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私には何もない
喜びの感情も、哀しみの感情も
痛いと言う感覚も、苦いと言う感覚も
私には最初から無い
でも、そんなもの無くても困らなかった。
必要じゃなかった
私は人間ではない
私は人を超えるべくして超え
数多の世界の秩序を保つ存在
あらゆる生物が姿を見た事の無い者を信仰し
神として祀る。
私はその神と呼ばれる者だった。
この先世界に何が起こるのかも、
私の知らない過去に何があったのかも
全てが一目見ただけで私には分かった。
でも、ある日突然
機械の体を持つ私は
自分を創り出した人物に命令を受け
私は｢人間｣を研究する事になった。
人間を研究し、感情のサンプルを採取する。
そして私の創り出した体に命を吹き込み、
普通の人間とは違う人間を創る。
あの人は何を考えて私にこの様な命令をしたのだろうか。
そんな事を気にも止めず
私は人間の居る世界に研究へ向かった。
それからの事。
私は瑠都という男に拾われ
｢エクラ｣という名前も貰い
感情サンプルを順調に集めていた。
そして、集めた物をデータ化し
まずは自分にダウンロードしてみた。
不具合などが起こらず
無事にダウンロード出来た。
目を覚ました時
私には色々な感情が芽生えだした。
初めて感じた感情は
｢喜び｣
だった。
きっと、感情のデータ化に成功したからだろう。
次に芽生えた感情は
良く分からない物だった。
何だかこの頃、調子が悪い。
データの不具合だろうか。
瑠都と一緒に居ると調子が狂う。
でも、何故だか安心する。
一体私はどうしてしまったのだろうか。
私に感情が芽生えてから
瑠都と一緒に居たい、と思うようになり
私は瑠都と居る事が多くなった。
最初にも言った通り
私は普通とは違う人間を創らなければならない
人間の感情は、私に導入したデータ以外にも沢山ある
それを集め切れば、人間を創る為、私はこの世界を離れる事になる
離れたくない。
自分に芽生えた謎の感情が、私を支配していく
私は何時しか、データ集める事を辞めてしまっていた
それから世界は狂った
反逆者によって人間は大量に殺され
その他は奴隷にされたり、酷く悲しい現実が目の前に広がった
私は今となって
あの人の望んでいた事と
あの分からなかった感情の正体に気付いた。
あの人は
私に力を持つ人間を作らせ
誰もが安全に、
平和に暮らせる世界を保とうとしていたのだ。
感情を手に入れた私は
瑠都に恋をし
その迷いから役目を放棄していた。
これは私の招いた事。
私が全てを解決しなければならない。
私が動くには全てが遅かった。
私は私自身が治めた世界と共に自滅し
零から全てを創り直した
自分も
人間も
世界も
全て。
私は瑠都がくれた
感情も
暖かさも
｢エクラ｣という名前も
全て忘れない。
そして
二度とこんな事が起こらない様に。
新たな体、新たな名前に変わり。
新たな仲間と共に役目を真っ当する。
｢るあ｣
この名前を持ってして
私はまた新たな人間を創る
コメント
2件
( ；∀；)感動！！
｢エクラ｣はフランス語で輝き、という意味です！誤字発見したら報告お願いします！！
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