蘇枋
ただいま、桜君
桜
おかえり
桜
何処行ってたんだよ
蘇枋
んー?
蘇枋
ちょっとお散歩に
桜
ふーん
蘇枋
自分で聞いといてその反応は酷いなぁ
桜
酷くはねぇだろ
蘇枋
寂しかった?
桜
別に…
蘇枋
えー
蘇枋
そこは寂しがってよ
桜
嫌だね
蘇枋
つれないなぁ(苦笑)
桜
ふん
高校に入って桜君と出会ってから随分と長い時が経った。 初対面の時の桜君は 喧嘩っ早くてまるで野良猫のような人だった。 それに加えて恋には敏感で 甘い空気を感じ取っては顔を 真っ赤に染めていた。 そこからだんだん人と関わる事に慣れていった桜君は地域猫になって、今じゃ恋愛にも慣れてしまった飼い猫になっている。
この事を本人に聞かれたら「誰が飼い猫だッ💢」とか言って怒られるだろうけど(苦笑)
蘇枋
桜君。
桜
何だ?
返事をしながら、その綺麗に分かれた白黒の髪と左右で違う黒曜石と琥珀色をした目をこちらに向け振り返った
蘇枋
好きだなぁ…
桜
何だって?
不意に口に出した言葉。 あいにく桜君には届いていなかったようだ
蘇枋
んーん。
蘇枋
呼んでみただけ
桜
はぁ?
蘇枋
あははっ
桜
変な奴…
呆れ顔でこちらを見ているその顔には 時を経て増えていく線がある それは俺も同じだった
蘇枋
桜君
蘇枋
訪れるべき時が来た
もしその時は
もしその時は
蘇枋
悲しまないで