記憶をなくした君は

藤澤涼架side

今日は新しい洋服をいっぱい買えた

元貴とも若井ともたくさん喋れたし、今日はすごく楽しかった！

元貴の目が光っている

僕をみてキラキラしている

元貴と若井がそんな会話をしている

若井はコーラが好きだったっけと思いながらスマホのメモ帳を見る

毎回スマホのメモ機能には助かっていて、メンバーの名前・好きな食べ物・食べ物のことまで。

若井も元貴も僕も、コーラが好きみたい

やっぱりこういうふうに忘れていると自分が忘命性障害だということを実感する

最終的には、自分の生きる意味を忘れてしまう病気。

運良く生きれても、記憶はない ずっと記憶のないまま生きていくことになる

だって忘命性障害だから。 治療法のないごく稀な奇病だから。

忘命性障害だって割り切って、残りの人生を悔い無く生きようと思っていたのに、

時々死にたくないと思ってしまう。 Mrs.GREEN APPLEを抜けたくないと思ってしまう

でも、今薬も効かなくて、病気はどんどん進行しているから

いずれ僕は生きる意味を見失って自殺するんだろう

でももうMrs.GREEN APPLEを抜けることを決めて

メンバーにもスタッフさんにも病気のことを話さないことを決めて

自分だけひっそりと自殺しようって決めた。

自分の残りの人生を悔い無く生きようって決めた

Mrs.GREEN APPLEとして入れる時間を悔いなく過ごす

もう後戻りできない僕の人生。

そのあと、みんなでご飯を食べたけど、よく覚えていない。

今日はなんの予定もない。

明日はみんなで集まってライブの演出とかの話し合いをする予定がある。

スマホのメモ機能も見てみたけど今日は本当に何もない日だ

何にもない日は忘命性障害のことをずっと考えてしまうから 最近何も予定がない日が嫌いだ

スマホの検索履歴を見てみても忘命性障害のことばかりを調べている

もう、後戻りできないのに。

🍏

元貴からグループライン［🍏］にラインが来る

元貴が何もない日に僕たちを呼ぶのは曲作りが行き詰まっている証拠。

僕たちはそういう時元貴の家に行く。

同じ屋根の下にいるだけで曲作りがうまく行くこともあるみたい。…たぶん

若井がインターホン越しに手を振っている

扉を開けて若井に笑いかけると、若井は曖昧な笑顔を返してくれた

一瞬、言っちゃおうかと思った。

若井に、忘命性障害のこと。

だって一人で抱え込むって決めたけど、一人で抱え込めなかった

昨日ね、実はちょっと腕切っちゃったの。

どうせ死んじゃうなら今ちょっとしてもいいかなって

抱え込めない病気の苦しみがいきなり僕を襲ってきて

誰かに頼りたくて、

でも若井に忘命性障害のこと、言えるわけない

だってMrs.GREEN APPLEに迷惑がかかっちゃう

こんにちは！

200いいねありがとうございます😭 嬉しすぎです、伸びすぎです、

この作品も頑張ったのでいいねお願いします🤲

ちなみに次は若井さんサイドから始まります (若井さんは、涼ちゃんが忘命性障害なのかもしれないと疑ってる)

それではまた！