コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
考え事をしていると、時間はすぐに過ぎてしまうものだ。
いつも通り、晶がやってくる時間になった。
そう、いつも通り。
晶
明
明は内心舌打ちした。
あの一件以来、少なくとも明は気まずく感じていた晶との距離感を、
ようやく掴みかけていた所だったのに。
あんな夢を見た後に、平気で挨拶なんかできない。
晶
ふんわりと笑いかける晶に、思わずどきっとする。
ため息をつかずにはいられない明だった。
晶
家を出発してから5分ほど経った。
明の体感時間は1時間にも感じていた。
それで、今まで無言で歩いていたところに、
晶は突然口を開いた。
晶
明
あまりに唐突な質問に戸惑う。
好きなやつなんか、いないよ。
その一言が、出てこなかった。
晶
明
晶
明
愛おしそうな、いたずらっぽいような笑顔を見せる。
晶のその笑顔に、明は唾を飲んだ。
晶
お見通しだったぜ。
からからと笑う晶と、太陽が重なる。
晶
昨日読んだ漫画の話でもするように、核心をついてくる晶に、
明は背筋が伸びる思いだった。
晶
晶
あっさりと告げられた言葉はあまりに真っ直ぐで、
それゆえに明の心に刺さった。
晶
明
晶
晶
語尾が震えているのが分かる。
明
晶
晶
ごにょごにょと言い訳する晶は、なんだかキスする前の、背伸びしていない晶のようで、
明は少し嬉しかった。
晶
晶
ひゅっ、と息を吸い込む音がした。
晶
晶
明
晶
明
腹が立った。
勝手に話を進める晶に。
勝手にキスして、告白して、何も言っていないのに諦める晶に。
勝手に明が晶のことを好きにならないと思っている、晶に。
明
明
明
晶
明
拳を握り込む。
真っ直ぐに晶を見つめる。
明
涙が頬を伝う。
明
明
腕が伸びてきた。
避ける間もなく、明は晶の腕の中にいた。
晶
明
晶
涙で、2人の肩はすっかり濡れてしまっている。
明
晶
両腕に力を込めた。