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1 - お

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17

2023年04月12日

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エリ

きょうは結婚おめでと、兄さん

ハル

そんだけ気持ちがこもってない言い方、よくできるもんだ

ハル

自分の妹ながら感心するわ・・

エリ

好きで来てるわけじゃないんだから

エリ

兄さんがどうしても出席してほしいっていうから

エリ

重い足取りで泣く泣く出てきたんだからね

エリ

本当は兄さんの結婚式なんて、何とか口実を作って

エリ

キャンセルしたかったのが正直な気持ちなのよ

ハル

おい、勘違いしてほしくないな。

ハル

俺たちの両親が妹だけ欠席するのは世間体が良くないって言うし

ハル

親が懇願してるから、それを断るのはやっぱりできない

ハル

そう言ったのは、お前のほうだったんだぞ、エリ

エリ

当然よ、これでも一応、兄妹なんだから

エリ

小学生みたいに、だだこねてるわけにもいかないものねぇ 

ハル

親の気持ちを口にする割には、いい年して結婚もしないで、

ハル

というかできないで、ブラブラ根無し草みたいな生活

ハル

よくできるもんだよなぁ 

エリ

うるさいわねぇ。結婚すればすべてハッピーってわけじゃない

エリ

自分の将来のことも親としっかり話し合いして

エリ

ちゃんと納得してもらってるんだから!

ハル

まあとにかく、今日はドジ踏んで

ハル

俺に恥かかせないようにしてくれたらそれでいいからな

エリ

それにしても、兄貴なんかと結婚しようなんて

エリ

相当なもの好きみたいね、、兄貴の本性を知らないで

エリ

多分幸せ気分に浸ってる彼女のことが

エリ

気の毒で、可哀そうで心底同情したくなるよ

ハル

俺の気持ちをイラつかせる事に関しては、天才的だよあ、お前は

ハル

それに俺の本性って、なんのこと言ってんだよ

エリ

あたしだってホントはこんなこと言いたくないんだよ

エリ

でも、こうやってたまに兄貴と顔合わせるとねぇ・・

ハル

顔合わせると、何だよ、辛気臭いツラしやがって

エリ

ついあの事が頭をよぎってしまうのよ

ハル

だから、あの事って何なんだよ、めんどくさいやつだな、ホント

エリ

すっかり、忘れてるようだね。あたしが高校生の時、

エリ

あたしの親友が兄貴のこと気に入っちゃって紹介したら

エリ

本命の彼女がいるのにその気にさせて、

エリ

もう飽きたからって一方的に捨てちゃったでしょ

ハル

あぁ、何かにつけてその話持ち出してくるなぁ、オマエ

ハル

あんな昔の出来事、まだ根に持ってるのかよ

エリ

兄貴にとっては些細な事だったかも知れないけど

エリ

あたし達にとっては、しばらく立ち直れないくらいのダメージだったのよ

エリ

親友はショックのあまり情緒不安定になっちゃって

エリ

自殺するんじゃないかと、気が気じゃなかったんだから

エリ

あたしも、クラスの中でありもしない悪評たてられたり、

エリ

自責の念に駆られたりで、その後の高校生活地獄だったんだから

ハル

いや、今思い返すと流石に酷いことしたと思ってるさ

ハル

でも、あの年代って、勢いとのりで

ハル

つい羽目外してしまうことってよくあることだろ

ハル

大人になっていく中で大なり小なり大抵の奴が通る道なんじゃないのかよ

ハル

お前が高校卒業した後も、仕事もせず夜昼逆転生活になって

ハル

このままじゃニートまっしぐらになるんじゃないかって

ハル

心の中では心配してたんだからな

エリ

まあ、口では何とでも言えるよね

ハル

しばらくは、そっと様子を見てたけど、何をするわけでもなく

ハル

家でゲームやアニメ、家事も一切しようとしないで

ハル

気が付いたら思った通りニート生活に落ちぶれてしまったよな

ハル

それでも、何とか取引先の会社にあちこち掛け合って

ハル

どうにかお前の就職の世話してやったんだぞ

エリ

えぇ、そのことには一応、感謝してます

~数分後~

ハル

お、おいエリ。ついさっき取引先のお前の会社から、

ハル

社長直々にメールが入ってきて、売上金と帳簿上の金額とが

ハル

全く一致してないとか何とか言ってきたんだ

ハル

何だか、エリ、お前の登録ミスが原因のようで

ハル

大至急会社に戻ってきてほしいそうだ

エリ

そ、そんな。何かの間違いじゃないの?

