テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

一覧ページ

LINE１４３２

第1話 - あ

2023年12月20日

#スカッと

タナカトシキ

ヤスコ

タツオ！メイだけやたら可愛がって、

ヤスコ

サツキを蔑ろにするのはやめてよ！

ヤスコ

サツキ、パパに無視されて、邪険にされて傷ついてるんだからね

タツオ

何が悪いんだよ

タツオ

メイはブスのサツキと違って、

タツオ

目がぱっちりして天使みたいに可愛い娘じゃないか

タツオ

そりゃーベタベタに可愛がっちゃうよなｗｗ

ヤスコ

なんてことを言うのよ！

ヤスコ

二人ともかわいい娘じゃない！

タツオ

そんなの所詮、親の欲目じゃないかｗ

タツオ

客観的に見ろよ。サツキは目が細くて、どう見てもブスだろｗ

ヤスコ

あんただって親でしょ！

ヤスコ

それと客観的に見れてないのはあんたの方よ！

ヤスコ

サツキとメイ、目以外はそっくりじゃない！

タツオ

いやいやｗどう見たって全然似てないじゃないかｗｗ

タツオ

悪いが、俺はサツキみたいな一重のブス顔、好きになれねぇんだよ

ヤスコ

自分だって一重じゃないの！

タツオ

うるせぇ！それにな、サツキは顔だけじゃなく、心までブスなんだ。あいつ、

タツオ

可愛いメイに嫉妬していじめるんだからな。なんでそんな奴に気を遣ってやらなきゃならない

ヤスコ

それはあんたが原因でしょ！

ヤスコ

パパにお菓子を買ってもらえるのも、絵本を読んでもらえるのも、

ヤスコ

抱っこしてもらえるのも話しかけてもらえるのも、全部妹だけなんじゃ、嫉妬もするわよ

ヤスコ

それにあんたの接し方は、メイにだって悪影響だわ

ヤスコ

欲しがったものなんでも与えて、時間も量も考えずにお菓子を好きなだけ与えて、

ヤスコ

我儘は何でも聞いて、何をしても叱らないじゃない

ヤスコ

タツオはただ、メイを甘やかしてるだけよ！

タツオ

何が悪いんだ？いっぱい可愛がられた方がまっすぐ優しい子に育つだろ

ヤスコ

何それ…サツキは可愛がられなくていいっていうの？

ヤスコ

優しい子に育つ？最近じゃあんたの態度のせいで、メイまでお姉ちゃんを見下してるのに

タツオ

サツキはブスで人生ハードモードなんだから、強く生きなきゃいけないだろ

タツオ

あいつのために今から鍛えてやってるんだよｗ

タツオ

見下して何が悪い？ブスは見下されるのが世の常だろｗｗ

ヤスコ

そんな…

ヤスコ

もういい。我が子を些細な見た目の違いで差別するあんたなんか、いらない

ヤスコ

実家に帰らせてもらうわ。離婚しましょう

タツオ

おいおい、大袈裟なこと言うなよ。落ち着けって

タツオ

ママがいなくなったら、メイが可哀想だろー？

ヤスコ

安心して。メイの前からいなくなることはないから

タツオ

なーんだ、ただの脅しかよ

ヤスコ

サツキとメイ、二人とも私が引き取るわ

タツオ

へ？

タツオ

何言ってんだよ！メイから可愛がってくれる父親を奪う気かよ！

タツオ

せめてお前がサツキを、俺がメイを連れて離婚すればいいじゃないか！

ヤスコ

いいえ、あなたの存在は姉妹双方にとって悪影響です

ヤスコ

今荷造りしてるわ。離婚届、後で送るわね

ヤスコ

さよなら、養育費は要らないわ

タツオ

待てよ！こんなことで子供を連れ去るなよ！！

～数年後～

タツオ

ヤスコ…お前とメイに会えなくて俺は寂しいよ…メイにも伝えておいてくれ

タツオ

メイは元気にしてるか？俺に会えなくて泣いてないか？

タツオ

またメイを抱きしめてチューしたいよ

タツオ

好きな男の子はいるか？いないよな？

タツオ

大きくなったらパパと結婚するーって言ってくれてたもんな

タツオ

パパもメイと結婚したい！！愛してるよーメイー！！

タツオ

あぁ～また会ったら、あのぱっちりした大きな瞳で俺を見つめて、長ーいチューをしてくれ！！

～さらに数年後～

タツオ

ヤスコ！今日お前とメイをやっと見つけた！

タツオ

本屋から二人で出てきて、一緒に車に乗るのを見たぞ！

タツオ

大きくなったなぁメイ…目がぱっちりして、キラキラして、理想の美少女だ

タツオ

メイに伝えてくれ。7年ぶりに姿を見られて感動した、また会いたいって！

