君に恋をしたのは
桜の下で
上を見ている君だった。
ほんのわずかの出会い。
でも数週間経っても君のその横顔が 忘れられない。
綺麗でサラサラな派手髪。
まつげが長く
すっとした横顔。
すぐ見惚れる。
ズボンだったから恐らく男だろう。
でもその顔立ちはどこの女よりも
綺麗で
清潔で
可愛らしく
かっこよかった。
次会うときはいつだろうって ずっと考えてた。
毎日あの木の下に行っては
誰も来ないまま帰るだけ。
もう一生会えることのない君。
そう思うとどんどん後悔してゆく。
あのとき声をかけていればって。
そしたら今話しているかもしれなかった。
後悔から自分への恨みに変わったのは 気のせいだろうか。
でも俺はあの手この手を使って必ず 君を見つけ出す。
必ず。
同学年の人に聞いて繰り返す。
違う学年の人にも聞いてみたり してみた。
けれど君は一向に見つからない。
存在が消えているみたいだ。
君はあの時あの時間
俺と同じ空間で同じ時を過ごしていた
これは事実。
あの日はなにか特別な日だったか?
そういう訳でもない気がする。
どんどん君への謎が深まってゆく。
今どこにいるのかな
なにをしているのかな
どんな気持ちなのかな。
なにもかもが謎に包まれてゆく。
あれから二ヶ月経った時
俺はまだ君を探している。
油断はしない。
いつ来るか分からない君に 油断は禁物。
その中で俺はある決断をした
君はきっと家出をしてしまったんだろう、と。
だから会えないし、 周りは覚えてないふりをしている。
君には失礼だと思うが、 俺の中ではもうそれで決まっていた。
俺は昔から気持ちがあまり揺らぐことがなかった。
だからこの気持ちも揺らぐことは ない。
今は無理に思い込ませるしかない。
あの日からちょうど一年が経った。
君が現れることはなく。
そして俺は
あの時
同じ時間に
同じ場所で
桜の木を見にいった。
桃
そこは前と同じように 綺麗に咲いていた。
俺はそこで一声をはっした。
桃
...返信はなかった。
俺はその時少し諦めた。
なぜか一気に君への気持ちが薄れた。
こんなことしてるなら違う子と 幸せにした方が良いかな。
もうこれは辞めにしよう。
今日で終わり。
あの日と同じ時に...
桃
赤
君が目の前にいることに動揺した。
そしてその瞬間君に話しかけた。
桃
赤
桃
赤
桃
桃
赤
赤
桃
桃
赤
桃
桃
赤
桃
赤
桃
なんで君が俺の名前を知ってるんだ?
赤
赤
桃
赤
赤
赤
桃
赤
..家出ではなかったみたいだ
ならなぜ今まで一切姿を現さなかったんだっ?
桃
桃
桃
赤
赤
桃
赤
桃
桃
桃
桃
赤
赤
いや...どこかで見たことある、?
桃
赤
赤
桃
思い出したよ
分かったよっ..ちっちゃい頃に よく遊んでた...
桃
赤
桃
赤
赤
もぶぶ
もぶぶ
桃(子供)
もぶぶ
もぶぶ
桃(子供)
赤(子供)
もぶぶ
もぶぶ
もぶぶ
桃(子供)
もぶぶ
もぶぶ
赤(子供)
もぶぶ
赤(子供)
赤(子供)
もぶぶ
赤(子供)
赤(子供)
もぶぶ
もぶぶ
赤(子供)
桃(子供)
赤(子供)
もぶぶ
もぶぶ
桃(子供)
赤(子供)
もぶぶ
桃(子供)
赤(子供)
そこから小学校を卒業するまで そんなことをしていた
そして中学校にあがった
そこでも変わらなかった。
あがったと同時にあいつは段々と赤にだけ暴言を言うようにもなったな。
そしてそれはエスカレートしていき、 しまいには暴力を振るうようにもなった。
その中でも赤はずっと笑顔だったよね
でも...
...赤は死んだ。
自殺だった。
それなのにあいつは笑ってる。
自分が原因なのに、
ただ
これは俺も悪かった。
ずっと赤の辛さに気づけず
ただ寄り添ってるだけ。
寄り添ってるだけじゃなにも変わらない。
そして俺はその日の事を忘れようとした。
思い出したくなかった
ずっと一緒だった赤が
たった一瞬ですぐ消えてしまった。
その辛さが人生の鎖になる
だから忘れようとした。
忘れたら辛さもないし、 なにしろ幸せになれるかもしれない。
そして俺は赤を記憶から消した
ずっと気づいてないふりをしてた。
そしてあの日
俺が桜の下で一目惚れした君。
それは赤が死んだ日だった。
赤の命日
だから赤はあの桜に行ったんだ。
あの桜は俺と赤が初めて出会った木。
赤はあの日、あの木を忘れていなかった。
赤は忘れていなかったのに
俺は忘れていた。忘れてさせていた。
桃
赤
赤
赤
赤
赤
赤
桃
赤
桃
赤
赤
赤
桃
赤
赤
赤
赤
桃
赤
桃
赤
赤
赤
桃
赤
赤
桃
桃
赤
赤
桃
赤
桃
赤
赤
桃
桃
赤
あの日あの時あの空間で
また君に恋する。
コメント
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謎の作品です。ちなみにこの作品は もしかしたら他の作品に出てくるかも?