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グク
部屋を訪ねて来たジョングクは、どうも最近脈絡がない話が好きなようだ。
ホソク
だからと言ってそれを掘り下げたりはしないけど。 玄関での噛んだ噛んでない類いの発言があるからか、妙に落ち着いてる俺がいる。
グク
ホソク
ホソク
グク
グク
ホソク
ホソク
ジミンの事は想像して言わなかった。 でも店長も違う気がして架空のやつを想像していたせいで、咄嗟に思い描いた人の顔はモザイクだった。
一通り片付けをして、今度は仕事の為にノートパソコンを両手に抱えるように持つ。
ホソク
部屋の出入り口を塞ぐ様に立っているジョングクを見上げて言えば、ジョングクが黒い髪を揺らして首を傾げた。
グク
その唇にずっと外していたピアスが光ってる事に気付いた。
ホソク
グク
出入り口の縁に手を掛けたジョングクがグッと俺に顔を近付けて、悪戯のする時の口角を片方だけ上げて笑うやつ。 こんなの、ただの揚げ足取りだ。
"どいて"と言わないかわりに肩で強行突破しようとしたら'ストップ'と、太く力強い腕で身体ごとあっさり止められてしまって。
そうかと思えば今度はジョングクが俺の頭に顔を埋めた。 頭の中ですんすんと音がする。 なんでこんなタイミングで匂い嗅いだりーーー
グク
それから俺の顔を覗き込む。
グク
グク
そう言った穏やかなジョングクの声と俺を真っ直ぐに見つめる大きな目に捕えられて、蛇に睨まれた蛙だ。 ジョングクの精度の高い鼻に俺の下手な嘘は通用するのだろうか。
シャンプーもトリートメントもボディソープだって、偶然同じ事だってある。 別にジミンとヤってるからって悪い事ではないしジョングクにそれを咎められる理由もない。
けどもう最初ジミンとやった日から吐き続けてる嘘を、今更全部嘘でしたなんて勢いでも言えない。 だからもうどんなに下手でも誤魔化せるなら何でも。
だってジョングクのベッドでジミンとやったなんて、そんなの口が裂けても。
ホソク
俺を見下ろす大きな目、見た目だけなら可愛いのに、その奥には可愛さなんてない。
ホソク
だからその奥に聞く様に目を細めて出た言葉は、演技でも嘘でもなく本心だ。
一緒に住んでもう3ヶ月程経つ。 確かにここ最近、俺がこんな風になり始めたのは事実だけど、ジョングクと同じ事をしてるだけだ。 何もしたくなくてしなかった訳じゃない。
ジミンという相手が出来たからこうしてるだけ。 なのに最近のジョングクときたらまるで"自分は良くて俺は駄目"って。 そんな気配を感じるから。
ホソク
ホソク
ただ教えてほしい。 俺の予想が合ってるなら残念だけど
ホソク
それしかない。
ジョングクとの生活を捨てるのは惜しい。 家が広いとかベッドが大きいとか、そういうんじゃなくて、ジョングクという存在と切り離れる事が。
だから、カフェで会ったいつかの女のように可もなく不可もない相手なら、迷いなくジョングクを取る。 でも相手がジミンだから。 ジミンを取る。
ジョングクが先に目を逸らした。
グク
グク
全く質問の答えになってない答えを、まるで正統な返事のように堂々と俺の目を見て言った。 何処まで脈絡のない話しをすれば気が済むのか。
ホソク
今度こそパソコン片手にジョングクの通せんぼをすり抜ける事に成功した。 ジョングクの腕の力が嘘みたいに弱かったから、容易かった。
俺みたいに誰かとただやるだけの関係? 時間が経っても納得いかない言葉だった。
だってジョングクは散々不特定多数の女とそれをやって来たし、彼女という存在が至極煩わしいみたいなことまで言ってたのに。
たった数ヶ月ぶりに関係を持っただけの俺にその口振りは奇天烈過ぎる話だ。
仕事の合間にもジョングクのそれを度々思い出しては、徐々に怒りが増殖していった。 でも、仕事で一旦出かけたジョングクにそれをぶつける事が叶わず、ジミンの事を思い出して心を落ち着かさたりした。
この行動がもうジミンを好きな証拠だ。 仕事のお供の薬菓も忘れる程、ジミンだけが色鮮やかで離れてるのに恍惚とさせる。
あの手に触って欲しい、じゃなくて、あの手に触りたい。
グク
食事に行く為に着替えたのに、リビングで待つジョングクが俺を見るや否やダメ出しを飛ばした。
ホソク
グク
グク
手で追い払われて仕方なく部屋に戻る事にした。 言い方が気に入らなかった。
確かにさっきリビングにいたジョングクはちょっとシックな格好だった。 シャツこそ着てないもののジャケットなんか羽織って。
じゃあ仕方なくジョングクの言う通り'マシな'格好に着替える為にズボンを脱ぐ。
ホソク
リビングに戻りお披露目する。 ジョングクと同じ黒いジャケットを羽織って。 手にはジミンに買ってもらったセリーヌのティリーバッグ。
ホソク
グク
俺の希望にそぐわない返事と楽しそうな笑い声がジョングクから返ってきた。 下品に見えるのはジョングクの脳がそうだからだ。
それから10分程経った頃。 ジミンからジョングクを迎えに来たという連絡が入った。
朝まで一緒にいたのに靴に足を入れながら自分の気持ちが華やいでるのが分かった。 今日はどんな夜になるだろうって。