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素直になりたい

第5話 - 素直になりたい 5

147

2019年08月04日

#恋愛

#転校生

#再会

#同居

Rin*

一ノ瀬大地

美月、今日から3か月間よろしくな。

星野美月

....最初に言っておくけど、家事は全部分担だからね。

星野美月

洗濯、炊事は私がやるから、大地は掃除を担当して。

星野美月

それから...

星野美月

私たちが3か月間、一緒に住むことは絶対に内緒だから。

一ノ瀬大地

うん。わかった

星野美月

言わないだけじゃなくて、バレない努力もしてね。

一ノ瀬大地

はいはい

星野美月

返事は一回

一ノ瀬大地

はい！

そう言って、大地は部屋に戻った。

星野美月

（はぁー、私、これからやっていけるかなぁ）

星野美月

（そろそろ昼食にしようかな）

星野美月

（大地、何が良いかな）

星野美月

（聞いてこよ）

トントン

一ノ瀬大地

入っていいよー

星野美月

そろそろお昼ご飯作るけど、何が良い？

大地はアルバムのような物を見ている。

星野美月

大地、何見てたの？

一ノ瀬大地

あーこれ？美月と一緒に見ようと思ってた昔のアルバム。

一ノ瀬大地

あの頃の美月は俺のヒーローだったなぁーって懐かしんでたとこ。

星野美月

は？私がヒーロー？

一ノ瀬大地

そっ、ヒーロー。泣き虫だし、女の子みたいだからってからかわれてた俺を

一ノ瀬大地

いつも、美月が守ってくれてたじゃん。

星野美月

...そうだったっけ

一ノ瀬大地

うん、そうだった。って忘れてたのかよ？

星野美月

そんなこと、いちいち覚えてるわけないでしょ

一ノ瀬大地

まさか俺との思い出、何も覚えてないとか言うなよ？

星野美月

....それはどうかな

一ノ瀬大地

おい、どうかなって！

星野美月

それより、お昼ご飯何にするか決めてよ。なんでも良いならパスタにするけど？

一ノ瀬大地

俺、パスタ大好き！

星野美月

なら、決まりね。出来たら呼ぶから待ってて

一ノ瀬大地

は〜い♪

一ノ瀬大地

うわ〜！美味しそうな匂い♪

大地を呼びに行こうと思ってたら

先に匂いに誘われてやって来た大地。

一ノ瀬大地

うお！めっちゃうまそうじゃん！

一ノ瀬大地

俺、パスタなら断然ミートソースが好きなんだよなぁ〜！

星野美月

（うん、知ってる。）

星野美月

（だからミートソースにしたんだよ。）

星野美月

そうなの？おかわりもあるよ

星野美月

（でもそんな事言わない）

星野美月

（言わないんじゃなくて、言えない）

星野美月

（だからこうして知らないふりをする私はやっぱり素直じゃない。）

一ノ瀬大地

こっちのサラダも彩りいいし、オニオンスープもうまそうじゃん。

一ノ瀬大地

美月って、マジで料理出来るんだな！

星野美月

......

星野美月

これくらい、誰でも出来るし

一ノ瀬大地

そんな事ねーよ！超うまいし！

一ノ瀬大地

こんなうまい手料理食べれる俺って超幸せ者だわ！

星野美月

（そんな、嬉しい顔して嬉しい事言わないでよ...）

星野美月

（こっちは照れてるの隠すの大変なんだからね...）

照れた顔を隠すようにティーカップを口に運ぶ

星野美月

（緊張しちゃって、紅茶の味もよく分からない）

星野美月

（どこかまだこの現実が信じられない自分がいる...。）

星野美月

（これから3か月間は本当に、この家に私と大地しかいないんだよね...）

星野美月

（家族以外の誰かと一緒に暮らした事ないんだもん）

星野美月

（しかも女の子ならまだしも、いきなり男の子と住むなんてっ）

星野美月

（それにお父さんとお母さんはアメリカでちゃんとやれるのかな）

星野美月

（お父さん達のことを思い出したら、急に寂しくなってきちゃった）

一ノ瀬大地

美月、どした？

星野美月

何が？

一ノ瀬大地

なんか、暗いじゃん

星野美月

そんなことないけど？

平気なふりして強がる私。

一ノ瀬大地

....そんなに嫌？俺と暮らすの

一ノ瀬大地

美月、聞いてんの？

星野美月

....聞こえてる

一ノ瀬大地

嫌なら、なんで断わんなかったんだよ

星野美月

（大地は私が答えないから同居が嫌だと思ってみたい...）

星野美月

（でも私は嫌だったわけじゃない）

星野美月

（同居の話を断らなかったのは、大地と一緒に居たかったからだもん）

星野美月

...未成年の私には、最初から拒否権なんてないも同然だから、

星野美月

抵抗しても無駄だと思っただけ。

一ノ瀬大地

...そっか

星野美月

大地だって同じでしょ？

一ノ瀬大地

俺は違うよ。自分の意思で決めた。

星野美月

....え？

一ノ瀬大地

ガキの頃、美月が俺を守ってくれたように、今度は俺が美月を守るから。

星野美月

....っ！

一ノ瀬大地

だから、なんかあったら俺に言えよ？な？

一ノ瀬大地

それからさ、今は一緒に住むの嫌かもしれないけど、

一ノ瀬大地

この3か月間がお互いにとって楽しいものになるように、全力で努力するから。

星野美月

...大地

一ノ瀬大地

つーか、このスープもうまっ！

その笑顔を見たら、さっきまでの不安が消えていった。

星野美月

（大地が優しいのは今も健在なんだね）

つづく

素直になりたい

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Rin*

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