コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
ちぐさ
ポケカメン
俺が君の病室に入れば君はいつも嬉しそうな顔をする そんな君が愛おしくて俺のものになればいいのにって何度も思った
ポケカメン
ちぐさ
ポケカメン
ちぐさ
ポケカメン
ちぐさ
そう、俺はいつも一人でポケの病室に行っては絵を書いている。もちろん雑談したり自分でごはんを持って行って一緒に食べたりもするが基本的には外出用の小さなキャンバスに絵を描いている
描いているのはポケ。季節によって窓から見える景色は変わりどの季節になってもそれらを背景に見るポケは綺麗だった。そんなポケをキャンバスに描いてポケの思い描く夢だったり俺の思い描く夢を絵に表現する
でも絵を描くのは二人でいる時だけ。みんなでいる時は絵を描いたりしない
確かにみんなと話して笑顔になっているポケを見てそれを絵に描きたいって思った事がないわけではない。でもその笑顔は俺が作りたい、俺がポケに笑顔を与えたいっていうある種の独占欲みたいなものだ。別に付き合っているわけではない。ただの俺の片思い
ポケと出会ったのは俺の一個年上の兄であるかに兄を通じて出会った。以前流行病で兄弟のほとんどが体調を崩し全員でこの病院に診察に来た時体調を崩していなかったかに兄が会いたい人がいると言って俺らを置いてどこかに行ってしまったことがあった
その後みんなで家に帰りごはんを食べている時にその時の話を聞いた時にかに兄から出たのがポケの名前
それからいつか会ってみたいと兄弟の意見が合致してみんなでポケに会いに行ったのが俺とポケの初めての出会いだ
かに兄と同い年のポケは俺とひとつ違いというのもあり他の兄弟よりもそれからポケと沢山話すようになっていつの間にか恋に落ちてた
ポケカメン
ちぐさ
ポケカメン
ちぐさ
ちぐさ
ポケカメン
ちぐさ
ちぐさ
ポケカメン
ポケの病気は白血病。簡潔に言うとがんの一種だ
白血球という細胞が体内で異常な程増殖してしまう病気らしい。ポケの場合は慢性骨髄性白血病という増殖が遅い方らしい、確か急性骨髄性白血病という病型だと白血病の増殖が速く生存確率や余命が下がるらしい
白血病は手術で直せる病だと聞いたがポケは普通の場合よりあまりよくない状態らしく手術が成功するかどうかもわからずじまいで未だ手術できないでいる
以前ポケはできることなら手術をして俺らと遊びたい、と言ってくれていたがそんなポケも今ではもう諦めているらしく最近は「しょうがないよ」と少し悲しそうに自虐的に笑っている
看護師
看護師
ポケカメン
看護師
ポケカメン
看護師
ポケカメン
看護師
ニコニコと笑っていて雰囲気も柔らかく話しやすい この病院は結構大きな総合病院だからそれなりに色んな医師や看護師がいるがいい人ばかりで俺も一人でも安心してこの病院に来ている
ちぐさ
ポケカメン
ちぐさ
ポケカメン
ちぐさ
ポケカメン
なんて笑い合いながら話していると突然病室の扉が開いてそこから入ってきたのはこの病院の小児科ホールに入院している子供たちだった
子供
子供
ポケカメン
子供
ポケカメン
子供
子供
ちぐさ
子供
ポケカメン
子供
子供
ちぐさ
ポケカメン
子供を見るポケの表情はすごく優しくてそれと同時に悲しそうで胸が痛くなる ポケは本当に愛されてる。でもだからこそポケがいなくなってしまったら傷つく人が沢山いる
俺だってポケにいなくなってほしくない。でもそれはきっと叶わないから、だから少しでもみんながポケカメンという存在を忘れないように俺はまたキャンバスを開きパレットに複数の色の絵の具を乗せ子供たちと遊んでいるポケの姿を絵に描いた
それから約半年が経ち俺はポケと兄弟と幸せに過ごしていた。だが、ある日突然ポケの病態が変化した
悪い方向へと
ちぐさ
ポケカメン
病室に入れはベッドに寝転がり人工呼吸器をつけているポケ。ポケの白く汚れのなかった腕には複数のあざができていた
ポケは俺の姿を見てゆっくりと起き上がり息を整えてから人工呼吸器を外した
ちぐさ
ポケカメン
ちぐさ
ポケカメン
ちぐさ
ポケカメン
ちぐさ
ポケカメン
ちぐさ
ポケカメン
ちぐさ
ポケに断りを入れパレットといつものキャンバスを開く
いつもは俺が絵を描いている間もポケはその日病院内で起きたことや小児科の子達が遊びに来た、など色んな話をしてくれるが悪化してしまった白血病の影響で息切れをしやすくなってしまっているためかポケはずっと俯いて怖すぎるくらい白色で穢れのない綺麗な手を弄っていた
俺はそんなポケを描いていた あの頃より顔色は悪くなり顔も体も痩せ細っているけれどそれでもポケは変わらずずっと俺の知ってるポケでいてくれるから。俺はポケがどんな姿になってしまってもポケを描き続ける
例えこの世界からいなくなってしまっても
ポケカメン
ちぐさ
ポケカメン
ちぐさ
ポケカメン
ポケカメン
ちぐさ
俺の夢、そんなの決まってる ポケと幸せに過ごすこと
