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放送係の仕事が終わり、

若菜は荷物を取りに、教室へ戻った。

いつの間にか、空には分厚い雲が浮かび、

パラパラと雨が降ってきた。

若菜

(雨か…)

若菜

(傘、持ってきてたっけ?)

若菜は鞄をあさり、傘を探した。

指先に、ピンク色の傘が触れる。

若菜

(よかった、持ってきてた!)

若菜

(雨が強くならないうちに、速く帰らなきゃ。)

その時、教室の扉がガラッと開き

テニスラケットを手に持った義弘が入ってきた。

義弘

ふう、疲れた…

義弘

お!大崎じゃんか

義弘

部活?

若菜

ううん、放送係

若菜

仕事があって、残ってたんだ。

義弘

残業?

若菜

大人っぽい言い方で言えばね

若菜は笑った。

義弘

そかー、大変そうだな。

若菜

赤城君は?

若菜

テニスの練習?

義弘

まあな。

義弘

今日は部活ないんだけど、ひとりでやってたんだ。

義弘

来月に大会の予選があってさ、

義弘

なんとしてでも出たくて、壁打ち練習してたんだ。

若菜

そっかー!偉いね。

若菜

テニスは前からやってたの?

義弘

うん。5歳の時から。

義弘

父親が経験者だからさ。教えてくれてんだよ。

義弘

まあ、たいしたことないけど。

若菜

そうなんだー。

若菜

頑張ってね!大会!

義弘

お、おう。

若菜を笑顔を見て、

義弘は目を逸らした。

視線は窓の外に注がれる。

義弘

壁に向かって練習してたら突然雨が降ってきて、

義弘

急いで戻ってきたんだ。

義弘

今日、雨降る予報だったっけ?

若菜

うーん、晴れだったと思うけど…。

若菜

まあ、もうすぐ6月だし、そろそろ梅雨入りかもね。

義弘

そうかもな。

2人は黙って、窓の外を見つめた。

雨は先程よりも少し強くなってきたみたいだった。

若菜

帰りたくないな…。

義弘

…え?

若菜

いや、傘さして帰りたくないなーって思って。

若菜

雨だと、なんだか気分もどんよりするし、

若菜

傘さしてると、本が読めない。

義弘

お前、歩きながら本読んでんのか?

若菜

…あっ。

若菜は口元を抑えた。

義弘

(天然だな。)

義弘

歩き読みは危ねーからやめた方がいいぞ。

義弘

俺の兄ちゃん、それで前、電信柱にぶつかって怪我したことあったから。

若菜

え、痛そう…

義弘

結構、痛そうだったぜ。

義弘

まあ、兄ちゃんの場合は親に内緒で漫画読んでて、

義弘

それのバチが当たったんだと思うけど。

義弘

まあ、ようするに危ないからやめろってことだよ。

若菜

そうだね。

若菜

もう、やらない。

義弘は頷いた。

義弘

ああ。素直に聞いてくれるからいいや。

若菜

…ん?

義弘

いや、なんでもない。

その時、突然教室が閃光に包まれた。

次の瞬間、

ゴオーッという身体全体に響くような音がして、

地面が揺れた。

若菜は悲鳴をあげ、

床に倒れ込んだ。

義弘

大丈夫か!?

若菜

う、うん

義弘

机に掴まれ!

若菜

わ、わかった。

若菜は近くの机の足に掴まり、

揺れが収まるのを待った。

しばらくして、

だんだんと揺れは小さくなり、やがて止まった。

義弘

ふぅ、なんだ今のは

義弘

地震か??

若菜

わからない…

若菜

怖かった…

若菜は鳥肌のたっている腕をさすった。

義弘

怪我はないか?

若菜

大丈夫…。

若菜

赤城君も怪我ない?

義弘

平気だ。

2人は教室内を見渡した。

机や椅子が少し移動してしまっているが、

それ以外に異変はない。

若菜

結構、揺れたよね。

若菜

みんな、大丈夫かな…?

義弘

心配だよな。

義弘

ほかのクラス、見に行くか。

2人は教室のドアを開け、廊下に出た。

電気がついていないからか、薄暗い。

若菜

声、聞こえないね。

若菜

大丈夫かな。

義弘

急ごう。

2人は早足で教室を除く。

だが、誰もいなかった。

義弘

あれー、祐介とか居たと思ったんだけど、いないな。

若菜

彩月もいない。

2人は、どことなく違和感を感じた。

義弘

なんかわかんないけど、不安になってきた。

義弘

職員室に行こうぜ

若菜

そうだね。

若菜

なんか、怖いし。

2人は1階におり、足早に職員室へと向かった。

義弘

先生!

若菜

先生!

扉を思いきり開けて、

2人は同時に叫んだ。

そして、口をぽかんと開いたまま

その場に立ち尽くす。

義弘

い、いない…。

若菜

…どうして?

学校には、

若菜と義弘の2人しかいなかった

続く…

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