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コメント
13件
もはや濃厚な人生じゃん ランネと希李菜で幸せに暮らしてくれぇ……
普通ってなんだっけ?って思っちゃいましたね。やはり闇深い過去だった…
8月病を感じさせないペースで 書いていくんだね!やっぱすごい
カランコローン. . .
棗ーナツメー
棗ーナツメー
棗ーナツメー
棗ーナツメー
棗ーナツメー
棗ーナツメー
(緑と黄色のグラデーションの 厚い本を取り出す)
棗ーナツメー
棗ーナツメー
棗ーナツメー
むかし、むかし。
とある所に、 四人家族が おりました。
すぐにヒステリックを起こす母と、 横暴ですぐに手が出る父と、 妹だけに愛情を注ぎ、親に期待をしない姉と、 そんな家庭で育った次女、希李菜。
歪で 汚い、愛情の「あ」の文字すらない、ゴミのような家族でした。
彼らの家は、田舎の村から離れた、小さな森の中にぽつんと建っていました。
嫌われ者の四人は、村から追い出され、暗い森の中で生活していたのです。
……希李菜は、「普通」を望んでいました。
過度な愛情も、憎悪も、何も入りません。 ただ、普通の生活を望んでいました。
しかし、その普通が手に入らない事を悟り、 彼女は諦めてしまいました。
____________ そんな最低で最悪な日々が続いた、 とある日のこと。
希李菜は、家のタンスの奥底で、 とっても可愛い女の子の写真を発見しました。
ふわふわとした茶色に、黄色のグラデーションがかかった髪の毛。 鮮やかな赤と、魅入ってしまう黄色の双眸。 柔らかくて愛おしい微笑み。
その笑顔の、なんて可愛らしいことか!
どこの子でしょう? こんな子、村には居ませんでした。 いつの写真でしょう? 1年程前の写真です。きっと、希李菜と同い年だ。 どこで手に入れたのでしょう? もしかしたら、この前森の中へ来ていた、変なおじさんから奪い取ったのでしょうか?
希李菜は、 必死に過去の記憶を整理します。
確か、オシゴト?で近くの村に来ていたおじさんがいた筈です。希李菜達の住む森に入り込んで、そこでこの写真を落としてしまったのでしょうか?
あるいは、父か母が奪い取ったのでしょうか?何のために?そもそも、奪う必要なんてありません。
でも、でも。 そんな事、彼女にとっては些末なことでした。
一目惚れ。
一目見て、希李菜は彼女に惚れてしまいました。 会いたいと思いました。 抱きしめられたいと思いました。
彼女なら、彼女なら! この腐ったゴミみたいな私を、救い出してくれるかもしれない!
そんな小さな光に、希李菜は 縋るようになったのです。
希李菜は、逃げ出しました。
小さな体で、計画性もなく、 ただ写真の少女に会うためだけに。
誰にも言わず。頼ることもせず。どうせ死ぬと分かっているくせに。それでも、足を止めることが出来ませんでした。
ですが
少女に会うための旅の途中で、彼女は足を滑らせ、崖の下へ落っこちてしまいました。
……………結論から言うと、 彼女は、死ねませんでした。
昔から、こういう変な所だけは 運が良かったのです。
父に物を投げつけられた時も、 ギリギリの所で避けました。 母に髪を掴まれた時も、 近くに置いてあったハサミで自分の髪を切り取って逃げ出しました。 姉と隠れんぼをしている時も、 何故か運よく見つかりませんでした。
だから、生き残ってしまいました。
彼女は近くの村に住んでいた優しい人たちに保護され、怪我を手当てしてもらいました。
その人達のおかげか、その時の傷はもう、 完全に塞がっています。
ですが、一つ………それと引き換えに、大切なものを奪われてしまいました。
それが、記憶です。 彼女は、家族と少女のこと以外、 全てを忘れてしまいました。
家族は、昔両親の機嫌が良かった時に、 全員で撮った家族写真を見て。
少女は、可愛い笑顔の写真を見て。
小さな誤解を胸に抱いたまま
希李菜は、再び少女を探す旅に出るのでした。
最低な家族のことは忘れ、 優しくて暖かい家族と誤解したまま、
これから、希李菜は生きていくのです
きっと、もう二度とあの頃を 思い出さないまま。
……パタン。
棗ーナツメー
棗ーナツメー
棗ーナツメー
棗ーナツメー
棗ーナツメー
棗ーナツメー
棗ーナツメー
棗ーナツメー