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朱理

ねえ、怖い体験した

真奈美

マジか

朱理

私のお父さんが

真奈美

お父さんかよ

朱理

ものすごく短くてシンプルな話だからちょっと聞いて

朱理

私のお父さん、トラックの運転手なんだけどさ

真奈美

うん

朱理

深夜に峠道を走ってて、
めちゃくちゃトイレに行きたくなったんだって

真奈美

やばいじゃん

朱理

そう、やばいの

朱理

道の駅も公衆トイレも無くて、悩んでるうちにどんどん山登っちゃってて

朱理

仕方ないから緊急避難場所に停めて、立ちションしようと思ったんだって

真奈美

ダメなやつやん

朱理

それな。
ごめんな、うちの父親が……

真奈美

仕方ないな。続けて

朱理

そんでさ、深夜だし山の中だから本当に真っ暗なわけよ

真奈美

うん

朱理

目も慣れてないから周りの様子もあんま見えなくて、とりあえずちょっと離れたとこの道沿いに立って、森に向かってブツを出したらしいの

真奈美

表現最低かよ

朱理

申し訳ないと思ってる

朱理

そんでさ、「よし、さっさと済ませるぞー」って思った時にさ

朱理

なんか尋常じゃないほど寒気がしたんだって

真奈美

朱理

背中が……っていうより、もう全身に鳥肌が立つほどの悪寒。体中がゾワゾワして、熱でも出るんかなってくらいの寒気で

朱理

出すもんも中々出なくて

朱理

おかしいな、おかしいなって焦りだした頃に目も暗闇に慣れてきて

真奈美

うん

朱理

ぱっと横を見たらさ

朱理

自分が立ってる場所のすぐ隣に
花が供えてあったんだって

真奈美

…………

朱理

…………

真奈美

やばい

朱理

真奈美

それはもう、出ないでしょ…

朱理

尿意引いたって

朱理

凄い勢いでトラックに戻って、一心不乱に峠を越えたらしい

真奈美

……うん

朱理

お父さん霊感もないし、幽霊の話とかも全然信じない人だったんだけど

朱理

「あれは流石に信じるしかなかった」って言ってた

真奈美

怒られたんだな。立ちションしようとして

朱理

自業自得だね

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