ハル

俺もよくわからないよ。ただ、向こうの社長かなりご立腹みたいで

ハル

要領得ないんだ

エリ

え?それじゃ、あたしが直接会社に連絡して事情を聴いてみるよ

ハル

い、いや。そんな悠長なことしてる場合じゃないみたいだぞ

ハル

もう結婚式はいいから、今から会社に戻って対処してくれ!

エリ

え?そんな急に、あたしも遠方から出たくもない式のために

エリ

顔出ししてるんだよ。それを、事情もよくわからないのに

エリ

もういいから、会社に戻れって、あまりに勝手すぎるんじゃない?!

ハル

これもお前の不注意のせいじゃないのか?

ハル

だいたい、あの会社、納期は守らないし、

ハル

何かと問題を起こしてくれてうんざりしてたんだよ

ハル

今のお前にとっては、俺の結婚式より仕事のほうが大切だろうが!

エリ

相変わらず自分勝手なこと言ってくれるわね

エリ

強引に式に引っ張り出しておいて、訳も分からず

エリ

もういいから会社に急行してくれ、ですか?

ハル

だって仕方ないだろ。俺のせいみたいに言われてもなあ

ハル

だいたい、お前の会社、仕事もいい加減で

ハル

こっちも尻ぬぐいばかりで手を焼かされてるんだよ

ハル

だからつべこべ言ってないでさっさと会社に戻れって!

エリ

もう分かったわよ!戻ればいいんでしょ、戻れば!

~数時間後~

エリ

ちょっと、兄さん、さっきの話一体何なのよ!

ハル

えらい剣幕で、一体どうしたんだよ?

ハル

お前、か、会社に戻って仕事してたんじゃないのか?

エリ

今カオルさんと一緒だけど、仕事は順調で何の問題もないそうよ!

エリ

薄々気づいてたけど、ありもしないトラブルでっち上げて

エリ

最初から私を式場から追い出す魂胆だったのね!

ハル

まぁそう毒づくなよ

ハル

誰のお陰で今の会社で働けてるのか、忘れてないよな

エリ

とうとう開き直ったわね、本音が聞けて清々したわ

エリ

今まで散々あたしのことを、ニートだなんだと小馬鹿にしてきたくせに!

ハル

わ、分かったから、今の状況がどうなってるのか説明してくれよ

エリ

そうね。でも、ショックのあまり式場から身投げしたり

エリ

心臓発作でぽっくりって事になっても責任取れないからね

ハル

お、おい、前置きはいいから、早く本題に入ってくれ!

エリ

結論を申し上げますと、兄さんの解雇は決定済みよ

ハル

へ?

ハル

はぁ?な、何言ってんだお前?とうとういかれちまったか?

エリ

どこまでもおめでたい人ね。

エリ

社長のカオルさんとあたしはれっきとした夫婦なの

ハル

にゃ、にゃんだと(*'ω'*)そんな与太話で俺を、、

エリ

黙って最後まで聞きなさい!!

ハル

ちょ、ちょっと、待ってくれ、彼女から連絡が入ったようだ

ハル

未来の花嫁が、残念だけどこの結婚は

ハル

無かったことにしたいって返信が来たぞ(*'ω'*)

