何度でも、死にたいと願った
そのくせ変な期待をして、もうちょっと生きていたかった
それなのに
青
桃
君と、目が合った
きっかけは夏の始まり
教室に入った途端の刺さるような冷たい視線に威圧された
いつもは沢山返ってくる挨拶も、今日は1つも聞こえてこない
君1人
たった1人だけでもいいから
君にだけは信じて欲しかったんだ
『そんなことする奴じゃない』って、庇って欲しかった
今すぐ背中を向けて逃げたくて
でもそれすらも怖くて
足が鉄のように重くて、言うことを聞かなかった
翌日からは、殴って蹴られて罵倒されて
『死ねばいいのに』なんて、今や僕が一番分かってる
それでも死ねない弱虫だからさ
君たちが殺してくれたらいいのに
大嫌いな人が死んだら、大嫌いな人を殺せたら
君たちも幸せでしょ?
家に帰れば切って、切って
とにかく切る
処理なんてする時間ももったいなくて
満足するまで切り終わったら、錠剤を一気に飲み込む
飲んだ途端にくらっとする感覚も、その後急に襲いかかる眠気も
僕には気持ちがよかった
夏の終わり頃から、学校にも行けなくなった
身体が上手く動かなくて、ベッドから起き上がることすらできなくなった
それでも変わらず、手にはカッターを握りしめていて離すことはない
せっかく母さんが作ってくれる料理もまともに食べられない
少しでも食べられたと思えばすぐに吐き戻してしまう
仕事をしている訳でも、勉強をしている訳でもないのに学校に行かず
部屋からすらも出てこない
"お荷物"
その言葉が一番自分に似合っていた
いくら頑張っても届きもしない君に手を伸ばして
君がこの手を掴んでくれることを、ずっと待っていた
君か学校に来なくなって2ヶ月
全ての始まりの日は、あんなにも暑かったのに
もう外は肌寒く、マフラーを巻いている生徒もよく見かける
もうクラスの全員が登校し終わった頃、教室のドアが控えめに開いた
桃
青
君だった
教室中に動揺の空気が流れるのを感じた
思わず出た俺の間抜けな声にすらも反応する君の身体
その細さも、目の下の酷い隈も、全てが俺達を突き動かした
けれど、中でも俺達に衝撃を与えたのは
赤
黄
青
あまりにも浮いた薄手の半袖シャツ
手袋もマフラーもせず、ホッカイロも持たず
息が白くなるこんな冬に
しかも
先生
先生
青
先生
青
先生
幼児のような、ゆったりとした喋り
教師へのタメ口
全て、君が君でないようだった
てくてくと、こちらへ歩いてくる
ガンッ
青
チッ
青
え?俺?
青
その道中、1人のクラスメイトの机にぶつかった
君はとっさに謝ったが、その相手は全く別の人
桃
青
青
桃
明らかな異変を感じ、立ち上がり君の手を掴む
青
桃
桃
青
桃
青
朝礼が終わり、話しかける
お互いにお互いを見て喋っているのに
必死に君の瞳の奥を見つめても、君と目が合うことはない
赤
青
黄
青
桃
青
桃
今のころんに合わせた言葉を選んで聞く
青
間違いなかった
ころんは、目が見えていない
俺達が与えてきたストレスか、この2ヶ月間に何かあったか
少なくともこんな状態のころんからは聞き出せないだろう
すべての神経を隣にいるころんに飛ばしながら午前中の授業を受けた
昼休み、気付かぬ内に君がいなかった
かなり焦ったが莉犬も一緒にいなくなっているため、
2人でどこかに行っているのだろうと思った
黄
桃
赤
赤
全身の血が逆流する感覚がした
息がしにくくなり、冷や汗が背中を伝う
黄
赤
まずい
そう本能的に思い、立ち上がった瞬間だった
視界の端に
綺麗な水色が写った
世界が、スローモーションに見えた
君と、目が合った
気付けば屋上に来ていた
我に返った時、ふとすぐ隣から聞こえる君の声がどうしようもなく怖かった
いつの間にか見えなくなっていたこの目で
どうやってここまで来たかなんて僕にも分からない
いい意味でも、悪い意味でも
この場所に来すぎて、この場所での思い出が強くて
身体がここまでの道を覚えていたんだろうか
手探りで、ドアノブに手をかける
ドアを開けば、目の飛び込む晴天の空
あぁ、そうか
こんなにも世界は綺麗だったんだ
今年の夏に着られなかった半袖のシャツを着て
見えた
最期に、空が見えた
そして
君が、見えた
君と、目が合った
青
桃
どうして、そんな顔をしてるの?
ねぇ、嬉しいでしょ?僕が死んで
幸せでしょ?
ねぇ
僕にはなんにも
分かんないよ──
ずっと書きたかったの書いたけどよく分かんなくなっちゃった(´◕_◕`)
ハートいっぱいクレメンス(´◕_◕`)
コメント
16件
ぶぐしつです!
めちゃくちゃ深いですね… 考察的な感じですけど、 最後は屋上のフェンスを飛び越えて、落下している最中に桃くんと目があったって事ですかね… 語彙力がないのは許してください😢( 今回も最高でした!!👏