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口付けの先へ 2

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口付けの先へ 2

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2019年03月20日

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考え事をしていると、時間はすぐに過ぎてしまうものだ。

いつも通り、晶がやってくる時間になった。

そう、いつも通り。

おはよ。

おはよ…

明は内心舌打ちした。

あの一件以来、少なくとも明は気まずく感じていた晶との距離感を、

ようやく掴みかけていた所だったのに。

あんな夢を見た後に、平気で挨拶なんかできない。

なんかあったの?

ふんわりと笑いかける晶に、思わずどきっとする。

ため息をつかずにはいられない明だった。

明はさ、

家を出発してから5分ほど経った。

明の体感時間は1時間にも感じていた。

それで、今まで無言で歩いていたところに、

晶は突然口を開いた。

好きなやつとか、いんの。

は…?

あまりに唐突な質問に戸惑う。

好きなやつなんか、いないよ。

その一言が、出てこなかった。

俺、この前さ、お前にキスしちゃったじゃん。

うん…

お前気にしてたよな、俺と気まずくなるの。

え…?なんで…

愛おしそうな、いたずらっぽいような笑顔を見せる。

晶のその笑顔に、明は唾を飲んだ。

だってお前、分かりやすすぎ。

お見通しだったぜ。

からからと笑う晶と、太陽が重なる。

あ、それでキスの話なんだけど。

昨日読んだ漫画の話でもするように、核心をついてくる晶に、

明は背筋が伸びる思いだった。

まあ分かったと思うんだけどさ、

俺お前のこと好きなんだわ。

あっさりと告げられた言葉はあまりに真っ直ぐで、

それゆえに明の心に刺さった。

ごめんな。

え?

だって、これで俺、もう友達じゃなくなっちゃうだろ。

気まずくないふりなんか、できないだろ…

語尾が震えているのが分かる。

お前も、やっぱり気まずかったのかよ…

当たり前だろ!

勢いでキスしちゃった、って誤魔化せる感じでもなかったし…

ごにょごにょと言い訳する晶は、なんだかキスする前の、背伸びしていない晶のようで、

明は少し嬉しかった。

そんで、告白になっちゃったけどさ、

俺、お前と付き合いたいとか、そういうのはないから。

ひゅっ、と息を吸い込む音がした。

俺、お前とまだ友達でいたいし。

良かったらこれからも一緒に登校して欲しいかなって。

…んだよそれ

え?

なんだよそれ!

腹が立った。

勝手に話を進める晶に。

勝手にキスして、告白して、何も言っていないのに諦める晶に。

勝手に明が晶のことを好きにならないと思っている、晶に。

お前にキスされてから、俺だっていっぱい考えた!

お前、俺の事好きなのかなとか、

だったら告白してきたとき、どう応えようとか!

あき…

そうやって考えたら!

拳を握り込む。

真っ直ぐに晶を見つめる。

俺もお前の事好きだって分かった!

涙が頬を伝う。

だから、俺の気持ち勝手に否定するな!

俺だって、俺だって…!

腕が伸びてきた。

避ける間もなく、明は晶の腕の中にいた。

ごめん…

…ごめんで済んだらケーサツいらねーの

小学生かっつの…

涙で、2人の肩はすっかり濡れてしまっている。

ああ、俺は

幸せ者だよ。

両腕に力を込めた。

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