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おばあさん

この店には、まじないのかかった特別なミサンガが2本あってね。

おばあさん

昔からずっと大切に仕舞われてあるんだよ。

角名

へぇ…

おばあさん

ほら、この壁の絵を見てごらん。

角名

…手を取り合ってる、女性と男性…?

おばあさん

そう、当時の人が描いたものでね

おばあさん

…お前さんに、昔話をしてあげよう

おばあさん

立ったままだと疲れるだろう。そこに座りな。

角名

あぁ、ありがとうございます…

ある1人の少女がいた

14、15くらいの若くて綺麗な娘

その娘は、毎日自分の頭の中に流れてくる 知らないはずの記憶にずっと悩まされていた。

森の中をずっと走っているだとか、 幸せそうに男性と手を繋いでいるだとか…

医者に見てもらっても何も分からず、 両親も意味がわからないと呆れ、 だんだん周りの者は彼女を避けるようになった。

そんなある日、彼女は1人の男性と出会った。

男性

あの、手拭い落としましたよ。

女性

あ、ありがとうございます…

男性

?…顔色が悪いですよ。大丈夫ですか?

男性

僕の家は病院なので、もし良かったら見てもらいますか?

女性

いえ…見てもらっても、分からないものなので…

男性

それは、どういう…?

女性

えと…

女性

…!

男性

…!

彼女は、顔を上げ男性の顔を見た瞬間

この人だ。 と、確信したらしい

いつもその知らないはずの記憶の中に表れる男性だと。

女性

っ…泣

またその男性も、時々知らないはずの記憶に悩まされていたという。

いつも泣いている女の子が出てくる、と

娘が涙を流す姿を見た瞬間、その男性も全てが繋がったかのように確信した。

この人以外いないと。

やがて2人は、その運命を通じて交際するようになった。

女性

あの、これ…よければ…

男性

…ミサンガ?

彼女はある日、 男性にミサンガを渡した。

男性

綺麗なミサンガだ…君が作ったの?

女性

はい…こういうの、得意で…笑

女性

お揃いなんだけど、おかしいかな…

男性

ううん、おかしくなんてない。君からの贈り物だなんて、凄く嬉しいよ。

女性

良かった…笑

女性

…せっかく運命で出会ったんですもの

女性

何だか、2人だけの特別なものが欲しくて…笑

男性

…笑

男性

じゃあ、このミサンガも、運命のミサンガだ。

2人はそのミサンガをずっと大切に付けていた。

おばあさん

やがて2人は結婚して子供も生まれた。

おばあさん

そしてそのミサンガは2人がじいさんばあさんになって亡くなる前、この先に誰か受け継ぐ人がいたら…と

おばあさん

今もこうして、その人が現れるのを待ってたんだよ。

角名

へぇ…凄く良い話ですね…

角名

(…なんとなく、俺と○○さんとの出会い方と似てるなぁ)

おばあさん

おばあさん

お前さんは、選ばれし者やなぁ…

角名

選ばれし者…?

おばあさん

私がここに誰かを連れてきたのは、お前が初めてだよ。

角名

え、そうなんですか?

角名

何で俺が…

おばあさん

…お前さんだから、連れてきたのさ。

おばあさん

店に入ってきた瞬間、不思議なオーラが放たれているように見えたね

おばあさん

このミサンガもきっと、そう感じているだろう。

おばあさん

この少年だ、と思ったよ

角名

…?

おばあさん

このミサンガ、お前さんにあげよう。

おばあさん

対価は必要ないよ

角名

え!?

角名

俺が!?

おばあさん

もうひとつは、そのお前さんの大切な人に送ってやりな。

おばあさん

想い人なんだろう?その相手は

角名

そ、うですけど…

角名

俺がこんなものただで…

おばあさん

ごちゃごちゃ言わず、ありがたく受け取らんかい!

おばあさん

言っただろう
お前さんは選ばれし者だと。

おばあさん

お前さんは軍人。
…きっと生きて帰れないだろう。

おばあさん

だから、もしこの世界から2人が離れても

おばあさん

その先の未来で、またお前さんとその子が出逢えるように。

角名

おばあさん

分かったなら、早く行きな!
精一杯頑張ってくるんだよ!

角名

…ありがとうございます。

角名

一生、大切にしますっ…!

おばあさん

うん、それで良い。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

角名

えっと…

角名

あ、練さん!

大耳

お?なんや?

角名

…これ、この戦争が終わったら、

角名

○○さんに届けて欲しい。

大耳

…ええんか?俺が届けて

角名

…俺は、生きて帰れないかもしれないから。

角名

練さんなら…と思って。

大耳

…分かった
俺が大切に預かっとく。

大耳

けど…

大耳

倫太郎も絶対生きて帰って来いや。

角名

…うん。

角名

ミサンガ…俺のも預かっててほしい。

大耳

…分かった。

整列ー!!!

角名

じゃあ…終わったら。また。

大耳

おう。絶対生き残れよ!

角名

うん!練さんも!

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

《現代》

角名

おはよ、○○

○○

あ、角名。おはよー

角名

あれ、ミサンガ右腕になってる

○○

前は左腕に付けてたからさ。ちぎれたし。

角名

じゃあ俺も右腕にする

○○

ちぎれるまで待たないの?笑

角名

○○と同じが良い。

○○

なんか可愛いね

角名

…可愛くないし。

その強い縁結びのまじないがかかったミサンガは

奇跡で出逢った2人が今も お互いの愛の印というように大切に付けている。

《終わり》

【あとがき】

・お店のおばあさん ○○ちゃんと角名がつけているミサンガを作った少女(と少女の恋人)の子孫。 予知夢を見ることがあり、角名が店に現れること、ミサンガを想い人のために買うこと、そして戦タヒすることを分かっていた。

・28話の○○の兄のセリフ 当時の記憶がいくつかあるってわけでも無いけど、自分が前世でも○○の兄であったこと、戦タヒしたということだけは記憶にある、って感じです。 ○○ちゃんが前世の記憶を持っていると察してああ言いました。

・背丈、雰囲気を覚えていても尚、○○が今世の角名を見ても思い出せなかった理由 単純に、前世の角名はまだ16手前だったので、今世の角名よりまだ多少背丈が低く幼さがあったというのと、軍服と稲荷崎の制服&部活着じゃ大分雰囲気違うくて分からなかったからです。

・クライマックスで記憶の中へ入った理由 お互いのミサンガがお互い光った状態で、角名が○○ちゃんのミサンガに触れ光が混じりあったことでミサンガのおまじないの力が溢れた。 そして2人が結ばれるためその溢れた力が…って感じです(語彙力…泣) 後は作中にも出てくる○○ちゃんの祖父母、元々の持ち主である2人が空のうえから○○ちゃんたちを応援していたからっていうのも…!

ちなみに前世で○○ちゃんと角名が出会ったのは現在(2022)から約120年ほど前の時代です。史実には無い架空の戦争時代が舞台です。

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