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中太 殴り書き

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中太 殴り書き

7 - 7

♥

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2024年07月02日

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稀に何の前触れも無く情緒不安定になる🤕の中太 (お風呂上がりでこれから寝るっていうタイミングです) 最早殴り書きでは無い

太宰 治

…死にたい

太宰 治

ッたすけ、助けて、殺して……誰、か、ころしてよ…

中原 中也

…(今日はまだマシか)

目の前で俯き乍頭を抱えて、みっともなく弱音を吐き続けている元相棒 …普段からは想像すらつかない様な様子をしているが、こういう事は案外昔から有った

16の頃だったか 太宰が急に俺のセーフハウスに押し掛けて来た時が有った。

こういう時は大抵俺が無視してもしつこくインターホンを鳴らして来るものだから、鬱陶しく感じて仕方無く出てやるのが最早普通だったのだが

あの日彼奴が鳴らしたインターホンは、確か1回だけだったと思う。

俺は何時も通り無視したんだが、一時間経ってもドアの向こうから太宰の気配が消える様子は無かった

何かが、可笑しい

そう思った俺は違和感の正体が如何しても気になって仕舞い、ドアを開けて太宰の様子を確認した 太宰は、泣いていた

その時、予報では晴れだったのに急に雨が降り出していて太宰の顔はびっしょり濡れていたから、雨が涙に見えただけかとも思った

だが、何回見ても太宰は泣いている様にしか見えない

『…上がらせて欲しいの』 泣いている子供を、俺は放って置けなかった。

取り敢えず家に上がらせてタオルを渡すと自分で軽く雨水を拭き取り此方に返して来た 何時もなら『面倒臭い、君が拭いてよ』等とふざけた事を抜かして来るのに。

ソファに座った儘、何をしようとも何を言おうともしない太宰を後ろから眺めていると、其の背中が何だかやけに小さく、頼りなく見えて

太宰の隣に座って暫く様子を伺ってみる事にした

30分程経って、太宰が漸く口を開いたと思ったら『死にたいの』『辛い』『殺して』『助けて』なんて弱音ばかり呟き始めた。

その言葉のどれもがあの太宰が発する台詞とは思えなくて当時の俺は唖然としたが、暫く太宰の弱音を聞いていると少しだけ頭の整理が付いた。それと同時に気付く、

此奴は今、俺の事が見えていない

正確には、俺を見ようとして居ない。 認識自体はしているだろうが、俺から必死に目を逸らして居る様に見える

そんなに俺から目を逸らしたいなら、何故俺の家に来たんだ

当時の俺には太宰の心の内が何も分から無かった。…勿論今だって、彼奴の真意なんぞ何一つ分からないけどな

精神が弱りきった時、何故態々俺の家に来るのかは分からない、分からないが… 彼奴にとって最後に縋れる存在っていうのは、俺なのだろう

自惚れだと思われるかもしれないが、これが事実だ。 1度、太宰の友人だっていう織田とか言う奴に聞いた事が有る、『太宰の弱った姿を見た事が1度でもあるか』

答えはNOだった。唯織田は、『太宰は何時だって弱っている』と言って来た 確かに…そうなのかもしれない

彼奴の言葉のお陰で、俺は彼奴の事が少しだけ理解出来た気がした。 …何故か釈然としなかった理由は自分でも考えたくない

兎も角其れで気付いた、太宰という男は元より心の弱い人間なんだと。 何時だって不安定な精神を、安定している様に見せかけているだけなのだと。

自分が弱っている事を誰1人にも悟らせない様に、例え其れが自分自身だったとしても完璧に騙せる様に

…そりゃあそんな事を続けてたら何時か限界は来る

そして其の限界が来る時間帯や日にちは不安定で、何時限界が来るかは何回も見て記録して来た俺にすら分からない。 全くといって良いほど法則性が無く、俺には予測不可能だ。

其れに限界の時の態度すら不安定だ。 やけに明るく接して来る時もあれば最初の日の様に明らかに暗い様子の時もあり、時には普段と殆ど変わらない様子で家に来る時もある

だが、俺はその日太宰が限界か普通かだけは見破れる。 これと言って特定の行動や言動に変化がある訳では無いが、何故か見破れる

此に関してはもう長年の勘としか言い様が無い……

…昔話が長過ぎたな

太宰 治

…もういや、つらいよ…

長過ぎたと言っても、太宰が限界の日俺は特に何かすると言う訳でも無いし、寧ろ何もしない方が太宰の為なのを分かって居るから特に台詞を吐く様な場では無いんだよな。此処は

嗚呼何もしないとは言っても自分からはしないだけで、太宰から要望が有れば大抵の事はしてやるが。

太宰 治

……

太宰が俺の服を力無く掴んで引っ張る。 こういう時は大抵何かして欲しい事が有る

中原 中也

何だ

太宰 治

……抱き締めて

太宰の背中側に腕を回して距離を近付け、優しく抱き締める。 …相変わらず冷たい身体だ、まるで生気を感じ無い

太宰 治

…あったかい

中原 中也

そうか

目を細めて嬉しそうに頬を緩める太宰 普段から此処まで素直なら少しは可愛げが有るのに …まぁ、他の誰にも見せられない様な情けない姿を、俺だけには見せてくれる

とでも思えば、寧ろ普段からこんなに可愛げがあったらほんの少しだけ残念な気もして仕舞う。

そんな事を思って仕舞うから、俺は此奴惚れているんだと感じてしまって、どうしようもなく、嫌な気持ちになる。

此奴は、俺の事何とも思っていないのに 俺だけ惚れて、独占したいなんて、俺だけ見ていて欲しいなんて思って 莫迦らしい

太宰 治

…ちゅうや

中原 中也

ん?

太宰 治

すき、だよ

…此奴のこれは、唯の冗談で、その場の雰囲気で云っているだけなのだろうか 其れ共、此奴はこう言う時にしか素直に思いを伝えられないのだろうか。

何方にせよ、俺が返す言葉は一つだけだ 仮にお前が本当に俺の事を好きでも

中原 中也

俺は嫌いだよ、太宰

俺じゃお前を幸せにしてやれないから

「俺は嫌いだよ、太宰」

太宰 治

太宰 治

そっか

彼はきっと気付いてるんだろう 私が、本当に中原中也という一人の人間の事を好いていると。

そして私も気付いている。 中也が私に恋愛感情を抱いている事を

それでも、彼は私に嫌いと言ってくれるから 私は君に好きだと伝えれる。

莫迦みたいだ、私はこんな状況で無くては、君に思いを伝えられない

君には悪いと思っているのだよ 私は、君に嫌いと言われたくて好きだと伝えるんだから

嫌いって言われなきゃ、君の優しさに、甘さに溺れてしまう。

本当は君だって私に好きと伝えたいんじゃないのかい。

…御免ね、中也

愛してるよ

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コメント

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ほんとに好きです…フォロー失礼します

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