ヤスコ

いいえ、あの子は長女のサツキよ

タツオ

へ？

ヤスコ

今日はサツキの参考書を買いに出かけていたの

タツオ

おいおい何言ってんだよ…あの顔はどう見てもメイだろうが！

ヤスコ

中学に入る少し前に、サツキは目元の肉が取れてぱっちりした二重になったのよ

ヤスコ

元々目以外似ていたけど、本当に姉妹そっくりになってね

ヤスコ

身長までそう変わらなくなったんだから

タツオ

え、じゃあ本当にあの子はサツキ…？

タツオ

なーんだそうだったのかよｗ

タツオ

二人とも美人になってよかったじゃないかｗ

タツオ

これなら俺達が再婚しても問題ないな！また家族四人でやり直そう！

タツオ

可愛い娘達に囲まれて天国みたいな暮らしができるなｗｗ

ヤスコ

誰があんたなんかとやり直すものですか

ヤスコ

お断りします

タツオ

は？ブスだったサツキが美少女になって、

タツオ

二人とも可愛がってあげられるようになったんだぞ！

タツオ

えこひいきが気に入らなかったのなら、これで何の問題もないだろ！

ヤスコ

そういう問題じゃないわよ

ヤスコ

あんたが幼かったサツキを傷つけ、

ヤスコ

姉妹仲を滅茶苦茶にしたことは消えないのよ

タツオ

そんなの昔のことじゃないか！サツキも覚えてないだろ！

ヤスコ

いいえ。しっかり覚えてるわ

ヤスコ

あんたから離れた結果、二人はすぐに仲良し姉妹になったの

ヤスコ

父親の差別が作ったわだかまりなんて、なかったかのようにね

ヤスコ

だから私もサツキもメイも、みんなあんたのことが大嫌いよ

ヤスコ

再婚なんて、死んでもしないわ

タツオ

嘘つくなよ！

タツオ

サツキはあんなに俺に可愛がってもらえなくて拗ねてたんだぞ！

タツオ

それって俺のことが好きだってことだろ！

ヤスコ

えぇ。小さい子だもの。パパのことが好きで、可愛がって欲しがってたわ

ヤスコ

それを邪険にしたのはどこの誰よ

タツオ

今なら可愛がってやれるんだぞ！何が不満なんだよ！

ヤスコ

もう、遅いのよ。邪険にされた結果、サツキはあなたのことが嫌いになったの

タツオ

じゃあ、なんであんなに可愛がってあげたメイまで、

タツオ

俺のことを嫌いになったんだよ！おかしいじゃないか！

ヤスコ

それは、あんたのＬＩＮＥのメッセージを全部見せてたからね

ヤスコ

結婚したいだのチューしたいだの、はたから見れば変態にしか見えない、

ヤスコ

しかも年々気持ち悪さを増していくメッセージをね！

ヤスコ

メイ、ドン引きしてすっかりあなたのことを変態キモ親父だと思ってるわよ

タツオ

な…なんてことしてくれるんだよ！

タツオ

娘と俺の仲を引き裂くような真似をして、楽しいか！？

ヤスコ

あんたがメイに伝えておいてくれって言ったんじゃない

ヤスコ

お望み通り、伝えてあげたわよ

タツオ

そんな…誤解だ！そんなつもりで言ったんじゃない！

タツオ

娘に会いたいのは、父親として当然のことだろう！？

ヤスコ

サツキもあなたの娘なのに、何年もずっとサツキの名前を出さなかったわよね？

タツオ

だけど今は違う！いいから二人と直接話をさせてくれ！

タツオ

お前の話は嘘だ

タツオ

サツキもメイも、本当は俺に会いたがってるはずだ！

タツオ

サツキに謝らせてくれ。なぁ、いいだろ

ヤスコ

だから、もう遅いの。子供達に二度と近づかないで

～数日後～

ヤスコ

一体何してくれるのよ！

ヤスコ

子供達に手を出そうとするなんて…

タツオ

何してくれるって言いたいのはこっちだ！

タツオ

俺はただ、サツキとメイが二人で歩いているのを見かけて、

タツオ

抱きしめようとしただけだ！父親が娘を抱きしめて何が悪い！

タツオ

あわよくば俺の今住んでる家に連れて行こうとも思ってた。それくらいいいだろ！

タツオ

そしたらメイは凄い悲鳴を上げて逃げるし、

タツオ

サツキはあろうことが、俺を足で蹴って二人で逃げて行ったんだ！

タツオ

直接会えば、感動の再会ができると思ったのに…

ヤスコ

馬鹿じゃないの？サツキもメイも、怖かったって言ってるわよ

タツオ

そんな…

ヤスコ

もう諦めなさい。あんたは、私達にとってはもう他人なのよ

タツオ

