紫は紅？

きんときのお陰で俺は気づいた。ただの復讐心は悪にしかならない事に。 なら、今、考えるべきなのは 『殺す』じゃなく、『助ける』だ。

分かった…かも。きんときの意図が。きんときは、俺を『悪』にしたくないんだ。

｢Rigidity｣

いつものきんときはよく怒るし、グーで殴るとか言ってて怖かったりするけど、 今俺が見ているきんときは全然違う人のようにみえた。

悪魔の一部である吸血鬼の俺からすると、きんときは天使…？いや、神様のように輝いているような気がする。

それなら、 俺はきんときとは真反対だ。

｢スマイルは、俺達のことを暴走しかけてでも守ろうとしてるじゃん。｣

『仲間を傷付けられた時』 …だ。

まあ、今日みたいに例外もあるけど、例外を除けばな。 例えば、血が足りなくなった時。 薬物？を打たれた時。

そして、仲間を傷付けられた時に暴走するのは、復讐心を持っているから。

つまり、復讐心さえ捨ててしまえば……

俺が暴走することも、みんなに迷惑を掛けることも少なくなる。

なら…！

｢Remove magic immediately before!｣

きんときに聞いたが、ここは弱小国らしい。確かに…木造って、弱小国って感じがするな…

きんときが指を指した場所には、怪我をしたきりやんがいた。

俺はなんとか、吸血鬼化しないように耐え続けた。

でも、帰ればもう楽だから。

きりやんは、自分が重い、と言っていた。 シャークんは力は強いが人間だ。もしきりやんを落としたりしたら…

俺たちは、吸血鬼化の原因になるかもしれないので、リスク高めだがシャークんに任せる事にした。

WT国

ちなみに、あの後は特に何事もなく帰ってこれた。

正直もう早く部屋に戻りたいのだが…まだ敵がいるらしい。

俺はきんときの言う通り先に部屋へ向かった。

シャークんは正面玄関へと歩いて行った。

ストン…

俺は高く飛んで窓枠に着地した。 そして安心して息を吐くと…

バサッ…！！

俺の背後から一瞬にして羽根が現れた。 ちなみに俺の羽根には宝石がぶら下がっている。 （きんときが見た12個の宝石とはこの事です((作者より）

その言葉に頷くように、俺の宝石がカラカラと揺れる。

コンコン

何の実験かは分からないが、俺は一瞬だけ実験体にされてたらしい…怖。