れい
れい
れい
れい
大阪府立我々学園。
その学園は、生徒の独自性を重んじ、 思想を尊重し、主体的な活動を 推奨する。
そんな目標のもと造られたこの学園 だったが、それ故か一般的に 「問題児」とされる生徒が 一般化していた。
そして、そのトップである生徒会が、
まともである筈が無かった。
無駄にでかい我々学園校舎の最上階、 その一室。
「生徒会」という言葉が黒字で 書かれたプレートが掲げられた その部屋の中で、この学園の核となる 生徒会メンバーは総員で机に突っ伏し 嗚咽の声を漏らしていた。
それは何故か?
理由は至極簡単である。
全員
暑い。 とにかく、暑いのである。
これは、僕鬱と生徒会メンバー、 それから教職員2名が『ある事』を 決意した歴代最高の猛暑日でのお話。
チーノ
オスマン
地を這うような、ただし半泣きの 後輩の声と、疲れ切ったJK口調。
今日の最高気温、37℃。はぁ?
こんな日に限って、クーラーが ぶっ壊れるというお決まりの事案が 発生してしまっている。
くそう、あのゾムとかいう脅威め。
エアコンに爆竹を投げ入れるとか いくらなんでもアホすぎる。
そうこうしてる間も、滝かと思う程に 流れ落ちた汗が髪を濡らす。
申し訳程度に置かれた祭りのうちわを 出来る限り全力で扇ぐ。
ただ、悲しきかな、ぬるい風しか 届いてこなかった。
鬱
とにかく何か気を逸らそうと隣にいる 後輩、ショッピくんに ココア○ガレットを要求する。
そろそろうちわを二刀流に 持ち替えようとしていた彼は 気だるげそうに僕の呼び掛けに 応える。
ショッピ
もう袋を破る事すら 面倒くさくなったのか、 箱ごと此方に投げて寄越した。
ショッピ
待て。ラムネ菓子が溶けるとは どういうことだ。
ただ、説明を要求する前に彼は 紫のイヤホンをつけ、猫がこたつで ぬくぬくしている今この状況で絶対 見るべきではない動画を再生する。
アニマルセラピーしてる場合か。
死屍累々と化した生徒会室。
そんな部屋に、誰かが訪れた。
しんぺい神
浅葱ねず色の髪を結った突然の 来訪者は学校医のしんぺい神先生。
彼を見た生徒会メンバーの頭の中で 連想ゲームが始まる。
しんぺい神先生。
学校医。
保健室。
……クーラー。
コネシマ
シャオロン
ゾム
エーミール
グルッペン
やんややんやと虚偽報告を始めた コネシマとシャオロンに、 爆発物処理班が必要そうなゾム。
ていうか何逃げようとしてんだ エーミールコラァ。
しんぺい神
しんぺい神
ロボロ
セクハラ学校医がカルテを書き上げ、 ロボロか小さく喉を鳴らした所で、 しんぺい神の後ろに人影が現れた。
今日はお客様が多いようだ。
兄さん
全員
暑苦しい紫のストールを揺らし、 入ってきたのは我々学園公務員の 兄さん。
この人は、とにかく仕事が速い。 ついでに、喧嘩も強い。
ゾムとコネシマとシャオロンによる 校舎破壊事件(内ゲバ)にて あの内ゲバ三人衆を はっ倒した事もある。
まあそのせいでうちの五歳児(笑)に 目をつけられた訳だが。
兄さん
暑さに頭をやられたエーミールが 笑顔でグルッペンと胸ぐらを 掴み合っている惨状を見た兄さんは 色々と察した。
エーミール
さらりと暴言が出る始末だ。
兄さん
そう言って差し出してくれたのは 涼しげな透明のコップにいれられた 麦茶たち。
全員が席を立ってひとつの盆に 殺到した。
こんな太陽が照りつける日だからこそ 至高の飲み物となれる茶色の液体を 傾け喉を潤す。
しだいに、皆の活力も戻ってきた。
コネシマ
コネシマ
コネシマ
チーノ
ひとりそれにありつけなかった上に めんつゆ冷却バージョンを飲まさせた 可哀想な相棒もいたが。
ロボロ
シャオロン
ショッピ
はあー……と息を吐いていると 彼奴の声が聞こえた。
グルッペン
ひとらんらん
トントン
オスマン
茶番ムーブとして流されそうだった その突拍子もない意見に、 グルッペンは食い下がった。
グルッペン
グルッペン
愉悦だけでない、確固たる意志を 帯びた目をするグルッペンに メンバーが口をつぐむ。
トントン
グルッペン
グルッペン
グルッペン
グルッペン
いつもなら、誰がアホやねん!と 吠える奴が一定数いただろうが、 今回は誰も何も言わない。
グルッペン
グルッペン
グルッペン
グルッペン
エーミール
ひとらんらん
しばらくの間、沈黙が流れる。
口を開こうとしたメンバーの中で フライングをかましたのは、 狂犬たち。
シャオロン
コネシマ
最高のメンバー。
その言葉は、嬉しくて、 恥ずかしくて、今年限りという事実を 思い出させてくれた。
今の俺たちが"最高"だと いうのなら……
グルッペンがいう"面白い事"でも やってみせようではないか。
ひとらんらん
オスマン
ゾム
エーミール
トントン
ロボロ
ショッピ
チーノ
やれやれ、若人たちはいいなとでも 言いたげにこっそり部屋を 出ようとした2人をグルッペンが 捕まえる。
グルッペン
兄さん
しんぺい神
兄さん
なんやかんや言いながらも誰も 反対する事なく『太陽を壊す』という 人類滅亡シナリオを嬉々として選ぶ メンバー。
正真正銘の、気狂い集団。
自分も、その一員だ。
鬱
暑い暑い、真夏の日。
高ぶる興奮を抑えつけ、滴る汗を 拭い取り。
俺たちは、足を進めた。
鬱
「太陽壊しに 行きますか!」
れい
れい
れい
れい
れい
れい