諦めて堪るか。他人ってなんだよ！俺はヤスコの元夫で、二人の父親だぞ！

タツオ

もう一回二人と話させてくれよ。さっきはちゃんと話せなかったから！

ヤスコ

…いいわ。さっきから二人ともLINE見てて、あんたと話したがってるし

ヤスコ

話させてあげる

タツオ

そうか！俺と話したいのか

タツオ

二人とも、やっぱり本当は父親が恋しいんだなぁ～

ヤスコ

今、二人を追加するわね

（【サツキ】が追加されました）

（【メイ】が追加されました）

サツキ

タツオさん、7年ぶりですね

タツオ

サツキ！あぁ、まさかサツキが、あんなに可愛く成長するとはなぁ～

タツオ

パパ、感動したよ。タツオさんなんて他人行儀な呼び方はやめてくれ

タツオ

昔は、お前に寂しい思いをさせて本当に悪かったよ

タツオ

許してくれ。本当はずっと、お前のことも愛していたんだよ

タツオ

メイも、変わらず可愛く育ってるじゃないか

タツオ

昔はパパとあんなにラブラブだったの、忘れてないよな？

タツオ

二人ともさっきはただ、照れちゃっただけなんだよな。わかってるよ。許してやる

タツオ

またパパと暮らそう！な！！

メイ

キモいんだよオヤジ！お姉ちゃんのことずっと無視しといて都合よくすりよってきて！！

メイ

二度とお姉ちゃんに近づくな！

タツオ

なっ…メイ、嘘だろ。パパになんて口をきくんだ！

サツキ

私も同じ気持ちです

サツキ

ブスだと言われたこと、メイだけ可愛がって甘やかしていたこと、

サツキ

あなたに話しかけても無視され、手を振り払われたこと、すべて忘れてません

サツキ

あなたの下で育ってたら、私達、こんなに仲のいい姉妹になれなかった

サツキ

挙句メイへのあのメッセージの数々…本当にキモいです

サツキ

二度とメイに近づかないでください

タツオ

サツキ、そんな…

ヤスコ

これでわかったでしょう

ヤスコ

二人が、本当にあなたのことを嫌いだって

ヤスコ

サツキのことを気にかけてあげて、二人を平等に可愛がってあげてと

ヤスコ

私は何度も頼んだ。だけどあなたはずっと、それに耳を貸さなかった

ヤスコ

その結果がこれなの

タツオ

俺、いつかは家族に戻れると、ずっとそう思って生きてきたのに…

タツオ

せめてメイだけは、俺のことを好きなはずだと…

ヤスコ

残念ね。私達、あなたには愛も情も残ってない

ヤスコ

あなたは義両親も亡くなってるし、きっと一人ぼっちで死ぬでしょうね

～後日談～

ヤスコ

タツオがメイとサツキに抱き着いて誘拐しようとした現場を、

ヤスコ

偶然にもタツオの同僚が目撃していたようです

ヤスコ

そのため、タツオの職場でタツオがロリコンの誘拐魔だという

ヤスコ

噂が広まってしまい、娘だと説明してもあまり信じてもらえず、

ヤスコ

冷たい目で見られながらしばらく居心地悪く働いていたそうです

ヤスコ

元々彼は女子社員に対する差別も酷く、嫌われていたそうですからね

ヤスコ

その後唐突にタツオは体調を崩し、病気が発覚し、入院することに

ヤスコ

『きっと一人ぼっちで死ぬでしょうね』という私の言葉が

ヤスコ

入院中に何度も頭の中で回り、

ヤスコ

タツオはとうとう病院で発狂してしまいました

ヤスコ

『病は気から』ということで、最初は少し入院すれば治る程度の病気だったのが、

ヤスコ

ストレスで病状はどんどん悪化してしまっているようです

ヤスコ

見舞いに来る人も誰もいないのだとか

ヤスコ

私とサツキとメイはそんなことには関心がなく、

ヤスコ

変わらず仲良く暮らしています

ヤスコ

実家の両親も子育てには協力的で、恵まれています

この作品はいかがでしたか？

0件

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう！

タナカトシキ

プロフィール

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

LINE１４３２

第1話 - あ

作者の他の作品すべて見る

#スカッとの新着小説
一覧

関連するタグ

LINE１４３２

第1話 - あ

作者の他の作品すべて見る

#スカッとの新着小説一覧

関連するタグ

#スカッとの新着小説
一覧