくして、2人のお母さんが車でアパートまで迎えに来た
眠ったままの愛ちゃんを抱きかかえた桃くんとの間に少し気まずさを感じながら笑顔で見送る
玄関をバタンとた閉めたし瞬間、後悔と罪悪感が一気に押し寄せて僕はその場にしゃがみ込んだ
青
決して叶うはずのないことを懇願してしまった
自分勝手約束をしても、桃くんを傷つけるって分かってたのに
青
1人になった静かな部屋で、うわ言のように謝罪を繰り返す
そして、その先で思ってしまったんだ
ボロボロになって交わしたこの約束を、果たしたいって
生きて、桃くんが思い描いた未来を現実にしたいって……
sakura
sakura
sakura
sakura