練也
.......。
練也
(格子戸と土の壁に隔てられた空間...牢屋に幽閉され、早数時間が過ぎた。格子窓から差し込む陽光が、彼の顔に当てられ、それによりゆっくり目を開ける。)....。
練也
...朝か。(壁にもたれかかりながら、土の匂いを嗅ぎ目を覚まして。)
練也
両手が塞がってるのは...!(力を入れてもがくが、両手は厳重に縛られている縄のおかげで痛みが走り。)
...なんとも切ないな。
...なんとも切ないな。
椛
目が覚めましたか?(山刀と盾を腰に携行した状態で、腕を組みながら。)
練也
.....。とても長く寝れる空間じゃない。
椛
当たり前です。貴方は掟を破り幽閉されている身なのですから。(白い上衣、黒地に紅い模様が彩られた袴を身につけ、彼を見つめ。)
練也
....なんだよ此処は。...初めてくる場所の掟の云々を言われても困る。
椛
その見慣れない装束を見て、なんとなくと思ってはいましたが。...貴方はどこから来たのですか?
練也
どこから来たかだって?...絶対信じないな。(可笑しさのあまり、微笑して。)
練也
神社で自分自身と出会った直後、それに殺される直前に自分の体から何かが放たれ、ソイツ諸共辺りにあるものいっさいがっさいみんなぶっ飛ばした。
練也
そしたら気付けば山の中にいた...!そして君達に捕まった。...どうだ。
練也
あまりにも突飛だろ。
練也
俺は多分...。この世界にいる住人じゃない。
練也
ならさっき言った力を持った時点で、もう元いた世界の住人ではなくなった可能性だってある。...。
椛
...そうですか。(腕を組み、見つめたまま。)
練也
(彼は敢えて、この時口にしなかった。彼女の容姿に見覚えがある、そしてこの特徴は紛れもないある世界のキャラクターの一人であることに。)
練也
新潟県って...言ってもわかんねえよな。...俺はそこの出身なんだ。
椛
...新潟。
椛
...ああ。知人にいますよ、そう遠くない昔にそこからこの幻想郷に来た妖怪が。
昔は越後国(えちごのくに)と呼ばれていたところですね?
昔は越後国(えちごのくに)と呼ばれていたところですね?
練也
....それだけわかるなら、満足だよ。
椛
...なんらかの原因で不運にも妖怪の山に迷われてしまったのですね。...外来人の方は、ほとんどの方は途方に暮れるか、取り乱される方が多いのですが。
椛
貴方は特別落ち着きを保っている...。薄暗い牢の中であっても。
文
椛。(牢獄の通用口が開かれ、そこから入ってきて。)
練也
....。...外来人ね。(格子戸の方に目をゆっくりやりながら。)
椛
文様。この者の処遇は、如何に致しますか?(畏まった様子で。)
文
私も事情を知りたいので、一度聴房室まで通して下さい。私も気になることがあります。
文
多分、彼も外来人。装いを見るに、不運にもなんらかの干渉によってここにいるのかもしれません。
椛
かしこまりました。一時釈放、ですね。(格子戸の鍵を開錠して。)
椛
...出て下さい。
練也
....。鴉天狗。
文
あや?私を知っているのですか?
練也
.....。まあ。...外界の書物である程度はね。
文
...多少は話は早く済むかもしれません。さあ、私達と共に来てください。