ポケと恋人になってポケと同じ家に住んで一緒に風呂に入って一緒に寝て手を繋いだりハグしたり愛し合ったり、ごく一般的なカップルがするようなことをポケとしたい。そして、一緒に歳をとって二人で幸せに寿命を迎えて
そんな日々を過ごしたい
ちぐさ
そう言いながら顔を上げた時、ふとポケがこちらに倒れ込んできた
突然のことに驚きながらも名前を呼びながらポケの顔を覗き込めばその顔は青ざめていてすごく汗をかいているのに体は寒そうに震えきっていた
ちぐさ
一瞬、心臓が止まりそうになった
ちぐさ
今俺の胸元で苦しそうに息をしているポケを見ているとどんどん自分の動悸が上がっていくのがわかる
ちぐさ
急いでベッドに寝かせ人工呼吸器をポケの口元にあてたが顔はより一層青ざめていくばかりで呼吸器を当てているはずなのに息切れも酷くなっていく
急いでナースコールを押しポケに声をかけるがそれが届くはずもなくポケはずっと体を震わせていた
俺はポケに声をかけることしか出来ず自分の無力さとポケがいなくなってしまうかもしれない恐怖に怯えながら必死にポケの名前を呼び続けた
ほんの少ししてナースコールに気がついた看護師さんがポケの部屋に入ってきたが俺とポケの様子に驚いたように大丈夫ですか、と駆け寄ってきた
看護師
看護師
看護師
看護師
看護師
ちぐさ
その後俺は震えながらもポケには家族がいなかったから俺らの長男で一番落ち着きのあるさく兄に電話をかけた。運良くさく兄のそばには俺ら兄弟がポケと出会うきっかけとなったかに兄もいて二人に現状を伝え兄弟みんなで来てもらうことになった
電話を終えた頃に丁度医者が到着して簡単な検査をしたところ危険と判断されたのかポケは色んな管に繋がれていく。俺はそれをただそばで見ていることしか出来なかった
その後ポケは手術室へと運ばれていき待機していると兄たちが揃って病院にやってきた。兄たちに励まされながらポケを待つこと数時間
手術室から出てきたのは担送車に乗せられたポケ ではなく医者たった一人だった
ちぐさ
医者
その一言で全てを察した。 世界が壊れていく。今までのポケとの思い出が俺のキャンバスに描いてきたあの光景が全て壊されていくような感覚。息を忘れそうで今にも倒れそうで前が見えない
俺はその場に膝から崩れ落ちた。すぐに兄たちが駆け寄ってくれたがそんなことも俺の頭には入ってこない
ただあるのは今この瞬間、ポケがこの世からいなくなったことだけ
俺はその場で泣き崩れ廊下に俺の慟哭が響き渡った
その後、俺らの両親に頼んで俺らはポケの葬式を開くことになった。参列者は俺らの両親とそのまた両親、俺ら兄弟だけだったがそれだけでも十分な人数だった
そしてポケの葬式にはたった一つ、大きなキャンバスに描いた俺の絵を飾らせてもらうことにした
ポケの病室で描いていたものとは違う。ほんとに大きくて持ち運びができるようなものじゃないキャンバス 病室で描いた絵を見返しながらポケとした話を思い出しながら描いていたたった一つの俺とポケの夢
俺の夢は、ポケと幸せに過ごすこと。ポケの夢は、恋をしてみたい。 大きなキャンバスに描かれているのは俺とポケが手を繋ぎながら互いの肩に頭を預けて寝ている姿
俺とポケは俺の絵の中で繋がっている。何故かと言うといつも俺が描いているキャンバスには必ず幸せそうに笑い合う俺とポケがいるから
一枚一面にポケと綺麗な背景を描いた後次のページを開けば一枚目の続きとでも言うようにポケを写真に撮っている俺の姿が描いてあったり、ポケを主要として描きその後自分を追加して自分の夢をキャンバスに残し広げていた
ちぐさ
ポケの名前を呼び飾られているキャンバスに描かれているポケの頬を親指で撫でる
俺のキャンバスに描かれているポケはどんな時でも俺に恋をしていて俺と付き合っている。現実では叶うことのなかった俺らの夢は俺のキャンバス内で叶い今も廃れさせることなく綺麗に保管している
青、緑、白。この色の絵の具の減りはとても早かった そしてポケの青色とその三色を混ぜて作る俺の千草色、この二つの色だけはどの紙にも必ず使われていた
特にこのキャンバスにはその二色が大きく使われていて俺らの色で溢れている
大きなキャンバスの中で幸せそうに笑っている俺とポケに向かって一人呟く
ちぐさ
ちぐさ
例えポケの存在が忘れ去られてしまっても、俺だけは必ず覚えてるから
かにちゃん
かに兄のいつもとは違う俺を呼ぶ声に現実へと引き戻された。振り向くと元気が取り柄だったはずのかに兄の目の下には隈ができており目の周り全体が赤く腫れ上がっていた
ちぐさ
ちぐさ
『きっと叶うよ!ていうか俺が叶えてあげる!』
『ポケの夢!絶対叶えてあげるから!!』
あの日、ポケに向けて言った言葉が俺の頭を過ぎる
ちぐさ
ちぐさ
ちぐさ
悔しくて苦しくて、ただ今隣にポケがいないことだけが心残りだった
ちぐさ
『俺も、大好きだよ』
『叶えてくれて、ありがとう』
涙で霞んだ視界のまま俺はもう一度俺らの夢を見た