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「六月の君の嘘 第八話」 六月三十日。 梅雨が終わる最後の日であり、 私が蓮とお別れしなきゃいけない日でもある。

秋原 蓮

凛!

雨宮 凛

蓮!

私は、蓮と海に来た。

秋原 蓮

最後のデートだね…

雨宮 凛

うん…。今日の夜の十二時きっかりに、私が過ごした時間の記憶は
他のものに塗り替えられてしまう。

秋原 蓮

…そっか。じゃあ、行こうか。

雨宮 凛

うん。

蓮は、車椅子で来ていた。 本当は、まだまだ入院してなきゃダメなのに、 事情をしった涼が、 看護師をしている涼のお母さんを説得させたのだ。 近所の海ならいいと病院から許しをもらって、 こうして海に来ているのだった。 今は、夕方の6時。 タイムリミットまで、あときっかり6時間だ。

秋原 蓮

夕日がすごく綺麗だね。

雨宮 凛

うん。

秋原 蓮

今日が晴れてよかった。

雨宮 凛

そうだね。

秋原 蓮

ねぇ、凛、手貸して?

雨宮 凛

はい。わぁぁ

雨宮 凛

いいの?これ!

秋原 蓮

うん。出会ってからの一か月記念。後、来年凛がまた日本に来た時に、
またお互いの事が分かるように。目印。

雨宮 凛

ありがとう!すごく綺麗…。

秋原 蓮

よかった…。

蓮は、私の左手の薬指に銀色の光り輝く指輪をはめた。

秋原 蓮

お揃いなんだけど…重かったかな…?

雨宮 凛

全然!すごくうれしい。

蓮の左手の薬指にも、同じ指輪があった。

秋原 蓮

もうすぐ…日が沈むね…。

雨宮 凛

うん…。

秋原 蓮

最後、写真撮ってもいい?

雨宮 凛

写真…?いいよ。

秋原 蓮

はい、チーズ! ぱしゃっ

雨宮 凛

私の携帯でもとってもいい?

秋原 蓮

もちろん。

少しでも、思い出を残しておきたかった。 いずれ、忘れ去られてしまう存在でも、 自分が愛した人の思い出は、心の底に残り続けるから。 私たちは、夕日を眺めながら、固く手を握り合った。

秋原 蓮

初めてなんだ。こんなに人を好きになれたの。

雨宮 凛

私も…。

雨宮 凛

何百年、何千年と太古から地球を見守り続けたけど、

雨宮 凛

これほど人を愛したことなんかなかった。

雨宮 凛

これまでも、これからも。

秋原 蓮

…凛。ありがとう。

他愛のない話なんかをずっと話した。 もう、残された時間は少ない。

雨宮 凛

初め、私はずっと断ってたじゃん?蓮の告白。

秋原 蓮

ああ、懐かしい…

雨宮 凛

あれはね、いずれ忘れ去られてしまう存在だから、好きになっても意味がない。
切なくてむなしいだけ。って思ってたから。

雨宮 凛

でも、あなたがあまりにも素直に思いを何度も伝えてくれて、あなたがすごく
キラキラしてみえたから、この人なら…って思ったの。

雨宮 凛

それで、一緒に時間を過ごすうちに、どんどん蓮の事が好きになってしまって、
この人が私がずっと一緒にいれないと知ったら、傷つくだろうなって思って、
蓮の事が大好きだから、傷つけたくなくて、自殺しようとしたの。

雨宮 凛

蓮が、知らない間に、私がいなくなったら、蓮が傷つかないと思ったから。

秋原 蓮

…そっか。あの時、もし、本当に凛が死んじゃったら、どうなってたの?

雨宮 凛

私はこの世界があり続ける限り、何度も生まれ変わるから、多分蓮や涼の記憶から
私がなくなるだけで、またどこかで生まれてたと思う。

秋原 蓮

…そっか。

秋原 蓮

凛、生きててくれて、ありがとう。

雨宮 凛

蓮…蓮も、生きててくれて、ありがとう。

午後11時 55分。 12時まで、タイムリミットまで、後、五分。 私たちは、最後のキスをした。 熱く、どこまでも熱いキスを。 そして、顔を見合わせた。 あと一分。

秋原 蓮

愛してるよ。心の底から。

雨宮 凛

私も、愛してる。

次の瞬間、カチッと頭の中で長針と短針が重なる音がした。 ああ、終わりが来たんだ。 そう悟った。 蓮は魔法をかけられたように、目を閉じた。 ああ、記憶が上書きされているのか… そう思うと、切なかった。 私の体がゆっくりと浮かび上がり、光り輝き始める。

雨宮 凛

私を、忘れないで。

雨宮 凛

愛してます。

愛しい人。 愛しい人。 あなたは、私に何もかもくれたわ。 人と向き合う、勇気。 たくさんの光り輝く思い出。 再び会うという約束も。 だからどうか、元気でいてください。 蓮、あなたと過ごした時間、思い出は、 あなたが忘れていても、私の中に永遠に残り続けるから。 どうか、幸せになってください。 あなたの幸せが、私の幸せでもあるから。 こんな私を受け入れてくれたあなた。 しっかりと受け止めてくれたから。 どうか、幸せになって。 愛しい人。 また来年、会いましょう。

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