ハル

これも、お前の仕業だな、エリ

エリ

兄貴の本性も知らないで、不幸な結婚生活を送ることになりそうな女性を

エリ

見て見ぬふりは出来ないですからね

ハル

確かにお前とは不仲だけど、彼女はおまえとは別人なんだ

ハル

お互い、長所も欠点もさらけ出して付き合ってきて

ハル

共に人生を歩いて行こうと決めたんだ

ハル

そんな二人のこれまでの付き合いを知りもしないくせに

ハル

一方的に俺の悪口を彼女に吹き込んで、彼女を心変わりさせるなんて

ハル

あまりにも酷過ぎる仕打ちじゃないか

ハル

そういう事をしてると、いつか自分に返ってくるぞ

エリ

あら、兄貴にしては少しはいいこと言うじゃない

エリ

ほんの、ちょっぴりだけど見直したわ

エリ

でもね、最初の数年、ん?兄貴のことだから、数週間かしらね

ハル

何奥歯にものが挟まったような言い方してるんだよ

エリ

最後まで言わなきゃわかんないようね。

エリ

子供のころから兄貴の生まれつきの性格は

エリ

妹のあたしが一番よくわかってるつもりよ

エリ

そりゃ兄さんだってラブラブの時期は

エリ

彼女と仲良く過ごせると思うわよ

エリ

でも、大抵の人はともに生活してるうちに

エリ

相手のいい所は当然のように思ってしまって

エリ

些細な欠点や短所が目につき始めてそれが積もり積もって

エリ

不満ばかりが鬱積してくるようになるのよ

エリ

特に兄貴の場合はその傾向がハンパないからねえ

エリ

そんな泥沼の結婚生活におちいる前に、彼女に助言してあげたの

エリ

これでも、ちょっとした人助けをしたつもりよ

ハル

お、おい。なんだか、どっちが年上か分からなくなってきたよ

ハル

おまえ、ホントに俺の妹なのか?よく似た別人じゃないのかぁ?

エリ

まあ、そう感じるのも当然ね。

エリ

子供の頃からあたしの事なんてお構いなし、殆ど気にしてなかったものね

ハル

そ、そっか。結婚解消はもうあきらめるからさ、

ハル

解雇の件だけは何とか撤回してもらえるように

ハル

エリ、あ、いえ、エリ様のほうからうちの社長なり

ハル

カオル社長に取り成して頂ければそれで充分ですから

ハル

鞄持ちでも、トイレ掃除でも何でもさせていただきますので

エリ

そこまで卑屈になるなんて、身内として見てられないわ

エリ

でも兄貴、図に乗らないでね。それとこれとは別の話です

ハル

兄がプライドも何もかなぐり捨てて、これだけ頼んでるんだぞ

ハル

お前には人間の血が通ってんのかよ、エリ

エリ

何と言われようと、これはもうすでに決定事項なのよ

エリ

兄さんは一度人生のどん底を味わって、再出発をするのが

エリ

長い目で見て結局は兄貴のためになるってことで

エリ

皆の意見が一致したってわけよ

エリ

兄さん、突然のことで現実を受け入れられないのは分かるけど

エリ

これも兄貴の将来を考えるとベストだと思うの

エリ

あとは、兄さんの心がけ次第ですから

エリ

それで、これは提案なんだけど

エリ

カオルさんが今回新会社を立ち上げて、私が副社長を任される事になったの

ハル

そ、そんなところまで、話が進んでいたのか??

ハル

主導権は完全にお前に握られてしまってるみたいだな

ハル

お、俺は、ピエロ役でいいようにこき使われて

ハル

用済みになれば、ハイさよならってわけか?

エリ

兄さんは、そのひがみ根性から叩き直されないとダメみたいねぇ

エリ

こんな展開になったのも、自業自得だってまだ気づいてないようねぇ

エリ

まあ、私もちょっとやりすぎたかなって、思わないわけじゃないから

エリ

さっきも言ったけど、私が副社長に抜擢されて

エリ

ある程度自分の裁量で仕事を進めることができわけ

エリ

それで、早速子会社を立ち上げて、そこのアルバイトに

エリ

兄さんを採用してあげようと考えてるの

エリ

もちろん、最低自給で最初は草むしりやトイレ掃除からしてもらいますけどね

ハル

な、なんだと。そんな条件俺が飲めるはずがないだろが!

ハル

兄をコケにするのもいい加減にしておけよ!!

エリ

あら、そうですか。別に、無理に頼んでるわけじゃないんだから

エリ

後は自分で決めてね

エリ

じゃあ、あたしこれから、緊急の会議があるから、

エリ

これ以上つきあってられないの。

エリ

それじゃあ、せいぜいがんばってねぇ(*^-^*)

~後日談~

エリ

その後、兄はクビになり、結婚も破断になりました。

エリ

流石の兄もしばらくふさぎ込んでいましたが、

エリ

私はそれほど心配してません。

エリ

それよりも、主人のカオルさんが新規事業を立ち上げるめどがついたようで

エリ

私が彼の後を継いで社長に抜擢され、多忙ながらも充実した毎日を送っています

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