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私、彼氏途切れたことないの 皆が告白してくるんだもん

私美人だから

いつだって告白するのは男子 飽きて振るのは私

性格悪い? もちろん女子の私に対する好感度は低いわよ

でもそれに反比例して男子の好感度はすごく高いの だから何しても許される

私美人だから

つまり何が言いたいかって言うとね

私から好きになる男子なんていない

はずだったのよ

いっつも絵を描いてる暗い男子なんて絶対に好きにならない

そう思ってたのに

彼はスケッチブックが友達

「オタク」「暗い」「陰キャ」 男友達と様々な名称をつけ

「あーいう奴って彼女一生できないよな」 「じゃあ私が一時(いっとき)の夢を見せに行ってくる」

そんなやり取りを経て、笑い物のタネにするだけだったのに

森澤文人

田村さん

森澤文人

昨日はスケッチのモデルになってくれてありがとう

森澤文人

おかげでけっこう良いのが描けたよ

森澤文人

コピーしたから1枚あげる

美鈴

ああ…ありがと

ねぇ、私から男子の名前を覚えることって滅多にないのよ

美人の私のボディタッチとか手作りのお弁当に動じない男子も滅多にいないけど

だからこそ振り向かせたくなるじゃない

もっと私を意識してよ どうしたら私だけを見てくれるの

夢を見て彼に魅せられたのは私の方だった

鈴木春翔

お前なあ

鈴木春翔

マジでその性格直した方がいいぞ

美鈴

なによ

鈴木春翔

さっき3組の木下に色目使ってただろ

鈴木春翔

どうせまた1週間もしない内に捨てるくせによ

美鈴

捨てるなんて人聞き悪いわね

美鈴

そもそも私は木下と付き合うつもりはないわ

美鈴

この先彼女ができそうにないから夢を見させてあげてるだけ

鈴木春翔

あっそ

鈴木春翔

じゃあ今お前が一番口説いてる森澤もそうなんだな

美鈴

…………

鈴木春翔

そうなんだな?

美鈴

うるさいわね、彼女の1人もできないあんたにいろいろ言われる筋合いはないわ

鈴木春翔

俺は幼なじみとして心配してんだよ

美鈴

大きなお世話よ

森澤の名前を出さないで

胸の奥の奥が苦しくなるの

可哀想な男子に見せる一時の夢

そんな風に割り切れたらどんなに楽だろう

キャンパスに描かれていたのは髪が長い女の子

キメ細かい肌、髪のつや 全てが油絵の具で見事に再現されている

どの絵よりも時間をかけて、心を込めて描いているその絵には

モデルがいる

森澤君がはっきりとそう言った

可愛くて聡明で清楚で可憐な

私の知らない女の子

森澤文人

紗奈は__

森澤文人

この絵のモデルだよ

森澤文人

紗奈は今入院してるんだ

森澤文人

厄介な持病を抱えていて小さい時から入退院を繰り返してる

森澤文人

1ヶ月前、とても難しい手術をして

森澤文人

それからずっと生死の境目をさまよってる
そういう手術なんだけどね

森澤文人

1日のほとんどを意識がない状態で過ごしてる
死んでしまうことも、視野に入れないといけないんだ

森澤文人

でも俺は紗奈がこのまま死なないって信じてる

森澤文人

俺が書いた紗奈の肖像画を見るまでは死なないって言ってたから

森澤文人

紗奈は1度言ったら聞かないから

それは触れたら壊れてしまうような慈愛に満ちた表情

なんて美しい顔で話すの…

ずっとその子を想ってるのね

私を見ることはないのね

いつものように、アピールする為に彼が所属している美術部に突撃訪問しただけだったのに…

美鈴

っ………

抑えようもなく涙が出るわ

今の私は性格の悪い美人じゃない

鈴木春翔

美鈴っ!

美鈴

……!

美鈴

春翔…どうして………部活じゃ……

鈴木春翔

美鈴の様子がおかしかったからさ、追いかけた

鈴木春翔

それより、なんかあったのか

鈴木春翔

なんでもない、なんて言わせないからな

鈴木春翔

そんなに泣いてるのにほっとけるわけないだろ

美鈴

…………

美鈴

…………私ね、彼女ができそうにない男子に色目使って陰で皆で笑ってたの

美鈴

森澤君も、そうするつもりだったの

美鈴

好きになるなんて有り得ないと思ってたの

美鈴

壁ドンとかされた訳じゃない

美鈴

「この人こんな風に笑うんだ」とかいろいろ分かっていく内に好きになっていったの

美鈴

でも森澤君にはもう好きな人がいて、私のことなんか見てくれないって気づいて

美鈴

でも認めるのがすごく嫌なの

美鈴

振られたらこんなに悲しいんだなって

美鈴

私はたくさんの男子にこういう思いをさせたんだなって

美鈴

いろいろ考えてどんどん自分が嫌いになったの

美鈴

馬鹿だよね私

鈴木春翔

鈴木春翔

馬鹿だと思う

美鈴

………

鈴木春翔

お前のすぐ近くに小さい時からずっと

鈴木春翔

お前のことが好きな人がいるのに

美鈴

……え

鈴木春翔

こんな時に言うことじゃないのはわかってる

鈴木春翔

でも俺じゃ、森澤の代わりになれないかな?

美鈴

今日は楽しかったよ

美鈴

春翔とのデートも楽しいじゃん

鈴木春翔

…おう

鈴木春翔

前日徹夜して計画立てた甲斐があったわ

美鈴

…そんな真剣に考えてたんだ

美鈴

そうだよね

美鈴

私と付き合うことを真剣に考えてた男子もいっぱいいたな…

美鈴

鈴木春翔

どうした?

美鈴

私決めた

美鈴

今まで馬鹿にしてた男子に、ちゃんと謝る

美鈴

付き合うのは無理だけど友達になって欲しいってちゃんと伝える

美鈴

それと

美鈴

私美術部に入る

鈴木春翔

……森澤がいるから

美鈴

春翔の気持ちはすごく嬉しいけど

美鈴

私はやっぱり森澤君が好き

美鈴

それに美術部に顔出してる内に絵描くのって楽しいって気づいたし

鈴木春翔

芸術の秋とかいうしな

美鈴

恋の秋とか作ったらいいのに

鈴木春翔

年中そうだろ

美鈴

そうだね

大切なことを気づかせてくれた、私の初恋

色あせない内に、キャンパスに残したい

貴方の隣で

この作品はいかがでしたか?

300

コメント

11

ユーザー
ユーザー

田中太郎さん ありがとうございます❗タ、タイトルを褒めて頂けるなんて……😭😭いつもタイトルをつけるのに死ぬほど悩んでるんですよ…

ユーザー

めっちゃよかったです! 内容と、個人的にはタイトルのセンスがめっちゃ好きで尊敬してます!! フォローさせて頂きました!

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